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ハリルホジッチ監督初の代表メンバー発表会見要旨

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 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ新監督が19日、都内で記者会見を行い、初陣となる27日のチュニジア戦(大分)、31日のウズベキスタン戦(東京)に臨む日本代表メンバー31人を発表した。

以下、会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「みなさん、こんにちは。ここ5、6日間かけて準備した日本代表の最初のリストになる。東京に着いてまだ間もないので、本当に簡単ではなかった。代表リストを作るためには、本来ならもっと時間をかけて、もっと多くのことを知ってからであるべきだが、多くの人と会ったし、霜田技術委員長とも多くの話をした。日本で経験豊富なたくさんの指導者とも話した。いろんなところに移動して試合を見たし、たくさんの映像も見てきた。ACLも映像で見た。

 この2試合は、とにかく勝つためにある。最初の試合でどういった方向性で行くのかということをみなさんに見せたいと思う。今回は多くの選手を呼んだ。ケガをしていて、プレーできない選手も呼んだ。そして、ケガもしくはその他の問題が起きたときに、さらに来てもらいたいバックアップメンバーも準備している。

 GKから始める。川島、東口、西川、権田、そして林。林はバックアップメンバーになる。基本的には4人のGKでいきたいと思う。2人のGKコーチがスタッフにいるので、いいトレーニングをしていきたい。毎回の合宿で4人はGKを呼ぼうと思っている。それは競争心を植え付けるためだ。

 今度はDF。酒井高徳、酒井宏樹、内田、吉田、水本、昌子、森重、槙野、太田、藤春、長友。ここからはバックアップメンバーで、塩谷は右サイドを主に担当してもらうことになると思う。鈴木、千葉はセンターバック。車屋は左サイドバックを予定している。

 見てもらって分かるとおり、2人ほどケガの選手がいる。内田と長友だ。特に長友は長い期間、プレーしていない。内田も膝に問題を抱えていて、プレーするかどうかは分からない状態だ。彼らが今、どんな状態かを知るためにも話していきたい。我々と一緒にいてもらって、我々の目的を彼らにも知ってもらわないといけない。そういうコミュニケーションを取っていきたいし、その意味を含め、ケガをしていても呼びたいと思っている。

 中盤にいく。長谷部、柴崎、今野、青山、山口、香川、清武。バックアップメンバーは谷口、米本、大森、高萩。高萩はオーストラリアでプレーしているが、これから知っていきたいプレイヤーだ。攻撃的と守備的とを踏まえた中盤のメンバーだ。そこは中盤でどのようなオーガナイズを組むかで変わってくる。中盤では2つの異なるオーガナイズを準備していきたい。今野はケガをしている。日本代表で多くの経験があるが、彼にも来てもらって、ケガの状態などについてコミュニケーションを取っていきたい。

 FWにいきたい。本田、永井、小林、岡崎、大迫、興梠、乾、武藤、宇佐美。バックアップメンバーは柿谷、川又、豊田。攻撃でも多くの選手を呼んでいる。昨日、スタジアムで見て、何人かの面白い選手がいた。彼らもバックアップメンバーとして呼んでいる。多くの選手に可能性を与えたいと思って呼んだ。FWに多くの選手が入ってきてほしいと思っている。もちろん、FWの選手も守備をすることが大事になる。

 3人ほどケガしているが、彼らも含めて31人選んだ。12人のバックアップメンバーも選んだ。新たにケガ人が出た場合、ここに入ってくるメンバーだ。

 五輪代表の手倉森監督ともディスカッションした。手倉森監督も五輪チームに良い選手がいると教えてくれた。私が期待したいのは各ポジションで競争があること。前もって決まったベストメンバーはいない。時期によって調子も違うし、パフォーマンスも違う。その時期でベストパフォーマンスを見せている選手を呼びたい。できるだけ多くの試合を見て、できるだけ多くの選手をこれからも呼んでいきたい。

 日本代表に長く貢献してきた遠藤保仁だが、日本のレベルを高くまで上げてくれたと思う。ただ、彼はこのリストに入っていない。私はロシアW杯のために来て、そのための準備をしている。ただ、ここ数年、日本代表に貢献してきてくれた彼のことを忘れてはいけない。日本代表に貢献してくれた彼に対して敬意を表するというのをここに付け加えたい。

 これが私の最初のリストになる。このリストを作るのは簡単ではなかった。まだ十分に各選手のことを知っているわけではない。ただ、6月の合宿に向けては、もっともっと知識があると思っている。スタッフと私のやる気をすべて最初の合宿に注ぎ、勝利に導きたい。みなさんに私たちのやる気を見せたいと思う。2018年のロシアに向けて、これが我々の道だというものを見せていきたいと思う」

―今後、五輪世代の選手を招集する考えは? 今後の活動でも同じ規模の人数を選んでいくのか?
「日本代表に呼ぶ選手は、常にその時点でベストなパフォーマンスを持っている選手だ。もし五輪代表の中に良い選手がいれば、問題なく呼びたいと思う。今のところは呼んでいないが、それは私がまだほとんど見ていないし、呼べるだけの知識を持っていないからだ。ただ、手倉森監督とのコミュニケーションの中で良い選手がいることも聞いている。五輪のチームは注意深く見守っていきたい。もし彼らの中にA代表に入ってくる選手がいれば、私は問題なく受け入れたいと思う。

 6月の合宿には20人プラスGKが3、4人必要になる。多くの選手を呼びたいと思っているが、ケガ人が出たら代えないといけないこともある。6月はW杯の予選になるので、しっかり予測して、前もって準備をして呼んでいきたい。日本代表は全員に開かれている。例えば大久保はこの1、2年、Jリーグで得点王を取っているが、もしある試合で彼が必要なら彼を呼ぶ。もちろん他の可能性がある選手も見ていきたい」

―選考で最も重視した基準は? 今回のメンバーで考えているフォーメーションは?
「日本代表選手というのは、人間性もスポーツ面もレベルが高い選手。国民の代表としてプレーするというのは誇りが高く、素晴らしいこと。日本代表の一員としてプレーするためには、素晴らしい人間性と素晴らしい行動が伴っていなければ、ここには呼べない。それから、もちろん良いプレイヤーであるということだ。

 昨日、試合を見た。我々のスタッフはだれも私に教えてくれなかったが、ある選手に目が行った。将来に向けて良いかなと思った選手で、日本代表にすぐにベストメンバーとして入ることはできないが、次の試合に向けて注意深く見ていきたいと思っている。こういった素晴らしい態度、素晴らしいプレーを続けるのであれば、次は呼びたいという選手もいる。

 日本代表にメッシとかイブラヒモビッチのような個人的な選手はいない。もちろん、可能性を持った選手はいるが、我々の大きな特徴はコレクティブだと思っている。グラウンド上で我々のアイデンティティーを見つけていきたい。そのためにもいろんなメッセージを送らないといけないし、たくさんのトレーニングをしていかないといけない。こういった目的に対して非常に楽観的に考えている。時間は少し必要だが、向上させていけると確信している。

 システムについてだが、毎試合、準備する。全世界で最も強いチームと対戦する、もしくは全世界で一番弱い相手と対戦するかもしれないが、いずれにしても勝つために準備をする。私は負けるための準備はしない。もしそうだったらここで辞める。強いチームに勝つのは難しいことだが、不可能ではない。そういう強いチームと対戦したときにも、我々は勝つんだということをチームに植え付けていきたい。少なくともトライしようと言いたい」

―永井を選出した理由は? 遠藤はもう呼ばれないのか?
「確かに今回のリストは若い選手が多い。例えば、ものすごく大事な試合で遠藤が必要なときには呼びたいということも考えている。遠藤は多くの経験を持っている。仲間からの信頼が厚いことも知っているし、彼は自分の役割も知っている。ただ、今回、私はより若い選手を選んだ。遠藤をこれからどうするかは、また様子を見ていきたい。

 昨日の夜に直接、永井をグラウンドで見た。スピードに関しては素晴らしいものを持っていると思う。現代フットボールで必要なものを持っていると感じた。重要なクオリティーを持っている。今の日本代表に少し足りない背後へのスピードを彼がもたらしてくれるのではないかと思う。彼がプレーすることによって、よりスピードが速くなるだろうし、より背後のシチュエーションが出てくると思う。背後にたくさんボールを要求することによって、どんどん得点の可能性が出てくる。もちろん、まだまだ向上させないといけない点があるのは分かっている。ただ、この選手は本当に興味深い選手で、面白い選手だと思う。彼といろいろ話をして、トレーニングをしていきたいとは思っている」

―キャプテンはだれにするのか? なぜバックアップメンバーを選出したのか?
「キャプテンはすごく大事で、このバックアップメンバーも大事だ。まずグループと話をしたいと思っている。そして、いくつか提案をしていきたい。キャプテンはすごく大事な役割を持っている。特に最初の時期においては重要な役割を持っている。何試合か私と一緒に過ごして、だれがキャプテンとしてふさわしいか判断していきたいと思っている。

 キャプテンは一つの模範だ。いい行動、いいトレーニングをしてもらわないと困るし、仲間と団結心を持っていないといけない。グラウンドの中でも外でも、グループが困難な状況に陥ったときに助けることができる人物が必要だ。グループの中には何人かキャプテンが必要だと思う。リーダーと言ってもいい。そういった人物がグループを成功に導くことを期待している。そういったことも、合宿をしながら見ていければと思っている。

 我々には大きなプロジェクトがある。私の期待と私のトレーニングを彼らがどう受け取るか見ていきたい。すべてがうまくいくと私は確信している。良いメンタリティーと良いグループがあると確信しているので、勝ちたいというグループにしていきたい。グループで何かを成し遂げたい。それが私の期待するグループだ。

 なぜ私がバックアップメンバーを発表したかというと、まずグループは大きいというメッセージだ。国内組でも海外組でも、いろんな選手に可能性がある。もちろん、海外にいる選手に関しては4、5日前にレターを出さなければならない。バーゼルにいる柿谷もそうだが、彼も呼べるように準備している。このリストに入っていない選手もいるが、彼らに対しても準備をしておいてほしいというメッセージだ。競争が始まるということを心得ておいてほしいと思っている。良いプレーをしていれば、私は選ぶ。スター選手に取って代わる選手に期待しているし、そういう選手がスター選手と代わったとしても何の問題もない。私はグループとして勝つことを期待している」

―中盤で2つの異なるオーガナイズを準備するというのはどういう意味か?
「中盤では異なるオーガナイズを準備している。試合に向けたプランニングだ。攻撃的な中盤にするのか、守備的な中盤にするのかということだ。何人かの選手に、この異なるオーガナイズでプレーしてもらいたいと思っている。この各システム、各オーガナイズで、私は勝つための準備をしている。ただ、勝つためにはある程度のオートマティズムとメンタリティーが必要で、そのために少し時間が必要だ。

 トレーニングをして、毎日毎日、ディスカッションを重ねていきたいと思っている。試合前には選手がすでに自分の攻撃的な役割、守備的な役割を知っている状態にする。我々がボールを持っていない状態では、全員が守備をする。我々がボールを持ち始めると、全員が関わって前に行く準備をする。映像を使って、しっかり準備したい。これは守備のことなのか、これは攻撃のことなのか、しっかり準備する。

 たくさんのことをやらないと、チームはうまく機能しない。日本は4、5回、W杯に出場しているが、攻撃に関しても、守備に関しても、向上させられるものがいくつかある。それを説明するために、いろんなことを準備しないといけない。フランスにいたときも、ここに来てからも、W杯やアジア杯の映像をたくさん見てきた。日本代表のポジティブな面もネガティブな面も把握しているつもりだ。いくつかの点を向上させていきたいと思っている。

 それから心理面でも準備していく。この点に関しても、何かをする必要があると思っている。選手と話をして、選手としっかりトレーニングすることで、知識が深まり、良い準備ができる。何人かの選手と個人的に話をしたいと思っている。特に海外から移動してくる選手だが、彼らは向こうのクラブで常に試合に出ているわけではない。勇気づけることも必要だし、日本代表でもしっかりプレーしてほしいと思っている。グループに関しても同じように働きかけていきたい。この2試合に勝つことで、良い関係を築いていけたらと思っている」

―今回の2試合で31人を全員使うのか?
「オーガナイズをいくつか準備しているが、Aチーム、Bチームというのは準備していない。ただ、1試合目にプレーする選手、2試合目にプレーする選手というのはいる。ただし、Aチーム、Bチームではない。いろんなアイデアを持って準備している。ケガ人に関しても準備しないといけない。酒井高徳も少しケガをしているし、彼がプレーできるかどうかはこれからチェックしないといけない。

 すでに私の頭の中にはいくつかのアイデアがある。できるだけたくさんの人数を使っていきたいと思っている。メンタリティーの面でもプレーの面でも、まだオートマティズムはできていないが、それでも選手にはメンタリティー、自分のプレーを100%出してくれと要求する。勝ちたいと思わせることが大事で、それに関しては全員に強く要求していきたい」

―チーム内の規律に関しては?
「新しくいろんなことを要求していきたいと思っている。これは合宿外のことだが、大仁会長、霜田技術委員長にはすでに要求している。すべてのスタッフのためのミーティングルームはあり、いろんなスタッフがそこに来て、私と会ってディスカッションをしているが、代表監督のためのオフィスがない。まずグラウンド外でもたくさんの準備をしないといけないので、そういう要求をしている。

 各個人に役割があり、それを要求している。そして、それぞれの役割に大きな責任感を持ってやってもらいたいと思っている。ただ、日本の国民のみなさんは仕事を丁寧にやるし、規律正しいと思っている。協会の中でも多くの方々が寝ずに仕事をしているのをこれまで見てきた。それはショックだ。私はこういったことをリスペクトしながら、いろんな方に関わっていきたい。

 そして、私が期待したいのは、ディテールにこだわって仕事をしてほしいということだ。私と仕事をしてくれる人たちはみんな優しく、協力的で、大きな問題を抱えているとは思わない。ここに呼んでもらったことを本当に誇りに思っているし、心の底からありがとうというのをここであらためて申し上げたい。日本代表が何か大きなことを成し遂げるためにやりたいと思っているし、私たちの目的に到達すると強く思っている」

―練習は非公開か?
「みなさんに対してオープンなときもあるし、戦術の準備をするときには閉じるときもある。みなさんができるだけ見に来れるように準備したいと思っているが、ご理解いただきたいのは、我々がシャットアウトするときは戦術の準備をしたいときで、それに集中させてほしい。メディアの方がたくさん見に来ている中で戦術的な準備をするのは難しい。選手に集中を求めるので、それはお願いしたい」

(取材・文 西山紘平)

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