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何よりもチームのために…磐田MF太田「ジュビロが僕を育ててくれた」

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[4.26 J2第9節 千葉 0-2 磐田 フクアリ]

 後半アディショナルタイムにピッチを去る際、サポーターから大きな声援が送られる。この日、ジュビロ磐田のMF太田吉彰に得点はなかったし、アシストもなかった。しかし、自らに課せられた仕事を全うしたからこそ、男も充実の表情を見せてピッチを去った。

 右サイドハーフとして先発した太田は、MF谷澤達也とDF中村太亮が好連係を見せる千葉の左サイドからの攻撃を警戒していた。「ジェフの左サイドにはうまい選手が並んでいるので、まずはそこをケアすることを考えていました」。自らに課せられた仕事を、全力でこなす。特に左SBの中村への監視は怠らず、中村に「逆サイドにボールがあっても、太田さんがずっとケアしてきた」と言わせるほどだった。

 守備に重心を置いた。だからこそ、「いつもならもっと走って、チームに勢いを付けるんですけどね」と攻撃面での貢献が少なかったことに笑ったが、「でも、サポーターも今日の僕の仕事を理解してくれていたんだと思います」と、ピッチを去る際に送られた声援の意図を理解していた。

 下部組織から磐田で育った。02年にトップチーム昇格を果たすと、その後7シーズン半に渡ってプレーし、10年に仙台へと移籍。しかし今季、6年半ぶりの復帰を果たした。

「ジュビロが僕を育ててくれたし、ここまでやれているのはジュビロのおかげなんです。でも、ここ数年、地元に帰っても『ジュビロは大丈夫なのか』と言われる状況でした…。ただ、チームのために走ることができる選手がいればチームは変わると思っていたし、それができるのは自分しかいないと感じました」

 磐田のために走る。そう決心して古巣へと復帰した男は、9節終了時点で8試合に先発出場を果たし、首位に立つチームをけん引している。「年齢も年齢なので、自分のことよりもチームを勝たせるのが今の自分の役割です。自分が帰って来て、J1に上げなければ意味がないと思っています」と並々ならぬ覚悟を示し、チームのJ1昇格のために走り続けることを誓った。

(取材・文 折戸岳彦)
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