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「課題は育成」村井チェアマンが語るJリーグの現在と未来

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 就任2年目を迎える村井満Jリーグチェアマンが、テレ朝チャンネル2の番組『津田大介 日本にプラス』(4月23日よる11時10分放送)に出演、欧州をモデルとした「スタジアム構想」や、競争の原理をクラブ経営に反映した「配分金の傾斜配分」など、いまサッカーファンが気になっているテーマについて熱弁をふるった。番組出演直後の村井チェアマンに、ゲキサカが直撃インタビューを敢行した。

――サポーターにとって今季のJリーグで一番大きな変革は、明治安田生命J1リーグの2ステージ+チャンピオンシップ制だと思います。まだ開幕から間もないですが、変化は表れているのでしょうか?
「選手から話を聞くと、『1stステージの優勝を狙おう!』と開幕にターゲットを合わせて調整をしているクラブが非常に多かったです。最初から、息の抜けない、本気のサッカーが見られる期待感を持ちました。J1は1stステージ第5節を終わったところですが、平均入場者数が1万8000人を超えていて、前年比10%以上の伸びが見られます。そういった意味では、シーズン序盤から多くのファン・サポーターの方にも関心を持っていただいているし、チーム関係者も全力で試合に臨んでくれています」

――3月に日本代表に選出された宇佐美貴史選手(G大阪)や武藤嘉紀選手(F東京)の活躍も、リーグの盛り上げにひと役買っています。
「宇佐美選手のプレーをデジタルトラッキングシステムで計測すると、代表戦前の試合と比較して走行距離が約2km増え、スプリントの本数が約3倍になりました。代表に選ばれたことで彼自身のサッカーも変わってきていますし、第5節の時点でJ1トップの6ゴールとリーグを牽引してくれていると思います。武藤選手もここまで4ゴールと結果を出してくれています」

――デジタルトラッキングシステムは番組でも取り上げていましたが、導入から1か月あまりでどのような反響がありますか?
「まず、メディアの皆様が注目してくださいましたので、Jリーグが開催されていない日でも、さまざまなメディアで取り上げていただけるようになりました。また、インターネット上ではデジタルトラッキングシステムのデータを基に、その試合や選手のプレーについて議論される場面が多く見受けられますね。ファン・サポーターの皆様からも反響をいただいています。居酒屋でデータを見ながらサッカー談議が繰り広げられてる様子は、今までにない風景ですね」

――番組の冒頭で、昨季はJリーグに所属する51クラブを訪問されたと話されていました。印象に残ったクラブをお聞かせください。
「たくさんありますが……、鹿島は練習場なども含めた設計に“ジーコスピリッツ”が行き届いており素晴らしかったですね。横浜FCの食堂でカズ選手と一緒に食べた食事は美味しかったな……(笑)。松本は喫茶店にいまでもJFL時代のポスターが貼ってあるほど、地域とクラブが一体となっている様子が伝わる。それぞれどのクラブにも特徴がありました」

――最後に今後の課題をお聞かせいただけますか。
「課題は育成です。選手が海外へと活躍の場を移す機会が増え、人材流出の局面にありますが、それを上回るペースで世界から獲得オファーのある選手を排出し続けなければならない。アジアの盟主であり続けるためにも、JFAと協力して、育成のあり方を再構築する必要があります。育成を評価する場合、『あそこのクラブは育成に力を入れている』『あの指導者は優秀だ』など、海外に比べると日本での評価は抽象的です。ドイツでは全クラブを対象に、約400項目にわたる統一評価に基づき育成の採点をしています。日本も同じように客観的な評価軸を定めて全クラブに導入することで、あとどの程度でドルトムントの育成と同じレベルになるのか、などと現状を認識し、対策を打つことができるようになります。育成は非常に難しい課題ですが、着手していこうと思っています」

[写真](右から)村井チェアマン、津田大介キャスター、下平さやかアナウンサー


【番組情報】
津田大介 日本にプラス
4月23日(木)よる11:10~深夜0:00
テレ朝チャンネル2にて放送

Jリーグを率いる村井満チェアマンが1年ぶりに出演! 今年復活した2ステージ制、スタジアム構想、クラブ配分金の見直し、クラブの人材育成はどうなるのか……リクルート出身でスポーツ界以外から初めてチェアマンに就任した村井氏が、自身が打ち出した様々な改革の、現状と見通し、今後の夢を語る。

(取材・文 奥山典幸)

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