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[総体]3年生中心に苦しい戦い乗り越えた大阪桐蔭が3年ぶりの近畿制覇!

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[6.22 近畿高校サッカー選手権大会決勝 神戸弘陵高 0-2 大阪桐蔭高 布引陸上]

 第68回近畿高校サッカー選手権大会は22日に決勝戦を行い、神戸弘陵高(兵庫3)と大阪桐蔭高(大阪1)とが激突。大阪桐蔭が2-0で勝利し、2012年大会以来2度目となる栄冠を手にした。

 激戦区・大阪予選の首位で全国総体出場権を掴んだ大阪桐蔭。一方、県予選の準決勝で滝川二高に敗れ、出場権を逃した神戸弘陵。それぞれの立場は違うが、近畿No.1をかけた戦いだけあり、試合序盤から白熱した攻防が繰り広げられた。先に仕掛けたのは神戸弘陵。「総体予選はシュートが少なかったので、シュートを多く打っていこう」(谷純一監督)と今大会から採用するFW土井智之、FW入谷子龍の2トップにボールを集め、2人の突破力からチャンスを演出した。12分には入谷が自ら獲得したPA右でのFKを直接狙ったが、GK上田人志にパンチングでCKに逃げられ、ゴールとはならず。18分にも右CKをゴール前に転がし、DF大隅育志がミドルシュートを狙ったが枠を捕えることができない。

 上田が「前線に能力がある選手が多いので、ボールが入ると崩されてしまっていた」」と振り返ったように、出だしは苦戦した大阪桐蔭だが、「チャンスは作れていたので、いつか入るだろうなと思っていたので、集中を切らさず0に抑えればと思っていた」と焦りはなし。相手に主導権を握られながらも、機を見ては攻撃に転じ、MF清水大輝、FW田村浩都を中心にゴール前までボールを運んだが、シュート3本に終わり、無得点のまま前半を終えた。

 後半も開始早々に入谷が決定機を迎えるなど、神戸弘陵のペースで試合が進んだが、前半と同じくチャンスを活かすことができず。後半19分には左サイドでボールを受けた土井がゴール前にクロスを展開すると、ゴール前の入谷が肩でPA左に落とす。フリーで待ち受けたMF下山祥志が右足ボレーで合わせたが、枠を捕えることができなかった。

 神戸弘陵が再三の決定機を活かせずにいると、今度は大阪桐蔭が相手DFの背後に何度もパスを通し、攻勢に。流れが加速したのは20分の選手交代。FW川辺雄貴に代えて、ボランチのMF野田圭佑を投入。ボランチだった清水を前線に上げて、攻撃のスイッチを入れた。27分には「ボランチに入れば、チームがバランス良くなるし、前線に入ればチャンスが増える」(上田)という清水が早速、大仕事を果たす。右サイドでのボールキープから、DF田口創太のオーバーラップを促すと、高い位置で受けた田口がスピードのままPA右に侵入。ゴール前に入れたパスを田村が落ち着いて決めて均衡を崩した。

 試合終了間際の35分にも再び清水。MF黒川圭介が突破から放ったシュートからCKを獲得すると、ゴール前に上がったボールをヘディングで叩き込み、2点目を獲得。終盤のチャンスをしっかり物にした大阪桐蔭が2-0で神戸弘陵を下し、栄冠を手にした。

 大会を制した大阪桐蔭は失点してもおかしくない場面を与えながらもDFを中心に集中力を切らさずに対応。勝負どころをきっちり逃さず得点に繋げた。上田は「この大会は初戦の三田学園高戦から厳しい戦いが続いたけど、3年生主体だったから、ベンチからの声も良く出ていたし、苦しい時にも頑張れる力になれた」と勝因を分析。また「自分たちの課題であるメンタルの弱さがこの大会で強くなってきた。試合ごとの波がなくなってきたのかなと思う」と続けたように、タイトルだけでなく大きな収穫を得た様子だった。試合後は応援団や保護者と優勝の喜びを分かち合ったが、浮かれた様子はなく、「今大会を経験した下級生はGK稲垣佳祐と田村のみ。3年生が『一生懸命やったね』で終わるのではなく、この経験を他の1、2年生に伝えることが出来るかが、これからの成長に繋がる」(永野悦次郎監督)とすでに視線は先を見据えていた。

 対して神戸弘陵は、終盤まで自らのペースで試合を進めながら勝利とはならず。谷純一監督は「正直、もったいないゲーム。後半の途中までうちのリズムで試合が運べたとは思う。点が獲れなかったことと、残り10分でうちの運動量が落ちた隙を逃さず突いてくる駆け引きの巧さが結果に繋がりましたね」と悔やんだ。全国総体を逃していただけに今大会にかける思いも強かったが、「速くボールを前におさめる時と、全体で使い分けができればと思っていたけど、近畿大会では上手くできたと思う」と収穫も十分。加えて、「今大会はGK以外が全員3年生で、言いたいことを言い合えたり、これまで以上に関係性が良くなった」(DF中濱颯斗)ことも今後に繋がる収穫と言えそうだ。

(取材・文 森田将義)
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