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[UAチャレンジカップ]「ここに止めたら何でもできるというポイントを探して欲しい」元日本代表の名手、金田喜稔氏がサッカークリニック、「2020」へ向けたゲキも!

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元日本代表の名手から、より成長するためのヒントと「2020」へのメッセージを受けた。「第7回アンダーアーマーチャレンジカップ2015 SPRING」(山梨)は24日の試合後、ピッチ上でサッカークリニックを開催。参加選手たちは元日本代表MFで国際Aマッチ58試合出場6得点の名手、金田喜稔氏からスキル向上のヒントを得た。

「ここに止めたら何でもできるというポイントを探して欲しい」。高校生たちを上回るような非常に速い足の運びと正確なタッチ、コースへ正確に蹴り分けるシュートで高校生の心を掴んでいた金田氏。特に強調したのは、高校生に「自分だけが持つ」蹴ること、運ぶこと、かわすことの全てができるボールの置き場所を掴んで欲しいということだった。

「ここにおけば何でもできるというところを探すことがサッカーの長い旅の中で結構大事なことなんですよ」。その位置さえ把握しておけば、試合でいいプレーができなかったときに何が悪かったのか分析することができる。自分の自信のある位置にボールを置くことができたのか、それともできなかったのか。その日のプレーを見直し、次へ向けてまた課題を持って取り組むことができる。「結果的にいいところに止まっていいプレーができても、正面や逆足に止まったりする選手は、いいプレーができなかったときになぜ悪かったか整理できないと思う。そういう選手がJリーガーとか、代表とかになるのは難しいと思う」。

 自分の得意な場所にボールを置くからこそ、より強いキックを打つこともできる。「ピンポイントを探してほしい。集約すると利き足の前。ファーストタッチでどこに置くのか? より神経が通っている足をもっともっと有効に使った方がいいでしょうという考え方から利き足の前なんですよ。メッシもロナウドも、ロナウジーニョも一緒ですよ。彼らがどこから仕掛けるのかビデオで見て欲しい。絶対に利き足のところにボールを置いてから始まるんですよ。跨いだりするのも、置き直してからやっている。そこを見ずに華麗なフェイントとか言っても仕方ない。その点を理解してちゃんとチャレンジしてくれればありがたいし、長くチャレンジしてくれれば言っていることが分かってくるんじゃないかな」。

 金田氏は中央大2年生だった77年の韓国戦で日本代表初ゴール。19歳119日で決めたゴールは未だ日本代表の最年少得点記録となっている。その後日産自動車の国内7冠達成に貢献。その金田氏でも現役時代は「本能でやっていたから、戻るポイントがなかった」と振り返る。悩んだ時に解決する術がなかった。だからこそ、未来のある選手たち、「日本代表の後輩」になるだろう選手たちには自分を知り、より自分の力を引き出すため、いいプレーをするための術を見につけて欲しいと考えている。

 金田氏はドリブルで「ボールを持っていない方の足をどう動かせばドリブルが上手くなるのか。コースを確保できるのか」「軸足を動かすことによってコースは2つ以上確保することができる。軸足を動かすことを覚えておいてくれれば困難から逃れることができるんじゃないかな」という独自理論を展開。また、トラップからキックへ移る動きではボールを正面に置くのではなく、左右45度に置くことによって同じフォームで2つのコースにボールを蹴ることができることを説明した。GKやDFがどちらに蹴るのか見分けることができないフォームを身に着ければ、その分相手の反応を遅らせることができる。もちろん、個人によってはより正しい方法があるかもしれない。それでも、どうすればいいプレーができるのかを考えて、こだわり続けることがよりいい結果を生むことに繋がるのだ。

 サッカークリニックの最後に金田氏は今回参加している選手全員が2020年東京五輪に出場する資格があることを指摘。「サッカーに覚悟を持って、日本代表になったら人生が変わる。2020年の列車に乗るかどうかはみんな次第」とメッセージを送った。クリニック終了後、金田氏は「(東京五輪については)それだけは絶対に伝えたかったですからね。だって、コイツら切符持っているやん。サッカーで飯が食えるんですよ。今まで以上に注目される。本気で1パーセントでも、2パーセントでも日本代表でやりたいと思っているヤツは『ああ、そうか』と思えるはず。『あと5年しかない』と思えるはずですよ。UA(アンダーアーマチャレンジカップ)も歴史があるし、強豪が集まってきているので、このUAから何人か出てくると思う。レベルが高い子が集まってきているので期待しています」。金田氏のメッセージによって心に火がついた選手がどれだけいたか。夢を諦めずに、努力し続けた選手が「2020」の可能性をより広げることができる。

(取材・文 吉田太郎)
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