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苦しみながら今季初ゴールの大宮FW富山「今日はもう決まらないのかと思った」

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[8.29 天皇杯1回戦 大宮4-0栃木ウーヴァ NACK]

「この日は、富山の日じゃないね」。スタンドからは、そんな声が聞こえてきそうな展開だった。大宮アルディージャは優勢に試合を進め、FW播戸竜二、左SHで出場した清水慎太郎のゴールでリードを得る。その中で、播戸と2トップを組んだ富山貴光にも決定機があったが、シュートをことごとくGK瀧澤進吾に阻まれた。

 前半36分には、清水からのクロスをヘッドで決めたが、清水がドリブルをしていた際にボールがラインを割っていたとして得点は認められず。その後の決定機でも、GK瀧澤の好セーブにあった。後半36分には狙い通りの動きでGKを倒し、冷静にボールを浮かせてゴールを狙った。ところが、イメージ通りにできたプレーも「狙った通りだったのに、そこに手が残っているかという感じだった」と、阻まれてしまう。

「僕のときだけ、ファインセーブが出ていましたよね。初対面だから、恨みはかっていないと思うんですけど(笑)。今日はもう決まらないのかなと思っていました」

 そんな本人の想いとは裏腹に、NACK5スタジアムの歓声は富山のシュートが阻まれるたびに大きくなっていった。そして富山も期待に応える。後半39分に右サイドからのクロスをボレーで合わせてゴールに突き刺した。「ミートすることだけ意識しました。入って良かったです。いろいろ考えるより、思いっきり打った方がいいのかなと思いましたね」と言い、「(サポーターに)感謝しないといけない。またゴールを決めて恩返しをしたい」と、途切れることのなかった声援に感謝した。

 後半44分にも富山は最終ラインを抜けて、GK瀧澤と1対1になる。最初のボールコントロールに失敗したこともあり、シュートに持ち込めなかったが、GK瀧澤に倒されてPKを獲得する。これをMFマテウスが決めて4-0となった。自身が取ったPKだから、蹴りたい気持ちもあったという。

「マテウスは今季初出場でしたし、まだ点を取っていませんでした。僕もいっぱい外していたし、アキくん(家長)にも『おまえ、いっぱい外しているんだからマテウスに任せろ』と言われたので。蹴りたい気持ちもありましたが、しょうがないです。割とすんなり引き下がりました(笑)」

 苦しみながら決めた今シーズン初ゴール。「今日の試合でノーゴールだったら、ミックスゾーンで顔を上げられませんでした。良かったです(笑)。久々の先発でゴールを取れましたし、気持ちも余裕が出てくると思うので。次のヴェルディ戦も熱い試合になると思いますが、先制点を狙ってやっていきたいと思います」と、2戦連発を目指す。

(取材・文 河合拓)

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