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[MOM1331]立正大淞南FW千川原慎(2年)_勝敗を決定づけた「質の高いプレス」と2発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.16 中国高校新人大会決勝 立正大淞南高 3-1 広島皆実高 山口県立おのだサッカー交流公園]

 南健司監督の「行けぇー」という声に身体が呼応していた。後半13分、立正大淞南高が前線へ入れたフィードは先に反応した広島皆実DFが背後を確認しながらボールとの間に身体を入れてブロック。そしてGKが問題なく捕球しようとしていたが、DFがわずかに目を離した隙に一気に右後方から距離を詰めていた166cmFW千川原慎(2年)がキャッチ直前でインターセプトする。そのままスピードでGKをかわした千川原は、右足で2点目のゴールを叩き込んだ。

 確かにチーム屈指のスピードの持ち主ではあるが、プレスからボールを奪い取るにはとても届きそうにないような距離だった。それでも指揮官が「相当速い」と説明する背番号14は相手の判断ミスをしたたかに突いてゴール。南監督は「あれは追いかけるではなくて、質の高いプレス」と賞賛し、千川原本人も「南先生からも『行け』っと言われて、自分も『行ったろ』、と思っていた。それで点取れたんで良かったです。向こうのDFのブロックも浅かったので『これは入れるな』と思った。あとはスピードでどうにかなるだろうと思っていたし、行けたので良かった」と会心のゴールを喜んでいた。

 その後も千川原はFW杉本龍哉やMF白岩直斗らとともに前線から走り回り、スピードに乗ったままスライディングをしてボールを引っ掛けようとするなど相手にプレッシャーをかけ続けた。そして、スピードに乗った仕掛けからチャンスメーク。17分には鋭い飛び出しで杉本からのラストパスを引き出し、2点目のゴールを奪った。

 前半から攻め続けていたチームをさらに活性化して2点を奪った千川原は「(2点目は)FWとの関係で行けて飛び出せた。あれはやっている形だったので良かったです。先発で出たいという気持ちもあるんですけど、後半からでもやってやろうという気持ちがあった。それが出せたんで良かったです」と笑顔を見せた。

 神奈川県のFC厚木出身だが、「攻撃的なサッカーに魅力を感じて、全国の頂点も狙えると思った」と島根の名門へ進学。昨年は全国舞台などを踏んでおらず、今大会は全て交代出場だったが、計3得点で優勝に貢献した。それでも厚い選手層の立正大淞南での競争を勝ち抜いて、本当に活躍するのはこれから。「瞬発力は自分でも持っていると思うのでそれは活かしていく。ここからまたシーズンが始まるまで試合があるので結果を出せたらいい」と先発奪取へ意気込んでいた。

(取材・文 吉田太郎)

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