[プレミアリーグEAST]「サッカー、気持ちのところでも良く戦った」無敗の大宮ユースが流経大柏を3-0撃破!
[7.5 高円宮杯プレミアリーグEAST第8節 流通経済大柏高 0-3 大宮ユース 流通経済大柏高G]
高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEASTは5日、第8節を行い、9位・流通経済大柏高(千葉)と5位の大宮アルディージャユース(埼玉)が対戦し、大宮が3-0で快勝。3勝5分とした大宮は4位へ浮上している。
負けないが、勝ち切ることもできていなかったV候補の一角、大宮が雨中のアウェーゲームで勝ち点3をもぎ取った。「激しくなることは確実に分かっていたのでサッカー云々のところでも、気持ちのところでもきょう良く戦ったのかなと思います」と伊藤彰監督。マンツーマンで大宮の良さを消しに来ていた流経大柏は球際のプレーが非常に厳しく、雨の人工芝ピッチでスライディングの迫力も増していた。ホームチームのイエローカードは実に6枚。闘争心むき出しで戦う流経大柏は鋭い攻撃から獲得したセットプレーで決定機をつくり出してきていたが、大宮も怯むことなく、随所で“やり合う”タフなゲームで多彩な攻撃、我慢強い守備も見せて勝者になった。
CB黒澤丈(3年)が大宮のエースストライカー、FW川田拳登(3年)に密着するなど流経大柏はタイトな守備。プレッシングも含めて大宮には自由を与えないというメッセージが伝わるようなサッカーを見せる。そしてボールを奪うと、横パスを入れることなく、縦への速攻。一気に大宮ゴール前へなだれ込んできた。だが、大宮は伊藤監督が「深く入れて、そのあとに速くスイッチ入れてという攻撃をテーマにしてきた。流経さんがマンツーマンで来るので、1個外れたときにチャンスになるよという話はあったんで、そういうところは上手く機能したと思います」と説明した通りの攻撃で先制点を奪う。11分、CB北西真之(2年)が右中間のU-18日本代表候補MF黒川淳史主将(3年)へ素晴らしい縦パスを入れると、相手を引き付けながら外へ動いた黒川がタイミングよくヒールパス。スピードに乗ったままボールを受けた右SB古谷優気(3年)が入れ替わるように抜け出して独走する。そのままゴールライン際までボールを運んだ古谷が右足シュートをねじ込んで先制点を奪った。黒川は「相手が凄いマンツーマンで人に厳しく来ていて、それを(逆手にとって)上手く突いて、ちょっと崩れたときに狙ってというマンツーマンのやり方が上手くできた。一個前につけたときに相手食いついてくるので、そこでサポートいけば入れ替わることができる。そこでスイッチを入れることをみんなで意識していた」
流経大柏も失点直後に決定機。15分、右スローインからスローワーのFW織田敦暉(3年)が強くバウンドさせたボールを入れると、MF松本雅也(3年)が頭で後方へ逸らして中央のCB本村武揚(3年)が決定的なヘディングシュートを放つが、これは枠上へ外れた。先制したことでイニシアチブを高めた大宮はアンカーに位置するMF山田陸(3年)やMF長谷川元希(2年)を中心にボールを出し入れしながら攻撃。MF松崎快(3年)の左足ミドルやFW藤沼拓夢(3年)の抜け出しなどでチャンスをつくったのに対し、流経大柏はサイドからのクロスやセットプレーで反撃する。だが36分に松本の左クロスに決定的な形で飛び込んだ本村のヘディングシュートが枠を越えるなど同点に追いつくことができない。
雨が強さを増した後半、大宮は左の朝妻佑斗(3年)、右の古谷の攻撃参加を交えて追加点を狙う。対する流経大柏は10分過ぎから1年生FW近藤潤、2年生MF中村翼、1年生MF菊地泰智を立て続けに投入。前線の顔ぶれをフレッシュにして同点ゴールを目指したが、プレスがやや甘くなった隙を大宮は逃さない。24分、カウンターから黒川が縦パスを入れると、SBの頭上を越えたボールが藤沼へ通る。DFが1人残っていたが、構わずシュートへ持ち込んだ藤沼の一撃がニアサイド上方を破り、貴重な2点目となった。
さらに大宮は27分、右CKのこぼれ球をファーサイドでゴールを背にして拾った黒川が反転。ラストパスを警戒する相手の逆を突いて放った左足シュートがニアサイドを破って3-0となった。何とか1点を奪い返そうとする流経大柏も迫力のある攻撃を見せていたが、DFの中心となってパワープレーに対抗したCB野崎玲央(3年)とU-18日本代表候補GK加藤有輝(3年)を軸に踏ん張りを見せた大宮が無失点で快勝。野崎は無失点に抑えたポイントについて「空中戦とかセカンドボール意識して、セカンド拾えるようになったこと」と振り返り、「1失点する試合が続いていて、オフェンスに迷惑をかけてしまっていたけれど、この相手に対してゼロに抑えたことは大きいと思います」と胸を張った。
大宮の現3年生は中学時代、ポゼッションスタイルのサッカーで強豪を連破して大宮アカデミー史上初となる全国決勝を経験している世代(JFAプレミアカップ、全日本ユース選手権準優勝)。期待の世代はユースチームのスピード感、激しさの中で逞しく成長してきた。今年がプレミアリーグ参戦1年目だが、昨年の柏U-18に続く、昇格即優勝の可能性も十分に持っているチームだ。それでもリーグ序盤戦は主導権を握って攻めながらも、セットプレーで失点。追う形の展開で強さを発揮して同点に持ち込むも、勝ち切れない試合が続いた。ここまで無敗だったが、前節終了時の首位・鹿島ユースとの勝ち点差は6。それでも、藤沼や川田、野崎ら怪我人が復調したチームは、この日厳しい試合をものにして勝ち点4差とし、今後はさらなる追撃が期待できる。もちろん、レベルアップは必須。引いた相手からゴールを奪い取ることはどのカテゴリーにおいても簡単なことではないが、伊藤監督は「後期、それは改善していかなければいけない。そこを追及していかないと、日本もそうですし、大宮のクオリティも上がらない。追及していく中でこういうゲームでも、引かれても点を取れるようなチームにしていかないといけない」
野崎は「負けてないというのはありましたけれど、それ以上に(勝ち切れない)モヤモヤは多くて、『次こそ、次こそ』と言っていた。やっと勝てたのでこのまま上に行ければいいと思います。まずはこのまま1個1個の戦いで勝って行って上位に食い込んでいく。そして最終的にはチャンピオンシップに出場してタイトルを狙っていきたいと思っています」と宣言。また、黒川は「去年の学年の人たちがこの舞台に連れて来てくれた。素晴らしい舞台でできるのは本当に感謝していますし、自分たちは“もっている世代”かなと思っている。こういうところで結果出していくことはアルディージャの歴史としても重要だし、アカデミー的にも強くなって行ける」。よりチームとしてのクオリティを上げ、負けないチームから、勝ち続けるチームへ。そして昇格即優勝の快挙を成し遂げる。
[写真]後半24分、大宮ユースは藤沼(中央)が決めてリードを2点とする
(取材・文 吉田太郎)
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2015プレミアリーグEAST
高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEASTは5日、第8節を行い、9位・流通経済大柏高(千葉)と5位の大宮アルディージャユース(埼玉)が対戦し、大宮が3-0で快勝。3勝5分とした大宮は4位へ浮上している。
負けないが、勝ち切ることもできていなかったV候補の一角、大宮が雨中のアウェーゲームで勝ち点3をもぎ取った。「激しくなることは確実に分かっていたのでサッカー云々のところでも、気持ちのところでもきょう良く戦ったのかなと思います」と伊藤彰監督。マンツーマンで大宮の良さを消しに来ていた流経大柏は球際のプレーが非常に厳しく、雨の人工芝ピッチでスライディングの迫力も増していた。ホームチームのイエローカードは実に6枚。闘争心むき出しで戦う流経大柏は鋭い攻撃から獲得したセットプレーで決定機をつくり出してきていたが、大宮も怯むことなく、随所で“やり合う”タフなゲームで多彩な攻撃、我慢強い守備も見せて勝者になった。
CB黒澤丈(3年)が大宮のエースストライカー、FW川田拳登(3年)に密着するなど流経大柏はタイトな守備。プレッシングも含めて大宮には自由を与えないというメッセージが伝わるようなサッカーを見せる。そしてボールを奪うと、横パスを入れることなく、縦への速攻。一気に大宮ゴール前へなだれ込んできた。だが、大宮は伊藤監督が「深く入れて、そのあとに速くスイッチ入れてという攻撃をテーマにしてきた。流経さんがマンツーマンで来るので、1個外れたときにチャンスになるよという話はあったんで、そういうところは上手く機能したと思います」と説明した通りの攻撃で先制点を奪う。11分、CB北西真之(2年)が右中間のU-18日本代表候補MF黒川淳史主将(3年)へ素晴らしい縦パスを入れると、相手を引き付けながら外へ動いた黒川がタイミングよくヒールパス。スピードに乗ったままボールを受けた右SB古谷優気(3年)が入れ替わるように抜け出して独走する。そのままゴールライン際までボールを運んだ古谷が右足シュートをねじ込んで先制点を奪った。黒川は「相手が凄いマンツーマンで人に厳しく来ていて、それを(逆手にとって)上手く突いて、ちょっと崩れたときに狙ってというマンツーマンのやり方が上手くできた。一個前につけたときに相手食いついてくるので、そこでサポートいけば入れ替わることができる。そこでスイッチを入れることをみんなで意識していた」
流経大柏も失点直後に決定機。15分、右スローインからスローワーのFW織田敦暉(3年)が強くバウンドさせたボールを入れると、MF松本雅也(3年)が頭で後方へ逸らして中央のCB本村武揚(3年)が決定的なヘディングシュートを放つが、これは枠上へ外れた。先制したことでイニシアチブを高めた大宮はアンカーに位置するMF山田陸(3年)やMF長谷川元希(2年)を中心にボールを出し入れしながら攻撃。MF松崎快(3年)の左足ミドルやFW藤沼拓夢(3年)の抜け出しなどでチャンスをつくったのに対し、流経大柏はサイドからのクロスやセットプレーで反撃する。だが36分に松本の左クロスに決定的な形で飛び込んだ本村のヘディングシュートが枠を越えるなど同点に追いつくことができない。
雨が強さを増した後半、大宮は左の朝妻佑斗(3年)、右の古谷の攻撃参加を交えて追加点を狙う。対する流経大柏は10分過ぎから1年生FW近藤潤、2年生MF中村翼、1年生MF菊地泰智を立て続けに投入。前線の顔ぶれをフレッシュにして同点ゴールを目指したが、プレスがやや甘くなった隙を大宮は逃さない。24分、カウンターから黒川が縦パスを入れると、SBの頭上を越えたボールが藤沼へ通る。DFが1人残っていたが、構わずシュートへ持ち込んだ藤沼の一撃がニアサイド上方を破り、貴重な2点目となった。
さらに大宮は27分、右CKのこぼれ球をファーサイドでゴールを背にして拾った黒川が反転。ラストパスを警戒する相手の逆を突いて放った左足シュートがニアサイドを破って3-0となった。何とか1点を奪い返そうとする流経大柏も迫力のある攻撃を見せていたが、DFの中心となってパワープレーに対抗したCB野崎玲央(3年)とU-18日本代表候補GK加藤有輝(3年)を軸に踏ん張りを見せた大宮が無失点で快勝。野崎は無失点に抑えたポイントについて「空中戦とかセカンドボール意識して、セカンド拾えるようになったこと」と振り返り、「1失点する試合が続いていて、オフェンスに迷惑をかけてしまっていたけれど、この相手に対してゼロに抑えたことは大きいと思います」と胸を張った。
大宮の現3年生は中学時代、ポゼッションスタイルのサッカーで強豪を連破して大宮アカデミー史上初となる全国決勝を経験している世代(JFAプレミアカップ、全日本ユース選手権準優勝)。期待の世代はユースチームのスピード感、激しさの中で逞しく成長してきた。今年がプレミアリーグ参戦1年目だが、昨年の柏U-18に続く、昇格即優勝の可能性も十分に持っているチームだ。それでもリーグ序盤戦は主導権を握って攻めながらも、セットプレーで失点。追う形の展開で強さを発揮して同点に持ち込むも、勝ち切れない試合が続いた。ここまで無敗だったが、前節終了時の首位・鹿島ユースとの勝ち点差は6。それでも、藤沼や川田、野崎ら怪我人が復調したチームは、この日厳しい試合をものにして勝ち点4差とし、今後はさらなる追撃が期待できる。もちろん、レベルアップは必須。引いた相手からゴールを奪い取ることはどのカテゴリーにおいても簡単なことではないが、伊藤監督は「後期、それは改善していかなければいけない。そこを追及していかないと、日本もそうですし、大宮のクオリティも上がらない。追及していく中でこういうゲームでも、引かれても点を取れるようなチームにしていかないといけない」
野崎は「負けてないというのはありましたけれど、それ以上に(勝ち切れない)モヤモヤは多くて、『次こそ、次こそ』と言っていた。やっと勝てたのでこのまま上に行ければいいと思います。まずはこのまま1個1個の戦いで勝って行って上位に食い込んでいく。そして最終的にはチャンピオンシップに出場してタイトルを狙っていきたいと思っています」と宣言。また、黒川は「去年の学年の人たちがこの舞台に連れて来てくれた。素晴らしい舞台でできるのは本当に感謝していますし、自分たちは“もっている世代”かなと思っている。こういうところで結果出していくことはアルディージャの歴史としても重要だし、アカデミー的にも強くなって行ける」。よりチームとしてのクオリティを上げ、負けないチームから、勝ち続けるチームへ。そして昇格即優勝の快挙を成し遂げる。
[写真]後半24分、大宮ユースは藤沼(中央)が決めてリードを2点とする
(取材・文 吉田太郎)
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