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京都橘のU-18日本代表FW岩崎悠人、大宮ユースのオランダ遠征帰りで圧巻2得点

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[8.23 プレミアリーグWEST第11節 京都橘高 2-0 広島ユース 宝が池公園運動施設球技場]

 8月10日から18日にかけて、大宮アルディージャユースはオランダへ遠征した。名門PSVの主催する国際ユース大会「オッテンカップ」に出場するためだ。この大会で大宮は初戦でアンデルレヒト(ベルギー)を撃破。バルセロナや地元PSVとも激闘を繰り広げ、最終的には6位で大会を終えた。

「最後は勝てなかったけれど、大宮は日本人が世界でどう戦うかを考えるうえで、すごく興味深い試合をしていたと思います。『さすが伊藤彰監督だ』と思いましたね」

 そう語った上で、「他人事として観るサッカーがこんなに楽しいものだとは思いませんでしたよ」と笑ったのは京都橘の米澤一成監督である。今回、U-18日本代表FW岩崎悠人が選手として、米澤氏は「一人の観客として」遠征に帯同し、欧州ユース年代のトップレベルを肌で感じてきた。

「実は以前にもユースの欧州遠征に際して『欧州の大会を観に来ないか? 選手も一緒にどうだ?』と大宮さんには誘ってもらっていたんですよ。ただ、そのときは選手が国体代表に選ばれたので、話が流れていたんです。今回はスケジュールが折り合って、行かせてもらうことになりました」

 選手として出場した岩崎も、大きな刺激を受けた様子だった。

「プレーの正確さ、丁寧さがもっと必要になると感じました。でも、裏に抜けるアクション、ボールをキープする部分は通用した面もあったと思います」

 大会では初戦のアンデルレヒト戦で交代出場から1ゴールを記録。U-17・18代表でコンビを組んだ経験もあるMF黒川淳史のスルーパスから抜け出して、「右足でGKのニアを抜いた」(岩崎)。もっとも、ポゼッションスタイルの大宮のやり方には戸惑いもあったようで、「裏に動き出しても(ロングパスが)出て来ない」中で、暗中模索する部分もあった。ただ、それもまた良い経験だろう。

 帰国して5日後の23日には高円宮杯プレミアリーグWEST・広島ユース戦に先発出場。気温30度を超える暑さに「ちょっと前まで19度のオランダにいたので」と苦笑を浮かべつつも、相手のスキを逃さずに2得点を叩き込んで、2-0での快勝に大きく貢献した。1点目は1年生アタッカー梅津凌岳の巧みな落としから抜け出して強シュートを叩き込み、2点目は速攻からのパス交換で、最後はショートドリブルでシュートコースを作ってコンパクトな振りからゴールを射抜いた。

「2点目は、FC東京の練習試合に出たときに、こういう高いレベルだとボールコントロールからシュートまでを素早くしないと通じないと感じたので、意識的に速く打つようにしている結果です」

 サラッと言ってのけたが、さまざまな場所で感じた課題を実戦へすぐさま生かす能力は岩崎の持つ確かな個性。今年に入ってからの成長ぶりは目覚ましいが、この男の「天井」はまだまだ見えてこない。

(取材・文 川端暁彦)

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