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[クラブユース選手権]6年ぶりの出場で嬉しい初白星!元Jリーガー、羽地監督率いる徳島ユースが好スタート

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[7.22 日本クラブユース選手権(U-18)大会GS第1節 徳島ユース 1-0 富山U-18 下増田]

 22日、ユース年代のクラブチーム日本一を決める第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会が開幕し、Bグループでは徳島ヴォルティスユース(四国、徳島)とカターレ富山U-18(北信越2、富山)が対戦。前半20分にFW長野諒が挙げた1点によって徳島が1-0で勝利した。

 C大阪や徳島などでプレーした元Jリーガーの羽地登志晃氏が今季から監督に就任し、新たなスタートを切った徳島が、6年ぶり2回目の夏の晴れ舞台で嬉しい初白星を飾った。

 序盤、試合の主導権を握ったのは富山。「出し惜しみする程の力もないので、選手たちには最初から飛ばしていけよと伝えていた」(東保成監督)との言葉通り、序盤から主将のFW高橋大樹らを中心に攻撃のギアを入れると、パス交換からMF片岡優弥、MF野末武凱の両サイドを活用し、チャンスを作った。15分には中央でボールを持った片岡が前線にクサビのパスを展開。受けた高橋がダイレクトで右のスペースに落とし、MF大﨑樹がフリーで抜け出してシュートを狙ったが、相手DFをかすめて枠の左に逸れた。

 押し気味で試合を進めた富山だったが、東監督が「選手たちには緊張があって、狙うサッカーが出きていなかった。プレーを選択するまでの遅く、テンポが無かった」と振り返ったように、時間経過と共に勢いが落ちていく。自陣でのパス交換が遅れた隙を狙われる場面が増え始めると、20分にはDF陣のクリアミスが徳島のFW長野の下へ。そのまま、長野がゴール前に仕掛けた所を富山DFがファウルで倒してしまい、PKを与えると、これを決められて先制点を献上してしまう。以降は両者、3-4-2-1システムを採用し、がっぷり四つで組み合ったため、中盤での奪い合いが増加。ともにゴール前まで持ち込む場面が減り、「やられた感じもしないし、何かやった気もしない」(東監督)という前半を終えた。

 後半に入ってからは、気温36度を超す暑さのため、両チームの足が止まり始め、よりこう着した状態が続いた。先に動いたのは富山。「ボールを動かす、いつも通りのサッカーがやりたい」(東監督)というメッセージを込めて、後半9分に投入したMF向川巧海とFW桶川陽永を皮切りに、積極的に交代カードを活用。足下の技術に長けたDF放地駿、MF水口展汰が入ったことでボール回しが円滑になり、FW樋川らの突破力が活き始めた。21分には樋川が左サイドでのドリブルで相手3人をかわして、PAにパスを入れたが、DFに阻まれゴールとはならず。30分には水口がインターセプトから中央を持ち上がり、右の向川へとパスを展開。素早く中央に折り返したが、走り込んだ味方と噛み合わない。

 試合終了間際には右サイドを片岡が突破し、中央にマイナスのパス。受けた水口がPA中央にスルーパスを通し、高橋が反応したが、DFに行く手を阻まれ徳島GK堀口皓平がセーブ。直後に徳島も相手エリア中央でFKを獲得し、DF濱北賢太が直接狙ったが、富山GK岸大誠が好セーブで凌ぎタイムアップ。徳島が1-0で勝利し、幸先の良いスタートを切った。

 徳島は09年に初出場。C大阪U-18、東京Vユース、札幌U-18とグループステージで対峙し、3連敗を喫している。以降は愛媛FC U-18に予選で敗れ続け、出場権を得ることが出来ずにいたが、今季は羽地監督の下、「プロで活躍するために必要なモノ」を練習から追及した。選手起用も過去のポジションに捉われることなく、コンバートされた選手も多数。この日は先輩たちを押しのけ、中学3年生のMF藤原志龍がスタメン起用されたように、良い選手であれば学年の壁も取り除き、起用する。就任から日が浅いが「凄く選手たちが成長している」と手応えを感じて挑んだこの日も、羽地監督が「こういうタフな状況の中でも選手たちは『らしさ』を出してくれたと思う」と高評価するプレーを見せた。これまでは地元の選手が中心だったが、来年からは寮を設置し、県外からの選手を受け入れるなど、より育成に注力していく。「全国大会に出られたのを機に育成からトップに繋げていければ」と羽地監督が意気込んだように、新たな船出を飾る重要な一勝だった。

 一方の富山はU-18設立から4年目。1期生が最終学年を迎えた昨季はMF馬渡隼暉がトップ昇格を果たすなど一定の成果を挙げたものの、今年は「あまり良くない」年だという。突出した個がいない分、「内容を求めて、昨年よりもやれることを増やすことが目標。相手を見ながら、常に3、4人が関わるプレーを目指す」ことを心掛けている。この日は交代枠を使い切ったため、DF西晃佑が足を痛めた試合終盤は10人での戦いを強いられたが、最後まで全員で仕掛ける意識を崩さなかった。試合後には、片岡と野末が軽度の熱中症となったため、大事をとって病院に運ばれるアクシデントもあったが、大会関係者から「何を表現したいか良く分かるサッカーが観られた。10年後、このサッカーが積み重なった時に富山がどんなチームになっているか楽しみ」と声をかけられたという。それぞれが得た収穫をグループリーグ残り2試合で、どうプラスに変えるか。両者の戦いに注目だ。

[写真]PKを決めた徳島ユースFW長野をチームメートが祝福

(取材・文 森田将義)
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【特設ページ】第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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