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[スポ東]勝利への執念が生んだ4ゴール!"暑き"一戦は上昇への道しるべに

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[スポーツ東洋 ゲキサカ版]
[5.17 第89回関東大学サッカーリーグ戦・前期2部リーグ第9節 東洋大4-0青学大]

 多彩な攻撃から4得点を挙げ、守備陣は最後まで体を張ってゴールを守り切り完封勝利。チーム全員の魂のプレーがチームに3試合ぶりの勝利をもたらした。
東洋大4-0(1-0)青学大

<得点者>
25分 遊馬
54分 遊馬
87分 田中
89分 仙頭

<警告>
37 分 飯島

<出場メンバー>
▽GK
沖野泰斗(4年=幕張総合高)
▽DF
石坂元気(4年=広島ユース)
今井裕基(4年=埼玉栄高)
郡司昌弥(4年=柏U-18)
浦上仁騎(1年=大宮ユース)
▽MF
飯島樹生(3年=流経大柏高)
90分→徳市寛人(3年=東福岡高)
田中舟汰郎(3年=横浜FCユース)
高橋宏季(1年=F京U-18)
仙頭啓矢(3年=京都橘高)
小山大貴(4年=大宮ユース)
89分→坂元達裕(1年=前橋育英高)
▽FW
遊馬将也(4年=武南高)
90分→佐藤仁紀(3年=武南高)


 決して完璧な内容ではなかった。それでも、チーム全員の勝利への執念が大量得点、無失点という最高の結果を生んだ。
 前半は両チームともサイドを起点に攻撃を組み立てるが、お互い決定機までは持ち込めない。ボールの支配では青学大が若干優位にゲームを進めるも、シュートの数では東洋大が上回るゲーム展開に。ゲームが動いたのは25分、再三サイドでボールを受けていた小山大の低めのクロスに中央で合わせたのは遊馬。振り抜いた足はボールにミートし、ゴールに吸い込まれた。その後相手も攻撃にギアをかけてくるが守備陣が体を張ってブロック。プレスのかけ方や守備時の位置取りなどいつも以上に選手間での声が響いた。すべては3試合ぶりの勝利のため。ピッチは気温以上に選手たちの思いで熱を帯びていた。

 後半もゲームは両者一歩も譲らぬ熱い展開を繰り広げると54分。今度は中央から、仙頭のスルーパスに遊馬が抜け出し追加点を決める。エースの2ゴールで会場の熱も最高潮に。ベンチ外選手の応援にもいつも以上に熱が入る。鳴り響く太鼓、背中を押す声、見つめる視線、チーム全員が勝利だけを望んでいた。その後は相手が攻撃に転じる時間が長くなるも、集中したディフェンスでゴールを死守。特に郡司のカバーリングや今井の速さと強さ、沖野のセービングはチームを後方から盛り立てた。そして守備陣の頑張りに攻撃陣がさらに答える。後半も終了間際の87分、郡司の浮き球のパスに相手とうまく入れ替わって抜け出した石坂がグラウンダーの速いクロスを中央へ。走りこんでネットを揺らしたのは、これが公式戦初ゴールの田中。ゴール後は敬礼ポーズで観客席を沸かせるとそのわずか2分後だった。同じくサイドを抜け出した石坂の中央へのパスを右足で落ち着いて決めたのは仙頭。終了直前の2ゴールで大量4得点、守備陣は最後までゴールをシャットアウトして試合を締めた。渇望していた勝利を手にした選手たちは喜びを爆発させた。

 4得点を挙げたが、ゲームの主導権を握り続けられたわけではない。「もう一度1から戦おう」とミーティングで声をかけたという古川監督。3戦勝利から遠ざかっているプレッシャーからか、受けに回る時間も多く、「我慢の必要なゲーム」だったと振り返った。それでも苦しい時間帯を耐え抜き無失点で終えた今節。強力な攻撃と安定した守備、チームの基盤はぶれていないことを証明している。試合後観客席に挨拶に訪れた監督のもとには、かけよる小さなお子さんの姿が。小さくハイタッチすると一瞬見せた穏やかな父の顔。その後、ベンチ入りメンバーの練習場に戻った監督の顔は厳しく選手を見つめる第2の父の顔に戻っていた。次節、首位日体大との重要な一戦。連勝という最高の結果でチームに、家族に、再び監督は笑顔をもたらせてくれるだろう。

以下、試合後のコメント

●古川毅監督
―今日の試合を振り返って。
「ここ3試合勝ててなかった中でのゲームで相手は同じ勝ち点の青学大。昇格争いに加わるためには勝たなくてはいけない試合だったがなんとか生き残ることができた」

―ボランチのコンビについて。
「連戦ということもあり、試合ごとにバランスという部分を考えている。北斗(小山)もいい選手だし、勝野もいいプレーを見せてくれた。高橋はどちらかといえば「うまさ」のほうでプレーする選手であり、「強さ」を全面に出す選手ではない。高橋と誰かを組ませる場合、「強さ」もった選手の存在が重要度を増すかなと思っている。開幕から定着していた飯島の怪我の回復具合も見ながら選手を選択した。それぞれの選手に良さがあって、信頼している。その中で組み合わせやバランスの部分を見定めなくてはいけない。今節は飯島の練習でのパフォーマンスなどを総合的に見て起用した」

―試合展開について。
「先制できてから青学大に攻め込まれる場面が多かったし、後半もボールを持たれる時間が長かった。我慢の必要なゲームだったと思う。守備の献身性と攻撃での思い切りの良さを選手に求めたが、うまく選手たちはそれを体現してくれた」

―次戦に向けて。
「首位の日体大は昇格するうえでは倒さなくてはならない相手。GWで勝点を取りこぼしてしまった部分もあるから、上位陣と差を縮める絶好のチャンスになんとか食らいついていきたい」

遊馬将也(4年=武南高)ゲームキャプテン
―試合を振り返って。
「5月入ってから勝ててなくて、青学は自分たちより順位が下で絶対に勝たなければいけないという気持ちが強い試合だった」

―今日は自らの2ゴールで勝ったが。
「それは素直に嬉しいが、これを継続させていかないと意味がないと思う。チームを勝たせることが自分の仕事なので、チームのためにやっていきたい」

―サイドからの攻撃が多かったが。
「青学も自分たちと似たようなサッカーをしてくるから、サイドのスペースに流し込むことは攻撃パターンの1つでそれをチームで意識することができた」

―次節に向けて。
「昇格するためには絶対勝たなければいけない相手だから、今日の勝ちを無駄にしないためにももう一度チーム全員で気持ちを入れ直したい」

石坂元気(4年=広島ユース)
―試合を振り返って。
「ここ3試合勝ててなくて、今日同じ位置にいる青学大を倒さないと昇格争いから遠のいてしまうという大事な試合だった。チーム一つになって絶対に勝たなくてはいけないと思っていた」

―2アシストを記録
「郡司からいいパスが来て、相手がミスをしてくれたこともあり抜け出せた。クロスをあげるところに舟太郎(田中)だったりFWの選手が入ってきてくれるのでやりやすかった」

―3試合勝ててなかったがチームの雰囲気は。
「連勝しているときと変わらず、落ち込まずいつも通りやっていた。みんなで盛り上げて雰囲気をよくしていた」

―次節に向けて。
「気温も上がるがそれは相手も同じこと。相手より走って気持ちを入れて頑張りたい。相手は首位の日体大だが、ここを叩ければ総理大臣杯のほうにも勢いがつくと思うから絶対勝ちたい」

沖野泰斗(4年=幕張総合高)
―試合を振り返って。
「チームとしてここ数試合勝てていない中で、ディフェンスは無失点で終われて、攻撃陣は大量得点で結果的に解消できたのはすごくチームとして良かったと思う」

―久々の無失点は。
「前回の試合のような大きい試合で消極的になってしまい、チームに貢献できなかった。なので今日は無失点で終えられるようなプレーを意識して、結果的に貢献できたということはすごい良かった」

―ミーティングで話したことは。
「スタッフからも諦めるなよと常々言われていたし、僕たち自身もここからだとスタメンを中心に全員で話し合ってきた」

―次節に向けて。
「日体大は首位ではあるが自分たちと個人のところでは差がないと感じているのであとはチームがまとまってどれだけ組織で戦えるかというところを意識して一週間取り組んでいきたい」

飯島樹生(3年=流通経済大柏高)
―試合を振り返って。
「チームとして苦しい状況だったので、どうしても勝ち点3が欲しかった。ここまでチームを客観的にみてきた中で、チームに何が足りないかは常に考えていたので、勝ててチームに貢献できたのは良かった」

―ポジション争いが激しいが。
「みんないい選手なのでそれぞれ良さがあるが、自分は攻守に渡ってチームのバランスを取ることが仕事だと思う。その部分は他の選手には負けない」

―次節に向けて。
「上位から離されないように何が何でも勝たなければいけない。チーム一丸となって戦っていきたい」

仙頭啓矢(3年=京都橘高)
―今日の試合を振り返って。
「絶対勝たないといけない試合で、みんな気持ち入って戦って勝てて良かった」

―2得点に絡んだが。
「最近結果を残せていなかったので、あまり良くはなかったが結果を残せたのは自信になるので良かった」

―得点シーンを振り返って。
「元気(石坂)くんが良いボールを上げてくれたので合わせるだけだった。感謝したい。練習からこの形は話し合っているのでそれが試合でも出て良かった」

―ミーティングなどで話したことは
「自分たちのサッカーよりも結果を求めるサッカーで勝ちたいと話していた」

―次節に向けて。
「上位に追いつくには直接対決で勝たなければ、追いつけないので、しっかり勝ち点3を取って、今日のような試合ができたら良いと思う」

田中舟汰郎(3年=横浜FCユース)
―試合を振り返って。
「この前、大事な試合を落としてしまった。だから今節は仕切り直しの一戦だった。しっかりみんなで声を掛けながら出来て、それが結果につながったので良かった」

―初得点だったが。
「素直に嬉しい。チーム全員で取った点だと思っている」

―前半、郡司と声を掛け合っていたが。
「戦術や守備の関係でずれているところを遠慮なく話し合っていた。結果、いい方向に向き、点につながって良かった」

―次節に向けて。
「次節は首位の日体大なので勝ち点3を取れるように頑張りたい」

[写真]リーグ戦初得点を決めた田中

(文 スポーツ東洋 吉本一生)
(写真 村田真奈美、當麻彰紘)

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