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無念の落選も“代表レベル”の自信掴んだ渡辺柊斗「目標は凌磨じゃない、その上」

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 結果には納得している。取材記者たちから伝え聞いたジョン・グッドマン・ナイキアカデミー最高責任者の「金曜日(1日)と土曜日(2日)はとても良かったので、それを十分にきょう(3日)ピッチの上で発揮できれば良かったし、それを期待していた。十分にパスが来なかったとかあったと思うけれど、金曜日と土曜日のプレーを十分にできなかったのが残念に思っています」という評価も受け止めている。外国人選手とのコミュニケーション不足で思うようにボールを受けられなかったことが合否に大きく影響した。だが、「NIKE MOST WANTED」グローバルファイナル(イギリス)に“日本代表”として参加したMF渡辺柊斗(東海学園高→東海学園大)は、MF渡邊凌磨(前橋育英高→早稲田大)ら合格者に比べて自身が明らかに劣っていたとは思っていない。
 
 確かにピッチ上で見せていた技術の高さは、南米、欧州含めた参加選手の中でトップクラスだった。最後の選考となるこの日の11対11でも正確なファーストタッチで前を向き、そこからの鋭いドリブルや精度高い左足パスを披露。サイドへピンポイントで出したスルーパスや飛び込んでくるDFを簡単にいなすシーンも印象的だった。普段に比べてボールを受ける機会が少なかったがために、いざボールを持った時に気負いすぎてしまった部分はある。ボールを持ちすぎてしまい、印象を悪くしてしまっていた。

 だが、スカウトたちからボールをこねているように映ったシーンも、渡辺柊にとっては持ち味のひとつ。むしろ、迷いが生じて思い切ってドリブルで行くべきところでもっと行かなかったことを反省している。「あれが自分の良さでもあると思うので、その評価が悪かったということは見る人によって違う。自分の良さを出すというところで行くならば、もっとグッと自信もっていけば問題なかったのかなと思う。貫いていかないといけない」。

 ナイキアカデミー入りを逃したが、今回は自信を得る海外での日々となった。渡辺柊は愛知で注目集めたレフティーだが、「NIKE MOST WANTED」の“日本代表”としてともに活動してきた渡邊凌はU-17W杯出場、日本高校選抜の10番など実績で渡辺柊を上回る選手。その渡邊凌と比較しても自身が世代トップで「全然やれる」レベルにあると体感することができた。

「今の時点で凌磨の方が実力あって選ばれたということなんで、そこは自分で受け止めてその差を埋める作業をしっかりやりたい。どうすれば追いついて追い越せるのかという課題は、自分の中である程度見つかっている。技術面で間違いなく勝らないといけないと思っていますし、身体の部分では凌磨の方がしっかりしているし、外国人の方がしっかりとしているんで、そこのところを少しでも埋めて、差をつけれれば問題ないのかなと思っています。目標は凌磨じゃないので、その上なんでしっかりと目標をもってやっていきたい」。渡邊凌も「柊斗のドリブルは凄いと思う」と認めるテクニックの持ち主。今回の評価ではライバルに敗れたが、必ず追い越してより高いレベルの選手になる。

 これからは大学サッカーが戦いのステージ。東海王者・東海学園大で試合に絡んで結果を残して行く。日本人で2人だけが経験した「NIKE MOST WANTED」グローバルファイナルを今後の大きな飛躍へ繋げていくだけだ。初となる海外でのプレーで自信を得て将来の視野を広げた渡辺柊は、今後世界を目指す日本の若き才能たちへエールを送った。「みんなは海外って凄いなというイメージがあると思う。でも日本人は間違いなく通用すると思う。自信もってもらいたい。技術は間違いなく上回っています」。将来の“海外再挑戦”へ向けて、彼もより違いを生み出すために自身を磨く。
 
(取材・文 吉田太郎)

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