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[MOM1432]関東一DF二瓶亮(3年)_中体連出身SBの上下動によって、機能し続けた「関一の右サイド」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.7 全国高校総体準々決勝 広島皆実高 2-4 関東一高 三木防災公園陸上競技場]

 全国総体の試合メンバー表には、前所属チームが記載されている。中学年代である第3種はクラブチームが隆盛を誇る昨今、関東一高も17人のメンバーを見てみると、実に16人はクラブチームの出身だ。その中で一際目立つのは、右SBを務める二瓶亮という名前に続いて印字された“江戸川区立葛西第三中学校”の文字。「入学した頃から自分はずっと一番下手だと思って、チャレンジャー精神でやっていた」と話す、チームただ1人の中体連出身者が全国8強の晴れ舞台で躍動した。

 ボールをきっちり繋ぐスタイルの関東一において、この準々決勝でSBが果たすべき役割を、小野貴裕監督は「CBの逃がし所になるという所と、そこから縦に入るボールでスピードアップするという所」と定義していた。「あそこまでベタ引きされるのは東京でもなかなか少なかった」とFW高橋快斗も言及したように、広島皆実が5バック気味にブロックを形成する中で、必然的に“CBの逃がし所とスピードアップのポイント”として右SBにもパスが集中する。「ボールが来ている感覚はありました」という二瓶は、34分、35+2分と前半終了間際に続けてフィニッシュへと繋がるクロスを上げた。ゴールには繋がらなかったものの、「こっちのサイドから攻めていたので、今日は行ってやろうと思っていました」と強気の姿勢を貫き続ける。

 その姿勢の結実は後半8分。右サイドでパスを引き出した二瓶は、「声が聞こえたのでそこを狙って蹴りました」とマイナスにグラウンダーで折り返す。声の主のMF野村司が右足を振り抜くと、ボールはゴール左スミへ吸い込まれた。「本当はもっとアシストしたかったんですけど、今大会は自分のプレーがゴールに繋がっていなかったので、今日はアシストできて良かったです」と笑顔でそのシーンを振り返った二瓶。その後同点に追い付かれながらも、2点を奪って突き放した70分間の中で、二瓶が上下動を繰り返した右サイドは試合開始から試合終了まで確かに関東一のホットゾーンとして機能し続けた。

 今年以上に周囲の期待も高かった昨年のチームからレギュラーを任されている。見た目からはクールな印象も受けるが、「自分は身体能力を生かしてみんなが走れない分を走ったり、スピードで相手に対応したり、スピードで置き去りにしたりという部分で勝負していけば、絶対レギュラーになれると思っていた」と言葉の端々に負けず嫌いな性格が滲む。最高の仲間と挑んでいる全国大会も、とうとうベスト4まで辿り着いた。「正直ここまで来るとは思っていませんでした」と笑いながらも、「イチフナには絶対に負けたくないです」と言い切った二瓶。中体連出身の強気なSBは、「メチャクチャ燃えているし、メチャクチャ楽しみ」な明日も間違いなく右サイドを全力で走り続ける。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 土屋雅史)
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