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[MOM1359]京都橘GK矢田貝壮貴(2年)_「3本、4本のビッグセーブが必要」ノルマ実行した2年生守護神

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.11 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 京都橘高 1-1 大分U-18 J-GREEN堺]

 自分が止めなければ勝てない――。その意識を植え付けられ、自覚を持って戦う京都橘高GK矢田貝壮貴(2年)が大活躍によってチームに勝ち点1をもたらした。

 前半11分、至近距離からの決定的なシュートを身体全体でブロックした矢田貝は17分にもPAからの決定的なシュートを指先に当ててCKへ逃れる。浅い最終ラインの背後へのボールに思い切って飛び出して頭でクリアするようなシーンもあった。そして後半35分には左サイドからのクロスが中央に入って1対1となるピンチ。だが矢田貝は相手MFがトラップしたところを狙って飛び出し、シュートを打ち切らせずにセーブすると、こぼれ球に反応した相手選手よりも一瞬速くボールを抑えるビッグプレー。「あの場面はは来ると思っていたので少し狙いを入れていました。それまで同じプレーが何回かあって、全部トラップだったんで、1タッチシュートはないかなと思っていて、狙いを持っていたらトラップだった。出て行ってこぼしてしまったんですけど、その後もしっかり行けたのが良かったと思っています」。ゴール前での存在感あった2年生GKの活躍でチームは引き分けに持ち込んだ。

「去年は先輩たちの存在が大きくて頼ってしまう部分が大きかったんですけど、ごっそり抜けて経験者はボクと(岩崎)悠人と(小川)礼太くんだけになってしまった。経験している選手が少なくなっているんで、そこで自分が経験しているものとしてチームを引っ張っていくという意識はありました」。昨年から1年生守護神として経験を積んできたGKはリーダーシップも持ってチームを90分間鼓舞し続けるなど存在感があった。 

 この春、米澤一成監督やコーチングスタッフたちからは精神面を鍛え上げられた。米澤監督は「ビッグセーブ3、4本ないとウチは勝てない。ウチはミスして落ち込んでいるようなGKでは勝てないので、その辺は彼のところはワーワー言い続けた」という。ミスが続いて落ち込むことがあったという矢田貝だが「自分としてもミスが多かったと思っていて、それが春休みも多く出ていた。自分が2年生になるにも関わらずそういうプレーができていなかったということが米澤先生もボクもダメだと思っていた。特にキックを一番言われて、『それがダメなんだよ』と何回も言われて・・・・・・。ガンガン来られると『怖いな』と・・・(苦笑)。でも、なれました。去年も言われまくったし、それは自分のためを思って言ってくれているので改善していきたい。この春休み中も『オマエが止めねえとチームが勝てねえんだ』とコーチに言われて、自分でもそう思っていた。ウチはピンチが結構あるけれど、1個1個止めて行けたらチームも勝てる」。精神的なタフさが身に付いたGKはプレミアリーグ開幕戦で期待通りの3本、4本のビッグセーブを見せてチームを敗戦の危機から救った。

 この日チームは失点シーン含めてセットプレーで相手選手に先に触られるシーンが少なくなかった。個人個人の責任感の向上などチーム、個人としても改善点はまだまだある。その中で「まずは残留を第一としてそこから上位に食い込んでいけるチームにしていきたい」というチームになるため、ともに成長していくこと。そして2年生守護神は苦しい展開になっても「自分が止める」という強い想いを持ってチームの危機を防ぎ続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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