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[特別インタビュー]自身初のタイトルを渇望する槙野智章「レッズでタイトルを」

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 Jリーグで首位を走る浦和レッズにおいて、守攻両面で圧倒的な存在感を見せているのがDF槙野智章だ。浦和加入4年目の今季は、悔しさを味わい続けてきた過去3年間の経験を生かし、ひと味違うプレーでチームの勝利に貢献している。日本代表でのレギュラー奪取の期待も膨らむ28歳。明朗快活なその声に耳を傾けた。

ゴールよりも無失点
“DFW”の意識改革


―浦和レッズは現在、Jリーグ第1ステージ優勝に向かって邁進中ですが、充実しているのではないですか?
「僕自身はそういう気持ちはないですね。2012年にレッズに加入してから過去3年間のことを思えば、現在のプレーや成績ではまだまだ満足はしていません。今は勝利を重ねているので結果が出ていると言えるのかもしれませんが、まだ何も成し得ていないという思いが強いんです。ここで満足したら終わりだなという危機感を常に持ちながらやっています。たとえ第1ステージで優勝したとしても、『まだ成し遂げていない』という思いは変わらないと思います」

―それにしても今季は攻守のバランスが良く、得点が多くて失点が少ない。12年にペトロヴィッチ監督が就任してから最強なのではないですか?
「そうですね。ただ、ほんとに欲張りなんですけど、実際のところ、失点はもっと減らせます。考えてみれば仙台戦の4失点(第11節、△4-4)や、鹿島戦のオウンゴール(第13節、○2-1)もそうですし、いろいろな部分をもっと突き詰めていけば、もっと失点は減らせると思っています。そうすることによって、もっと良い結果、もっと良い数字を残せると思います」

―今季は開幕からしばらくは守備陣が耐えることで勝ち、試合を重ねてからは攻撃陣が格段に良くなって勝っている印象です。
「攻撃は確実にステップアップしていますし、チームとして攻守において良いバランスができてきています。振り返れば、2年前は攻撃陣に助けられたシーズンでしたし、昨年は後ろが踏ん張ったシーズンだったのですが、今年は両方とも良いところを出そうというテーマでやっています。その結果、前の選手はしっかりとゴールを奪う、後ろの選手はしっかりと体を張って守るというバランスができています。そこに関してはすごく充実していると思います」

―攻撃陣はチーム内の競争も激しくなっています。
「今季は攻撃陣がかなり補強されました。そんな中、メンバーを固定せずに戦ってきて、今、いろんな選手がゴールを取っています。それはチームの好調を示しているのかなと思いますね」

―その一方で、槙野選手はまだ得点が少ないですが?
「得点は欲しいですが、ただ、今シーズンに限ってはゴールへの欲よりも、失点をしないという欲のほうが上回っています。攻撃参加をしていないわけではないのですが、リスクをかける時間帯とそうじゃない時間帯、あるいはリスクをかける回数を考えてプレーしています」

―自身のゴールが少ないことは気になりますか?
「そんな気にしていないですよ。一昨年も昨年も『今日はオレが絶対にゴールを取ってやる!』と言うこともありましたが、それは良いところでもあったし悪いところでもありましたから。でも今は自分のゴールよりも、後ろはしっかりゼロで抑えようという気持ちですね」

―それは意識改革に近いですか?
「恥ずかしながら、ディフェンダーとしてプレーしていて、ゼロで終えたときの達成感を初めて覚えたのは昨年なんです。僕は1点取られたら2点取ろう、2点取られたら3点取ろうという、実に前がかりな攻撃的なサッカーの中で育ってきました。ですから、1-0の試合という緊張感のある試合の味を知らなかったんです。昨年からそういう試合の醍醐味を知って、成長させてもらったと思っています」

タイトルへの執着心
「得失点差も強く意識している」


―今、試合で一番気をつけていることは何ですか?
「まずはやはりバランスですね、それと、試合中にボールアウトしたときなど、プレーがストップしたときに近いポジションの選手で集まって、何をしないといけないのかという話し合いが今年は密にできています」

―確かに、今季はピッチで集まって話し合うシーンをよく見ます。
「ピッチ上ではいろいろなことが起こります。その中で、経験のある選手だったり、ミシャ監督と長くやっている選手が中心になって、何をしなければいけないのかということを考えながら、周りに伝えながらやっています」

―ミシャ監督体制になってからの過去3年間の反省を生かしているということですか?
「ベースとしてはやはり攻撃主体のチームなのですが、時間帯によっては、攻撃にリスクをかけるべきではない時間帯もあります。それと、今季の僕たちは得失点差も強く意識しています。去年もそうでしたが、得失点差は(シーズン終盤に)結構、響いてくると思っています。例えば4-0で勝っていても、4-1にされてしまえば、その1失点があとになってどれだけ大きいものになるか、僕らは分かっています。だからこそ、(失点)ゼロへの執着心が生まれますし、取れるときは取る、でも我慢するときは我慢するというメリハリがプレーに出ていると思います」

―槙野選手の守備に関して言えば、絶対に止めてやるという球際の意欲が高まったように見えます。
「僕の守備への考え方としては、スライディングは最後の選択肢なので、あまり多いことが良いとは思っていません。できるだけスライディングをせずに、体を預けて取るということがベストだと思います。今は最後のところまで踏ん張ってプレーできていると感じていますし、それが(失点数が少ないという)数字に表れていますから、良い状態だと思います」

―特にゴール前で身体を張って防ぐ場面が頼もしく映ります。
「1対1の勝負どころについては、今年は特に自分の中でこだわってやっています。レッズでは後ろに西川周作という男がいますけど、やっぱりシュートを打たれないことがベストです。周作にボールを取ってもらうシーンはできるだけ少ないほうがいいんです。フィールドプレイヤーは手を使えないですけど、使える部分で体を張って守ろうと思っています」

―相手がシュートを打ってきても、至近距離でブロックすればシュートにはカウントされませんよね。
「今季のレッズは被シュート数も少ないと聞いています。それは、後ろの選手もそうですが、チーム全体での守備意識が間違いなく高くなっているからだと思います」

―今季はプロ10年目。自身初のタイトルを取りたいという思いは強いですか?
「高校時代まではタイトルを多く取っていましたが、プロになってからはゼロックススーパーカップをタイトルと言って良いのか、あるいはJ2優勝がタイトルか分かりません。目に見える大きなタイトルというのを僕は取っていません。プロで取るタイトルは重みが違うし、レッズでやってきた時間も長くなってきているので、それだけタイトルへの執着心は強くなっています」

―チーム内にはベテランの鈴木啓太選手や平川忠亮選手、あるいは他クラブ時代にタイトルを手にした選手も多いですよね。
「取っていない選手のほうが少ないですよね。だからこそ僕はレッズでタイトルを取りたいという思いをだれよりも強く持っています。それと、やっぱり僕はミシャ監督に育ててもらった選手の一人でもありますから、監督にタイトルを捧げたいという気持ちも、だれよりも強いと思っています」

ターニングポイントとなった
ハリル監督からの“メッセージ”


―日本代表についてお聞きします。ザッケローニ前監督時代はサイドバックとして起用されることが多かったですが、ハリルホジッチ監督の下ではセンターバックとして競っていますね。
「ハリルさんが、最初の合宿でセンターバックとして呼んでくれたことは、何かのメッセージでもあったと思っていますし、自分を変える上でのターニングポイントだったと思っています」

―やはり変化はあったのですね?
「ありましたね。レッズでやっているプレーを見てもらって呼ばれるのであれば、間違いなくサイドで呼ばれていたと思います。でも、そうではなかった。レッズでやっているプレーを見て真ん中で呼ばれたということであるなら、守備のところでの人への強さや、あるいはゲームをコントロールする上でのコーチングというところを見てもらえているのかなということを感じました」

―ハリルホジッチ監督には何と言われましたか?
「『20日前から言うことを考えていた』ということについても、5月の合宿で言ってもらえました。ハリル監督が言ってくれているのは『良いところを伸ばす上でも、自分にできないことを認識しろ』ということです。ハリル監督は、自分に今できていること、足りないところ、そしてこれからもっとやらないといけないところというのを、練習でも練習後のミーティングでも強く言ってくれます。あとは合宿の中で見て、所属クラブに帰ったときにこれを意識しなさいという宿題も出してくれています」

―自分では、どういうところができないところだと認識しているのですか?
「ほぼ意識の問題で変わることだと思っています。ハリル監督の言葉で一番響いたのは、『違いを見せろ』ということです。スタンドから見ても、あるいは記者席から見ても、スタジアムのピッチ上に22人いる中で『あの選手、ちょっと普通と違うよね』と思われるようなプレーをしろと。『やっぱりあいつは日本代表の選手だよね』と思われるようなプレーをしろということを言われました。普通どおりにプレーして、普通に走って戦うのではなく、だれよりも走って、気持ちを前面に出して、バトルすべき場面では闘う。プレッシャーをかけるプレーもそうだし、喜ぶところもそう。だれがスタンドから見ても、『あいつ、ちょっと違うよね』『いい意味でクレージーだよね』と思われるような、ひと際輝く違いを見せろと言われています」

―その一つの例が球際でしょうか?
「ボールに詰めるところも、パススピードも、相手との距離の詰めも、これらは全部意識の問題だと思っています。『これぐらいでいいや』というのではなく、目の前の相手に勝つという気迫がボールに伝わると思っていますし、それが伝染して良いプレーにつながっているのかなと思っています」

―代表ではどういう自分になっていきたいですか?
「やはり、ポジションは確保したいと思っています。国内組の自分が置かれている状況の中でレベルアップするためには、意識の部分をしっかり持つことが必要です。毎日が勝負で、毎日見られているというぐらいの緊張感を持ってプレーしたいと思います。それが結果につながったり、プレーにつながると思っています」

(取材・文 矢内由美子)

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