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ビッグセーブで栃木ウーヴァをゼロ封 GK塩田「アニキが一発で決めてくれたから」

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[8.29 天皇杯1回戦 大宮4-0栃木ウーヴァ NACK]

 2人のベテランの活躍が光った。大宮アルディージャは29日の天皇杯1回戦で栃木ウーヴァと対戦し、4-0で勝利した。前半9分にFW播戸竜二が先制点を挙げると、2-0で迎えた後半、流れの悪い時間帯にはGK塩田仁史が好守を見せて栃木ウーヴァに得点を許さなかった。

 先制点の場面、播戸は公式戦初出場のMFマテウスとの好連係からゴールを挙げた。「最初に取らないと向こうも頑張ってきますし、そこは意識していました」と、立ち上がりが重要だと肝に銘じていたという。初出場のブラジル人選手との連係が良かった理由については、「練習で結構、アイツには厳しく言っています。今日はただ思い切ってやれと伝えただけですね。練習で『こうやって欲しい』『こうやるべきや』と伝えないと、試合でいきなりはできないので」と、トレーニンググラウンドでの成果が出たことを強調した。

 日々の練習の大切さを体現したのは、GK塩田も同じだろう。後半の立ち上がり、大宮はピンチを招いた。そこで栃木ウーヴァの前に立ちはだかったのが、大宮での公式戦初出場を果たした塩田だった。FC東京時代のチームメイトだった栃木ウーヴァの前田和也監督には、試合前「シュート止めないでくださいよ」と、言われていたという。

 しかし、前半45分にFW内山俊彦との1対1を止めたのを皮切りに、後半に試合の流れを持って行かれた中でも2度のビッグセーブを見せた。「アニキ(播戸)が一発で先制点を決めてくれていたおかげで、落ち着いてプレーができました」と、先にリードできたことで精神的に優位に立てたと話す。

 特に見事だったのが、後半14分のセーブだ。フィールドプレーヤーにシュートコースがある状況で迎えた1対1で、完璧な駆け引きを見せた。「右足でボールを持っていたので、そっち側に追い込んで打たせようと思いました。あとは先に倒れて、切り返しで抜かれないようにということだけを思って対応しました。狙い通りに追い込めたかなと。距離もイメージ通りでしたし、打たせたタイミングも狙い通りでした」と振り返った。ここまで試合出場がない中で、好パフォーマンスを披露できた理由については、「長年やっていますしね。良い準備ができたからだと思います」と、塩田も播戸と同様に練習の重要性を口にした。

 渋谷洋樹監督も、「次の試合ができる天皇杯はもちろん、リーグ戦にもつながる試合だった」と、満足の表情を見せる。「いま、私がリーグ戦の試合にピックアップしていない選手、かかわりの少ない選手が今日は出ていましたが、選手たちは普段からトレーニングをしっかりやっています。ボールを動かすところや守備にズレもありましたが、本当に一生懸命にやってくれた」と、快勝を喜んだ。

 リーグ戦では首位を走っているが、ここ2試合は1分け1敗と結果が出なかった。それだけに播戸、塩田を筆頭に、この試合に出た選手たちの活躍は、普段試合に出ている選手たちにも刺激になったはず。「また良い準備をして、次の試合に備えます」と話す塩田や播戸を中心に、この中断期間でリーグ終盤戦を戦う勢いを取り戻す。

(取材・文 河合拓)

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