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[総体]PICK UP TEAM vol.2_青森山田高(青森)

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特集企画「全国高校総体PICK UP TEAM」

 青森山田高はチームを牽引する攻守の要が、揃ってプロ入りを決めた。188cmの長身CB常田克人はベガルタ仙台に、トップ下でパサーからフィニッシャーまで幅広くこなす万能型FW神谷優太は湘南ベルマーレに入団が内定。プロ内定選手として臨むインターハイ、常田は昨年の屈辱を晴らすべく、また神谷は高校生活最初で最後のインターハイにモチベーションを高め、決戦の時を待っている。

 常田は昨年5月に左足の第5中足骨を骨折。インターハイ直前に復帰したものの、コンディションが上がらず、2回戦までは途中出場だった。3回戦の尚志高戦から復帰するも、彼のマークミスで失点するなど、万全とは程遠かった。準決勝では優勝した東福岡高に前半だけで3失点を喫し、1-3で敗戦。強烈な相手のアタックにマークが混乱し、常田も何も出来ないまま試合が終わってしまった。

 もともと黒田剛監督からは、「もっとCBとして強気にならないといけない。優しすぎる」という厳しい檄を受けていた。確かに彼は優しいというか、穏やかな人間で、それはそれで素晴らしいが、プレー面でもそれが出てしまっていた。より上のレベルで戦うには、より貪欲に、相手を凌駕するメンタリティーを持たないといけない。彼に自覚を促す『愛の鞭』だった。

「悔しかった。選手権も初戦で負けたし(中津東高にPK戦で敗戦)、去年は何もしていない」。

 今年に入ると、昨年の悔しさと最上級生の自覚も生まれ、積極的に声を出し、球際でも激しく行くことができるようになった。「まだまだですよ」とキャプテンのDF北城俊幸は手厳しいが、徐々に「怖いCB」への階段を上がろうとしている。

 一方の神谷は、ジュニアユースからユースまで5年間過ごした東京ヴェルディの育成組織から、今年1月に青森山田へ転入してきた。「ずっと青森山田でサッカーをやりたいと思っていた。寮生活など、より厳しい環境で自分を高めたかった」と、自分を磨くために、自ら決断したものだった。だからこそ、青森に来てからは、彼の意思の強さがプレーや私生活面でも顕著に現れていた。

「寮生活も雪の中でのサッカーも、彼は率先してやってくれた。仲間に溶け込む努力をしてくれた」と黒田監督が目を細めたように、彼の真摯な姿勢がチームメートの信頼を産み、さらに鍛え上げられたフィジカルとメンタルは、プレーに好影響をもたらした。上手い選手から、強く気迫みなぎる選手へ変貌を遂げた神谷優太。インターハイはその姿を全国にお披露目する場となる。

 青森山田の攻守の雄が、それぞれの意思と覚悟を持って、真夏の兵庫に乗り込んでくる。青森山田は今大会最激戦ブロックに入ったが、その真価を結果で証明する環境は整っている。

[写真]常田(上列右から2人目)、神谷(上列右から4人目)という2人のJ内定選手を中心に日本一を狙う青森山田

(取材・文 安藤隆人)
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