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[プリンスリーグ関東]メキシコ遠征経て「変わった」浦和ユースが三菱養和SCユース撃破して開幕2連勝!

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[4.19 高円宮杯プリンスリーグ関東第2節 浦和ユース 1-0 三菱養和SCユース 大原]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ関東は19日、第2節を行い、12年以来のプレミアリーグ参戦を目指す浦和レッズユース(埼玉)と昨年プレミアリーグEAST10位で降格し、1年でのプレミアリーグ復帰を狙う三菱養和SCユース(東京)との一戦は1-0で浦和が勝利。初戦で昨年3位の前橋育英を破っている浦和は、強豪相手に開幕2連勝を飾った。

 意地と意地のぶつかり合いとなった好勝負は終盤猛攻を見せた三菱養和に対して最後まで身体を投げ出すようにゴールを守り、FW松澤彰主将(3年)を筆頭に前線から献身的にボールを追い続けた浦和が勝利した。この日、浦和は主力CB小木曽佑太(3年)が不在だったが、中学生時代からユースチームで先発出場していた注目のU-16日本代表SB橋岡大樹(1年)がCBで出場してダイビングヘッドでのクリアなど気迫溢れるプレーを見せれば、ゲームの組み立て役も担うCB高橋聡史や10番の左SB堀内千寛(ともに3年)、この日がデビュー戦だったという右SB高山大智(2年)も必死にボールに食らいつく。そして大槻毅監督が「性格も本当にマジメで非常に取り組む姿勢がいい。(プレーにも)地道なのが出ていますね」という守護神、大川圭為(3年)も非常に安定したキャッチングを見せ続けるなど最後まで集中力を切らさずに1点を守り抜いた。
 
 前半、U-17日本代表MF渡辺陽とMF松高遼(ともに2年)がボールを受けに下りて、そこから丁寧にサイドへボールを動かす浦和はFW松尾佑介(3年)やMF川上エドオジョン智慧(2年)の仕掛けを交えて崩しにかかり、一方の三菱養和もパス交換からU-18日本代表候補MF瀬古樹(3年)が左サイドへ展開し、スペースを突いた左MF鯨井広夢(3年)がクロスを入れる回数を増やしていく。この日、浦和のトレーニンググラウンドであるアウェー・大原サッカー場へ乗り込んだ三菱養和は、前半14分に右CKをファーサイドで折り返して最後は10番MF松井輝純(3年)が左足シュート。35分には鯨井のクロスに惜しい形で2人が飛び込むなどチャンスもつくったが、なかなかシュートシーンを増やすことができない。

 一方の浦和も三菱養和の堅い守りの前に決定機をつくることができていなかった。それでも前半44分に敵陣PAで間接FKのチャンス。これを松尾がわずかに触るとMF川上開斗(3年)が右足を振りぬく。グラウンダーの一撃は割れた壁の間を通過してゴール左隅へ吸い込まれた。川上開は「時間帯も最後の方で決めきって前半終わりたいと思った。松尾と話して自分が蹴ると言って。ピッチも滑っていたし、上は相手も警戒すると思うので下行ったらいけるかなと。思い切り蹴ったら、狙い通りに入って良かった」。間接FKでゴール前に三菱養和の11人の壁ができる中、わずかにスペースの見えた右側よりも「(右足で蹴るため、腰が回って)こっちの方が力が入ると思った」(川上開)とあえて左隅を狙った判断も功を奏して浦和がリードを奪った。

 だが、後半はセカンドボールの攻防戦で優位に立った三菱養和が押し込む。3分にMF齋藤一(2年)の右足ミドルがゴールを捉え、13分には左中間を抜け出した松井が決定機を迎える。だがこれはGK大川が阻止。徐々に存在感を増していた瀬古のラストパスやシュートが浦和を脅かしたが、浦和も簡単には穴を開けない。三菱養和は31分、右サイドでの絶妙なターンでDFをかわした瀬古が右足を振り抜き、36分には松井、瀬古と繋いでから交代出場のFW八木原匠(2年)が相手の背後を突いた。だが、ゴール前で隙を見せない浦和守備陣の厚い守りの前に同点ゴールを奪うことができない。

 浦和も前線でボールを収める松尾や身体を張ってボールを収めようとする松澤へボールを入れて攻め返す。カウンターをから形をつくり、松澤のヘディングシュートなどで追加点を狙ったが、終盤は三菱養和が連続攻撃。4分が表示されたアディショナルタイム突入後の47分には瀬古の右足FKがクロスバーを叩き、48分には松井が左足シュートを放った。だが全員で守り抜いた浦和が勝ち点3を獲得した。

 この日は走り、戦い抜いて相手をわずかに上回った浦和だが、今冬はその部分がまだまだできていなかったという。冬の第8回GO FOR 2018 CUPはインフルエンザで少人数での戦いを強いられた影響もあったが2勝5敗。6点差で敗れたゲームもある。そのチームが変わるきっかけとなったのは1月末から2月上旬にかけて開催された「コパ・チーバス」(Copa Chivas Internacional Scotiabank 2015、メキシコ)でメキシコやブラジルの強豪チームと対戦したことだ。大槻監督は「自分たちがいろいろな意味で意識のところとか、向こうの同じ年代の選手に比べると弱いんだとか、ゲームに負けて悔しんだとか、球際で負けて悔しいんだという気持ちを思い出してくれた」と語り、松澤は「(サッカーに人生を懸けているような中南米の選手たちに対して)自分たちもそのような気持ちで1試合1試合やっていかないといけない。メキシコ遠征で球際とか寄せの速さとか感じて、日本に帰って継続できているのはいいことだし、大きいと思います。(時間が経過して)薄れてくるところもあったんですけど、監督も厳しく言ってくれてここまでできているのはいいことだと思います」とメキシコでの日々がターニングポイントなり、それを継続できていることを説明した。

 プレミアリーグ初年度の11年にプレミアリーグEASTで4位に食い込んだ浦和だが、12年に9位でプリンスリーグ降格。13年、14年はいずれも8位で何とかプリンスリーグ関東残留を果たした。今年はまず残留することが第一。だが、選手たちは後輩たちのために本気でプレミアリーグ昇格を狙っている。3年生の川上開は「来年、(自分たちと比べて)上手いっていうか、活躍できる後輩たちに高いところでやってほしい」と語り、松澤は「降格しないように。良く言えばプレミアに昇格できるように。次の代にいい形で渡せるようにしたいです。継続と謙虚さが大事だと思っている。監督にいつも言われている謙虚さ。一人ひとりが持って続けていければ自然と勝ちも続いていくのかなと思っています」と力を込めた。苦しんだ時期に学んだ姿勢を忘れることなく、練習から取り組み、結果を残して来年に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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