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[MOM1322]那覇西FW久貝俊喜(2年)_「相手が嫌がる選手」目指す狡猾な点取り屋

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.14 九州新人大会予選リーグ第3節 那覇西高 1-0 佐賀北高 東風平]

 理想のFW像について「相手が嫌がる選手」と言い切った。那覇西高FW久貝俊喜(2年)がFWに転向したのは昨年11月。経験こそ浅いが、相手にとって対応困難なストライカーだ。九州大会初戦の大分西高戦でハットトリック。そしてこの日は前半19分にMF上原牧人の右クロスをPAでコントロールすると右足シュートをゴールへ叩き込んだ。

 このシーンも巧みにDFの前に入ってチャンスをものにしていたが、常にDFとの駆け引きをしている。動き出しが速いだけでなく、DFが一瞬見失ってしまうようなポジション取り、そしてゴール前でのアイディア。頭脳的な動きの数々はFW転向前までプレーしていた左SBやCBの経験が大きいという。「自分がCBだったらどんなことが嫌かなと意識してやっています。クロスの時、相手の視界から消えて飛び込んでくるのが自分がCBだったら嫌だった。逆にニアに飛び込まないで、相手が勝手に流れたのをマイナスで止まって受けたり」。相手の裏をかいて、狡猾にゴールを陥れる。

 加えて玉城真哉監督が「パワフルな感じで。競った後のリアクションでグッと入っていけるので相手は嫌だと思いますね。パンチ力もある」という武器。DFの間を一瞬で割って入る強さ、抜け出しも相手にとっては厄介だ。左SBを務めていた昨秋、B戦でFWが足りず、たまたまトップで起用されたことがFW転向のきっかけ。声が良く出ることから新チームではCBでスタートしたが、その才能はまたFWとして活かされている。

 本人は負けたくないという想いも持っている。前線から声で周囲に指示を出し、鼓舞するのも負けたくないという想いが強いからだ。昨秋の高校選手権予選でFWのポジションを獲得していた久貝だが、2回戦の小禄戦でタックルを受けて内側側副じん帯損傷。欠場した3回戦の宜野湾戦でチームは敗退した。「朝起きたら最強に痛かったんですけど(苦笑)。次の日テーピングをして出ようとしたけれど、トラップしたらもうやばかったからベンチで見ていて。(欠場して)宜野湾に負けるし、怪我するし、自分としては最悪だった」。その想いが力になっている。「一個上の負けた姿とか見てて嫌だった。自分の代は負けたくない。応援とか毎回いい応援してくれているので。応援の力は大きい」

 結果が出てきてFWとしての手応えも掴みつつある。「自信はついてきているけれど、まだまだなところもいっぱいある。決めきるところもいっぱいある。決勝トーナメントでも決めるべきところは決めたいです」。15日に始まる決勝トーナメントでも応援団の声援に応えて、ゴールを奪う。

(取材・文 吉田太郎)

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