beacon

奈良の守備に決定機を阻止された鹿島MF中村「あそこで自分で行ける力を付けないと」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[9.2 ナビスコ杯準々決勝第1戦 F東京2-2鹿島 味スタ]

 この試合の分かれ目になったと言えるだろう。鹿島アントラーズが2-1でリードして迎えた後半39分の場面だ。鹿島は右サイドからMF土居聖真がクロスを入れる。PA内でMF中村充孝がボールを受けると、背後からF東京のDF奈良竜樹に手で引っ張られる形で止められた。これによって中村はシュートを打てなかったが、主審のホイッスルは鳴らず。鹿島はベンチが総立ちになり判定に不満を示したが、プレーは続行された。

 仮にPKが与えられていて、仮に3点目のゴールが決まっていたら、鹿島は勝利に近づいていただろう。3つ目のアウェーゴールという点でも、準決勝進出に向けて大きな意味を持ったはずだ。だが、1点差のまま試合は続き、鹿島は試合終了間際、中島翔哉に得点を決められて2-2に追い付かれた。

 興味深いことに、シュートを打てなかった中村、結果的に好守備となった奈良は、ともにこの場面について反省の言葉を残している。中村は「ゴール前で何回チャンスがあっても決められなかったら意味がないので練習します」と言い、後半39分の場面について聞かれても、一瞬、答えに詰まってから「あそこで自分で行ける力を付けないと、上では残って行けないので頑張ります」と、あくまで自分のプレーを反省した。

 一方、対応する側だった奈良は、中村に侵入を許した自分のミスを挽回するためのプレーだったと説明する。すでにイエローカードを一枚受けていたが、「イエローを何枚もらっていたとか、自分がどういう状況だとかは考えていなかった」と言い、その時の思考を説明する。

「あの瞬間に中村選手が、どうしたらあのシュートを外すかしか考えていませんでした。その結果、ああいうプレーになりました。あのプレーがファウルか、ファウルじゃないかというのは、みなさんの判断に任せます。僕の対応のミスで、あの状況をつくったことは反省点です。その後、ああいうプレーになったことは、結果的に失点しなかったですし、僕としては何かプレッシャーをかけて『シュートを外してくれ』という気持ちだったので、そこについて考え過ぎることはないかなと思います」

 ポイントは違うものの、一つの場面から自身の成長の必要性を口にした両選手。4日後の第2戦では、2人の駆け引きを見るのも面白いポイントになるかもしれない。

(取材・文 河合拓)
▼関連リンク
●ナビスコ杯2015特設ページ

TOP