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意思疎通を欠いたハリルJ、初先発の谷口「迷いがあった」

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[8.2 東アジア杯 日本1-2北朝鮮 武漢]

 縦に急ぐのか、ボールを落ち着かせるのか。ピッチ上の意思統一も、ベンチと選手間の意思疎通も取れていなかった。

 前半3分に先制した日本はその後も試合の主導権を握っていた。しかし、良い時間帯は長く続くない。強行日程で大会に臨んだ選手たちのフィジカル面や日程面にキックオフ時点で気温35度という環境面。まとわりつくような湿度は選手の肉体を徐々にむしばんでいった。

 ボランチでA代表初先発となったMF谷口彰悟は率直に言う。

「監督からは『なるべく前に前に』という指示があった。それを選手もやろうとしたけど、この気候もあるし、(選手の)コンディションもあって、ずっとはできない。つないでいいのか、ゆっくりしていいのか。一人ひとりに迷いがあった」

 バヒド・ハリルホジッチ監督も試合後の記者会見で同様の指摘をした。「ボールを奪ったときに前へ行くべきなのか、少しキープすべきなのか迷っていた。周りで動いている数も少なかった。そして簡単にボールを失っていた」。選手とベンチが同じ問題を認識しながら、状況は解決されなかった。

 指揮官からすれば、そこはピッチ上で柔軟に対応してほしかったということなのだろう。しかし、ベンチからの明確なメッセージがない選手たちは縦に速く攻めるハリル流のサッカーに固執した。

「監督は『前に前に』と言うけど、やっているのは選手。そのあたりは臨機応変にやってもいいのかなと思う」。そう指摘した谷口は「なかなかしんどかったし、そういう(ゆっくりつなぐ)時間をつくってもよかった。落ち着くところは落ち着くというか、そういうゲームコントロールは真ん中の僕がやらないといけない」と自戒を込めて言った。

(取材・文 西山紘平)

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