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古豪の海自下総が25年ぶり優勝、40m級長距離弾でマーカス撃破:全国自衛隊サッカー大会

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[4.26 全国自衛隊サッカー大会決勝 海自下総 1-0 海自厚木マーカス 味フィ西]

 第49回全国自衛隊サッカー大会は26日に味の素フィールド西が丘で決勝戦を行い、前回4位の海自下総が1-0で海自厚木マーカスを下して25年ぶり12度目の優勝を飾った。

 試合は海自厚木マーカスが優位に進めたが、海自下総は後半26分にゴールまで40メートル級のロングレンジからFW室田悠貴(士長・市立柏高出身)が右足を一閃。弾丸ライナーをゴール左に突き刺して値千金の決勝点を挙げた。室田は飛行機の整備などを勉強する第3術科学校に通っているため、平日の試合には参加していなかったが、準決勝と決勝で得点を挙げる活躍。「全然シュートがなかったので狙っていたけど、決まったのは、マグレ。でも、打った瞬間に行ったと思った。10回に1本でもいいからと監督に言われていたので、思い切って行けた」と会心のゴールを振り返った。

 劇的なゴールが生まれるまでは、海自厚木マーカスが試合の主導権を握っていた。序盤から幅のある攻撃を披露。2シャドーに位置するMF工藤隼人(3曹・神奈川大出身)、佐々木蓮(士長・尚美学園大出身)がサイドにポジションを取って相手守備網を広げながら攻撃を仕掛ける時間が続いた。一方の海自下総は、前半31分に木村晋作(1士・新潟経営大出身)のドリブルによるカウンターアタックから伊藤拓馬(1士・中央学院大出身)がシュートを狙った場面はあったが、攻撃の時間が少なかった。

 試合は決勝戦と3位決定戦に限って90分で行われる。準決勝までの35分ハーフとは異なる点が、影響を及ぼす。さらに、7日で5試合を消化するハードスケジュールでもあり、前半の終わり頃になると、両チームにビッグチャンスが訪れた。海自厚木マーカスは前半39分にMF柿崎佳弘(1士・神奈川大出身)がインターセプトから縦パスを入れるとMF工藤が巧みなタッチで相手をかわし、さらに前方へパス。佐々木が左からカットインして放ったシュートは、クロスバーを直撃した。前半43分には海自下総に好機到来。ロングパスを長身FW坂本純也(3曹・花咲徳英高出身)がバックヘッドでそらし、GK前に落ちたボールにFW室田が反応したが、シュート直前で相手DFに阻まれた。前半44分には、海自厚木マーカスに再びチャンス。佐々木、工藤が左で連係し、クロスにFW守永将平(士長・京都学園大出身)がスライディングで飛び込んだが、合わなかった。

 後半も海自厚木マーカスの優位は変わらなかった。海自下総は、3バックがゴール前で強固なブロックを築き、攻撃へのつなぎ役となるMF後藤隆志(2曹・桐蔭横浜大出身)が献身的な守備を見せて対抗していたが、時間の経過とともに攻撃のサポートが遅れ始めていた。しかし、後半26分、センターサークルを超えた辺りで縦パスを受けたFW室田が、ターンから思い切ったロングシュートをさく裂。終盤は海自厚木マーカスの猛攻にさらされたが、徹底した守備で完封した。厳しい試合を物にした海自下総の主将、鈴木徹(3曹・中央学院大出身)は「シュートは真後ろから見ていたけど、入るまでが長く感じるほど距離があった。入れ、それるな、行けと思いながら弾道を追った。入った瞬間は、しびれた。すごかった。このチームの先輩たちも見に来てくれていた。恩返しもできて良かった」と古豪復活をアピールする優勝を喜んだ。

(取材・文 平野貴也)

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