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元日本代表・堀池巧氏が順天堂大の監督就任、息子たちが後押しも

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 元日本代表DFで解説者としても知られる堀池巧氏が2015シーズンから関東大学1部リーグ・順天堂大の監督へ就任した。解説者から指導者へと“針路”を変更。最近では日本サッカー協会(JFA)でナショナルトレセンなど育成に携わり、多くの経験を積んできたなかで、今春からは大学サッカーという新たなステージへ挑む。

 順天堂大から監督就任のオファーが届いたとき、堀池氏は迷っていた。というのも、長男・勇綺さんが順天堂大3年生として在学中なだけでなく、藤枝東高へ通う次男・亮介さんが順天堂大の一般推薦入試を控えていたことが大きな理由のひとつだった。

 藤枝東高サッカー部へ所属していた堀池兄弟だが、ともにトップチームでの出場はないままに高校3年間を終えているという。だからこそ、堀池氏は次男・亮介さんへ「彼は高校のときのサッカー部にあまりいい思い出はないと思うので。大学で頑張ってやりたいというのを『頑張れ!』と応援しようと思っていた」と明かす。しかし、次男が進学先に選んでいた母校・順天堂大から急転直下で監督就任のオファーが届いた。

 堀池氏は亮介さんへ「順天堂大の監督をという話がきているけれど。俺が監督になると、色々な目で見られたり大変だけど、嫌な思いもすると思うけど、どうする?」と聞いた。すると次男は「それはそれ、これはこれ、だから。関係ないよ。自分は頑張るだけだから」とキッパリ。当時を振り返った堀池氏は「僕自身が大学の監督を受けるというのは悩んでいた部分もあったので。逆に下の子が背中を押してくれた」と目を細める。

 今後、順天堂大へ進学した亮介さんが蹴球部に入部した場合は、“親子鷹”として注目される可能性もある。しかし堀池氏は「それは違う。そう言われてしまうと息子がすごくかわいそうだから」と亮介さんを思いやり、「彼の進路が決まっているなかで、僕にオファーがきたので」と繰り返した。

 また現在、全日本大学サッカー連盟(JUFA)の学生幹事として働く長男の勇綺さんは「父が解説者から指導者の道を選ぶのをそばで見てきて。順天堂大を率いるというのは本当に嬉しいし、楽しみです」と父へ期待を寄せる。

 藤枝東高から順天堂大へ進学した勇綺さんは、大学3年生時までは蹴球部へ在籍していたが、学連の主要メンバーとなるなかで蹴球部を退部。新4年生となった現在は、JUFA・競技部の学生部長として、大学サッカーのために日々奔走している。今後は父子3人がそれぞれの立場で、大学サッカーの舞台に立つ日々がやってくる。

 堀池氏は順天堂大在学中に日本代表へ初選出。その後Jリーガーとなり、プロとしてのキャリアを歩んだ。だからこそ、今後については「僕自身も大学サッカーに育ててもらったので、恩返しというのもあるし。自分が今まで育成年代を指導してきて、それが現場でどう活かされて、結果が出せるのか。自分自身もすごく楽しみです」と話した。

 順天堂大は4日に開幕戦を迎え、初戦では昨季2位の明治大と対戦する。監督就任してから4日目で迎えた千葉県第1種サッカー選手権大会兼第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会・千葉県1次予選では、前任のコーチがいたこともあり、本格的な指導をすることもなかった。そのため、4日に迎える明治大戦が“初陣”となる。

 就任直後、学生たちへ「すべてのタイトル獲得を目指す。勇気と覚悟を持って、それに挑戦したい」と語った堀池監督。熱き指揮官が率いる新生・順天堂大に注目が集まる。

(取材・文 片岡涼)

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