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早くも“予防線”?ハリル監督「これ以上は望めない」

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 中国との最終戦を翌日に控えた8日、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が報道陣の取材に応じ、「明日は良い試合をして、勝つトライをしたい」と述べた。1分1敗で最下位の日本はすでに優勝の可能性が消滅。中国戦で引き分け以下に終われば、史上初の未勝利&最下位で大会を去ることになる。

「フィジカル的には前より少し回復している。1試合目、2試合目はフィジカル的にひどい状況だった。特に1試合目はそうだ。その後、疲労回復に努めてきた」。大会初戦の4日前にJリーグが行われ、武漢に入ってからわずか2日間のトレーニングで初戦の北朝鮮戦(1-2)を迎えた。Jリーグも含めた日程面への“恨み節”は続く。

「他の国にはしっかり準備する時間があったが、我々にはほとんど練習の機会がなかった。最低でも2日間、疲労回復の時間があれば、最初の試合は100%になっていたかもしれない」。7月23日のメンバー発表会見では「大会までに1週間ほどトレーニングする時間が欲しかった」と話していたが、この日は2日間に“譲歩”。しかし、いったんヒートアップした指揮官の熱弁は止まらなくなった。

「今後、A代表に定着するためというという目的を持っている。34歳、35歳の人を連れてきていれば、リスクはなかったかもしれない。今回は20歳ぐらいの選手で、将来、何かをもたらす可能性のある選手を連れてきている。それに対してあまり批判してほしくない」

 海外組を含めたフルメンバーの日本代表に食い込んでいく新戦力の発掘に主眼を置いた今大会。しかし、「まず大事なのは結果」と話していたのもハリルホジッチ監督だ。ところが、韓国戦では消極的な戦術を取り、引き分けて優勝の可能性が消滅しても「少し満足するべきではないか」と、納得の表情を見せた。

 そうした批判を念頭に置いてか、「みなさんガッカリしていると思う。(韓国は)隣国であり、ライバルでもある。全員が倒したいと思っている」と、日韓戦の重要性に理解を示したうえで、「勝ちたいのは私も一緒だ。私は野心をなくしていないし、どんな試合でも勝ちたいと思っている」とあらためて力説した。

「これが日本のベストメンバーではない。どれが一番いいチームか探している状況だ。難しい状況にあることを理解し、選手ではなく、私を批判してほしい。すべては私の責任だ」。そう選手を擁護する指揮官は「ディフェンスもオフェンスも、今までとまったく違うやり方をやっている。(戦術練習の)15分ですべては変えられない」と、長い目で見てほしいと懇願した。

「他のチームはフィジカル的に良い準備をし、オートマティズムの面でも我々より進んでいる。ここでプレーしている日本代表選手にこれ以上は望めない」。そう声を張り上げる指揮官は、まるで結果が出なかったときのための“予防線”を張っているかのようだった。

(取材・文 西山紘平)

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