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浦和戦を心待ちにする山形GK山岸「キャリアの中でもインパクトの残る試合になる」

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 2014年のサッカーシーンを振り返る上で、忘れられない場面だろう。モンテディオ山形のGK山岸範宏が、J1昇格プレーオフ準決勝・磐田戦のアディショナルタイムに決めた決勝ゴールの場面だ。「オフにもいろんな人に言われましたし、今日も控室で他クラブの選手からも、あのゴールについていろいろ言われました」と明かす山岸は、19日のプレスカンファレンスで、あらためてその価値を噛み締めた。

「あのゴールについて今思うのは、あれが昇格につながるゴールだったなと。あれの後にプレーオフ決勝で負けてしまったら、ただのサプライズゴールになってしまった可能性もあるので。あのゴールが昇格につながったことが嬉しい」

 オフには13年を過ごした浦和から山形への完全移籍が発表された。「今だから言えますけど、山形からオファーを頂けたら、今シーズンも山形でプレーすることは昨年のうちからありました」と山岸は言い、「自分のキャリアを救ってくれたというか、新しい色を付けてくれたクラブなので。モンテディオ山形というクラブにできる最大限の恩返しをしたいと思います」と、引き続きの活躍を誓う。

 過去3年、J1昇格プレーオフを制したクラブは、1シーズンでJ2に降格している。その歴史を変えることは『恩返し』にもなるはずだ。山岸も、そこを目指している。「どうしてもプレーオフで上がったチームが翌年に(降格する)っていう悪い、負のジンクスはありますけど、そのジンクスを破ることも自分たちの新しい歴史になると思います」。

 そのために必要なのは、ブレないことだと山形のキャプテンは強調する。

「その歴史をつくっていくためにも、自分たちらしさを貫くこと、あと自信をなくさないこと。たとえ苦しい試合が続いても、山形らしさというのは何なのか。自分たちの自信、積み上げて来たものは何なのか。どうしても結果が伴わない試合が続くとチームはブレてしまうことはありがちなので。自分たちの原点が何かをしっかりと見据えて、それがあれば軌道修正はできる。あとは自信を無くさないこと。それがポイントになると思います」。

 山形は開幕節が仙台とのダービー、さらに第2節は山岸の古巣となる浦和戦になる。「2節のことは開幕戦が終わってから考えようと思います」と前置きしつつ、「ただ」と続ける。

「ただ、13年半いたチームなので、特別な感情というか、気持ちの高ぶりはあるのかなと思いますが、そこでも山形らしく、自分らしくプレーしたいと思います。初めて埼玉スタジアムで、アウェーの一員として戦う試合なので、自分のキャリアの中でもインパクトの残る試合になると思います」と、2014年に強烈なインパクトを世界中のサッカーファンに与えた『山の神』は、古巣との試合を心待ちにしていた。

(取材・文 河合拓)

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