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[MOM1390]草津東MF山本悠樹(3年)_関西の逸材MFが2ゴール2アシスト

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.4 全国高校総体滋賀県予選準決勝 草津東高 6-0 光泉高 布引グリーンスタジアム]

「人よりは見えているところは広いと思いますし、見ているところも違うと思います」という視野の広さ、自慢のパスセンスを発揮しただけでなく、ドリブル、ゴールでも違いを示した。草津東高の注目MF山本悠樹(3年)が別格の動きでチームの6発快勝に貢献。全国総体出場まであと1勝とした。

 両ワイドの攻撃力の高さなど、今年の草津東は全国クラスの力がある。中でも10番・山本悠は異彩を放つ存在だ。トップ下から時にボランチの位置に下がって攻撃を組み立て、流れの中でシンプルなパスを出す一方、非常にさりげなくスルーパスや遠いサイドへの意表をつくラストパスを通してしまう。光泉高は立ち上がりからアグレッシブなサッカーを展開していたが、草津東からボールを奪えず、また彼が絡む攻撃に最終ラインを破られて失点を重ねた。

 山本悠はこの日、2得点2アシスト。1-0の前半10分、中央から切り返しを交えたドリブルで運ぶと最後はFW高橋晃平とのワンツーを完結させて右足でゴールを破る。さらに後半開始直後には左サイドからのラストパスをゴールへ沈めると、後半12分にはスルーパスで高橋のゴールをアシスト。そして19分には「取った瞬間にもうあのコースしか浮かばなかった。あれはイメージ通りでした」と右サイドから相手のバックラインの背後へ絶妙なラストパスを通して再び高橋のゴールをアシストした。

 意識しなくてもスペースを把握してしまう目。ピッチを俯瞰するような感覚で次のパスコースを見つけ、そこへ通してしまう。「平面じゃなくて上から見れば人がいても絶対にスペースがあるので、という考え方ですね。見たときに何本かパスコースが、意識していないですけど、(見つけ出すことが)できているのかなと」。加えて「結果としてゴールが一番わかりやすい」というMFは、バイタルエリア周辺でその力を最大限に発揮する。1月の高校選手権で全国総体王者の東福岡高と対戦し、「人がいっぱいいる中でも当たり負けしなければ見えているところは見えているんでプレーできるかなと感じました」と学び、当たり負けしないことなど本人は課題として挙げる。「今のパスの精度はもっと上げていけると思いますし、自分で局面を打開できたら相手にもっと怖い選手になっていけると思います」というように精度や打開力、また小林茂樹監督が「もっともっと体張ってDFできければ」と指摘する守備面などさらなる向上が求められるが、この日はPAへのラストパスを選択するアイディア、それを通す精度など見応え十分のプレーで快勝をもたらした。

「きょうはあまり打てなかったけれど、ミドルも打って行きたいなというか、その精度も上がってきている。決勝とかでは一発行っておきたいなと思います」というMFが意識している存在は、高卒1年目からサガン鳥栖でブレイクしているMF鎌田大地だ。関西選抜でプレーした際に「上手すぎて衝撃」と感じたという鎌田のプレー。「一緒にプレーして衝撃というか。大学生にも当たり負けしないですし、見ているところも似ているところがあった。ああいうふうになっていければいい。(活躍は)結構刺激になっています」。山本悠自身もプロ志望。この日、多数集まっていたスカウト陣の前で躍動したMFは「一番の目標はプロというのがある。そこは変えないですし、行けるのであれば高校から狙っています。全国だけやなくて、プロというもっと高いところで自分を高めていきたいと思っています」という目標を自らの力で達成する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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