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サッカー界のレジェンドが指導!!「ブカツ応援キャラバン」で高校生が思い出づくり

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 サッカーをはじめ、バレーボール、バスケットボールなど各競技の“レジェンド”たちが中高生を直接指導する「ブカツ応援キャラバン」。02年日韓W杯で日本代表コーチを務め、04年アテネ五輪ではU-23日本代表を率いた山本昌邦氏が、16日、東京工業大学附属科学技術高等学校(東京)を訪れた。

 指導をはじめるにあたり、まずは「ブカツ応援キャラバン」を主催する大塚製薬スタッフから「水分補給」のレクチャー。スポーツ選手のコンディションづくりにおける「水分補給」の重要性を生徒たちに説いた。「水分をとって走れないと試合で勝てない。最後の5分で仕事ができるか。水分補給がそれを分ける」と山本氏からも提言。「10年南アフリカW杯、14年ブラジルW杯。どちらもファイナルの決勝点は延長戦で生まれている。13年と14年高校選手権の決勝戦もそう。それが水分をとることがいかに重要かを物語っている」。生徒たちは熱のこもった眼差しで約10分の“授業”を聞き入った。

 練習では試合を想定したトレーニングが続く。「切り替えろ!」「諦めるな!」「集中しろ!」。いきなり山本氏のゲキがグラウンドに響き渡る。4対1のパス回しでは動きながらパスを引き出し、ボールを受ける前にパスコースを想定することが求められた。最初は動きが固く、ミスも目立っていたが意図をすぐさま吸収し、プレーに反映させていった。「集中を切らさないために」(山本氏)給水時間は2分のみのため、だらける生徒は1人もいない。中身の濃い2時間半のトレーニングとなった。

“レジェンド”からサッカーの厳しさを叩き込まれた生徒たち。だが同時に「楽しかったです」と瀧澤健太部長(3年)は充実した表情も見せた。「止めてから考えるサッカーをしていたので、動きながら考えてやることが難しかったです。それでも少しずつ慣れてきて、周りが見えるようになってからは思うようなところにパスが出せるようになってきました」。

 終了予定時刻を大幅にオーバーするほど指導に熱が入っていた山本氏。「止まってプレーする技術はみんなあるので、常に動きながら、考えながらプレーしても技術がブレないことを意識させています。そういう負荷をかけて、生徒たちに足りないことを気づかせることが重要」と高校年代を指導する際のポイントを明かす。さらに、山本氏は、サッカー選手だけでなく1人の人間としての成長も期待する。「足りないことだけではなく、可能性も気づかせてあげられれば、自ら事を起こすことができる。ぜひ自分の意志でいろいろなことにチャレンジしていってほしい」。

 練習後、生徒1人1人に大塚製薬からの記念品と山本氏のサイン色紙が手渡され、山本氏からの激励コメントも送られた。「自分たちはプロになれるわけでもないので、最後の目標は両親を喜ばせる。そのためには練習して勝つことが大事だと思います。いままで指導してくださった先生たちにも感謝を表すためにも、今日教わったことを普段の練習から活かしていきたいと思います」。残りの高校サッカー生活を悔いのないものに――。“レジェンド”からの指導は、瀧澤部長をはじめ東工大付属高サッカー部員の胸に確実に届いたはずだ。

(取材・文 奥山典幸)

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