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[全日本大学選抜]浦和内定の守護神・福島は慌てず、余裕ある30分間

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[4.22 強化試合 全日本大学選抜2-1浦安 味フィ西]

 非常に堂々とした立ち姿、そして抑え気味に発する声。全日本大学選抜の背番号1は攻め込まれても慌てる素ぶりを全く見せず、チームに安心感をもたらしていた。すでに来季からの浦和レッズ加入が内定している守護神、福島春樹(専修大4年=静岡学園高)は「浦和の練習行って感じたことは、(西川)周作さんは常に余裕持ってプレーしているということ。身長はボク自身大きくないので、技術の面はもちろん、心の面も成長しなければいけないのかなと思っている」。以前は会場中に響くような大声で、よく怒声も交えながらコーチングしていた印象があるが、30分間プレーしたこの日は熱くなりすぎることなく、試合の流れを読みながらかけ続けていた声。ピンチがそれほどなかったこともあるが、ゆとりを持ってチームを後方から支えていた。

 大学4年生のシーズンが始まる前に浦和加入を決断し、今年1月に発表された。数々のビッグセーブで専修大の関東大学リーグ連覇に貢献してきた福島だが、3年生だった昨年、自身が考えていたほどの成長を遂げられなかったという感覚が浦和入りの決断を早くさせたという。特別指定選手として登録されていることもあり、現在は普段、浦和でトレーニング。プロの選手たちのプレーを間近で見ながら自身の向上に努めることができている。「去年、個人的には一年間成長できなかった年だと思っているのでそれを変えたい、挑戦したいという想いもあって早い段階で浦和に決めたこともある。その面でも挑戦して自分のプラスにしなければ何だったのか、浦和になぜ行ったのかという話になるので、高い意識をもってサッカーに対する気持ちをもっと変えていかないといけない」

 Jリーグのトップクラブのひとつである浦和入りを決めた最大の理由は「挑戦」だ。「中学まで地元の街クラブで本当に小っちゃいところでやっていて、県大会にも出られないようなレベルだったんですけど、そこから自分がひとつ静学(静岡の名門・静岡学園)に挑戦したからこその今なのかなと思っている。自分は挑戦し続けないと終わっちゃうと思う。一個踏み出さないと知ることができない世界もある」。愛知県出身の福島は街クラブのカワムラFCから名門・静岡学園へ進学。最高学年になって先発を掴み、その夏に全国高校総体準優勝した。大会優秀選手に選出され、全日本大学選手権と関東大学リーグの2冠を達成した専大へ進学。そこで1年時から守護神として活躍し、U-20日本代表や全日本大学選抜に選出されて大学サッカー界を代表するGKとしてプロ入りも果たした。「挑戦」することで道を切り開いてきたGKは日本代表GK西川周作が所属する浦和で「挑戦」して、より高いレベルへ自身を引き上げたいという想いがある。

 その中で迎える7月のユニバーシアードは、海外のチームと対峙することのできる数少ない経験だと考えている。「学生がいろいろな国のチームと真剣に公式戦でできる」。日本の代表として勝利することはもちろん、自身がプロの世界で学んだことを「試す」良い機会。世界で自信を深めて浦和でのプロ生活に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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