beacon

[MOM1435]東福岡MF藤川虎太朗(2年)_全国準決勝で3発!2年生MFが名門の中心的存在に

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.8 全国高校総体準決勝 東福岡高 5-2 立正大淞南高 ユニバー記念競技場]

 互いに高い攻撃力を見せあった準決勝で最も輝きを放ったのは、東福岡高の2年生MF藤川虎太朗だった。0-1の前半10分、自らボールを運んで左サイドへ展開すると、MF橋本和征からのラストパスをPAで受けて倒れ込みながらも右足でゴール。「(先に)決められて悔しかったので、悔しい気持ちがむき出しになったと思います」という藤川の執念のゴールが東福岡の闘志に火をつけた。

 さらに2-1で迎えた33分には橋本の左クロスを「セカンドボールを拾うつもりで」ファーサイドで待ち構えると、狙い通りにDFのクリアが自らの下へ。「ああいうところで思い切り打ったら必ずフカしたり、空振りがあるので、(ウオーミング)アップ前にインサイドやインフロントでしているように力抜いて蹴ったらいいかなと思って蹴りました」と力まずに振りぬかれた左足のダイレクトシュートがゴールへ吸い込まれた。

 藤川の勢いは止まらない。後半2分には左サイドでFW毎熊晟矢とのパス交換からリターンを受けると、相手の動きが止まった瞬間を逃さずにマークを外してから左足シュートをゴールへ叩き込んだ。「(中村)健人クンが後ろで呼んでいてくれたのと、(毎熊)晟矢君がDFを引き付けて出してくれたので、相手もその声に惑わされたと思う。相手の足がステップ踏むときに浮いた瞬間に左に行ったら相手も0.1秒でもずれているんで(その瞬間に仕掛けた)」。相手の守りがしっかりと構えた状況からでも決めたファインショット。藤川のこの日3得点目となる一撃が東福岡を白星へ大きく近づけた。

 どちらかというと、シンプルにボールを動かしてコンビネーションから最後の局面に現れてスマートにゴールを決めるイメージがあった。だが、今大会はとにかく自ら仕掛けてシュートを打ち切るシーンが目立つ。高い技術でチームの攻撃に関わるところは変わらないが、この日の1点目のように泥臭いような動きからでもゴールを決めるなど、より怖い選手へ変貌してきている印象だ。

 元々「絶対に負けたくないという気持ちは人一倍もっている。メンタルの部分では自信あります」というメンタルの持ち主。まだ不要なミスがあり、守備面の向上も必要だが「きっかけはプレミアリーグの第1節セレッソ戦。途中で変えられて相当落ち込んで自分のプレーを見失っていたんですけど、前期最終節の京都橘戦では途中出場して右からのクロスをヘディングで合わせて。そこから貪欲さというのが芽生えたと思います」というMFは今大会、積極的なプレーとメンタル面の強さが結果にも繋がり、名門の中心と言える存在になっている。

 その藤川にとって全国大会決勝でプレーするのは初めての経験。「高校の部活のチームが何千とあると思うんですけど、その中で2つしか出ることができない。その舞台でできるのは本当に嬉しいし、凄いなと。逆に楽しみたいというのがある。点を決めつつ、観客もワーっと驚くような、『ここでこんなプレーするの?』と言うようなプレーをしたい。あしたは楽しみたいです」。現在5得点で今大会の得点ランキング首位タイ。決勝でも仕事をしてのけて東福岡の優勝に貢献すれば、チームの中心としてだけでなく、「大会の主役」として兵庫の夏を終えることになりそうだ。

[写真]前半10分、東福岡MF藤川が右足で同点ゴールをねじ込む
 
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2015

TOP