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[プレミアリーグEAST]鹿島ユース、主力4人欠くも昨年王者とドローで首位キープ

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[6.27 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 柏U-18 1-1 鹿島ユース 柏]

 鹿島がしたたかさを見せつけた。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015プレミアリーグEASTは27日に第7節第1日を行い、首位の鹿島アントラーズユース(茨城)は1-1で昨季の王者・柏レイソルU-18(千葉)と引き分け、首位をキープした。

 内容では柏が上回ったが、それだけに分け合った勝点1の価値は、鹿島の方が大きかった。鹿島は、得点ランク3位のFW垣田裕暉とSB宮本健太が累積警告で出場停止。守備の中心であるDF町田浩樹もU-18日本代表の中国遠征に参加、GK沖悠哉もU-16日本代表の大会に参戦して不在と主力4人を欠いたが、粘り強い守備と、1チャンスを物にする攻撃で敵地から勝点を持ち帰った。

 序盤はMF平戸太貴のロングパスからFW吉岡樹利也のキープ、右MF田中稔也のクロスとつないで、ゴール前にFW武田諒太が飛び込むなど積極性を見せたが、前半の途中からは柏がハッキリと主導権を握る展開となった。柏は23分にMF伊藤達哉が右サイドを突破してクロスを供給。42分には伊藤のキープから攻撃参加した右DF坂本涼斗につないで、クロスにFW白川恵士朗が飛び込む際どいシーンを作り出した。柏も熊川翔古賀太陽の主力両SBを負傷で欠いたが、左から右に主戦場を移した伊藤と坂本の連係で、右から多くのチャンスを作り出した。しかし、公式記録に残された前半のシュート数はゼロ。主将の下澤悠太は「前半から何度かサイドを崩せていたけど、もっと回数を増やしたかったし、中盤からクロスに入る動きが少し遅れていた」と反省点を挙げた。

 得点がないまま迎えた後半には、攻めながらも得点できない展開でありがちなパターンに陥った。15分、鹿島は左CKのこぼれ球をDF戸田拓海がシュート。さらにこぼれたところを町田不在の間、ボランチからCBにポジションを移しているMF松浦航洋が右足でたたき込んで先制点を挙げた。ただし、柏も勢いを落とさなかった。4分後、柏は坂本が下澤とのパス交換で高い位置まで攻め上がって「コースしか見えなかったけど、出せば人が来てくれると思った」という低いマイナス方向のクロスを供給。すると、それまでは中盤でこぼれ球を待っていたというMF山崎海秀が「監督からも1つ前に出て狙えと言われていたし、あの場面は絶対にクロスが入ると思ったので(相手の)前に出た」と相手よりも先にボールへ近付いてフリーになった状態で飛び込み、左足のダイレクトシュートを流し込んで同点とした。その後も柏の猛攻が続き、30分にはFW浮田健誠のシュートが相手DFに当たりながらもポストをたたき、坂本が押し込みに行く場面もあったが、逆転のゴールは奪えなかった。

 新旧首位対決でもある注目の対戦カードだったが、柏は伊藤が「相手は首位で、僕らは7位。正直、試合前は引き分けでも良いかなと思った。昨年の王者と言われても、同じメンバーではないし、自分たちが王者という意識は誰も持っていないと思う。むしろ、鹿島の方が昨年から出ているメンバーが多いので、僕たちはチャレンジャーの気持ち」と話したように、今季わずか1勝と苦しんでおり、現実的な下位脱出が当面の目標。下平隆宏監督が「結果が重要。セットプレーでもカウンターでも点を取れるようになっていかないといけない」と話すように、内容面だけでなく勝負強さを身につけることが課題だ。手応えのあったサイド攻撃の活性化をさらに図りたいところだ。

 一方、昨年度のJユース杯を2年生中心で制した鹿島の強さは、トーナメント戦の一過性の勢いなどではなく、確実なものになりつつある。昨年の同じカードでは、試合終了間際に追いついたにも関わらず、アディショナルタイムに決勝点を許すという後味の悪い敗戦を喫しただけに、主将の千葉健太は「(主力の)メンバーを欠く中で、本当のチーム力が試されると監督から言われていた。得点直後に失点したことは反省点だけど、アウェーでも勝点を取って帰ることができたのは、良かった。最後に取られてしまった昨年から成長した部分だと思う」と手ごたえを話した。戦力が不足し、内容が伴わない試合でも敵地で勝点を奪った戦いぶりに、首位・鹿島のしたたかさが表れていた一戦だった。

[写真]後半15分、セットプレーのこぼれ球を押し込み、先制点を挙げた鹿島ユースDF松浦航洋

(取材・文 平野貴也)
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