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[Rookie League]流経大柏は無敗Vも悔し涙、2年後の3冠獲得へレベルアップ誓う

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[9.5 Rookie League A Group第9節 流通経済大柏高 0-0 鹿島学園高 時之栖裾野G]

 関東・静岡の強豪校が優勝を争うU-16大会、「2015 Rookie League」A Groupは5日、最終節を行い、開幕8連勝で優勝を決めている流通経済大柏高(千葉)が7位の鹿島学園高(茨城)と対戦。0-0で引き分け、目標の全勝優勝を成し遂げることはできなかった。

 8勝1分という成績で賞賛に十分値する無敗優勝。現行方式の2部制になってからは名門にとって初めてとなる「Rookie League」のタイトルを堂々の成績で勝ち取った。だが、試合後の流経大柏イレブンは俯き、悔し涙を流す選手も。開幕前から掲げていた全勝優勝を逃したことで、喜びは微塵も感じられなかった。

 鹿島学園はMF柳田慈英が「コーチからも全勝の相手に傷をつけろと言われていた。自分たちも攻めることができていたので点取れなかったことは悔しいですが、全勝を止められたことは嬉しいです」と喜んだように全勝ストップへ執念の守り。GK神谷慧が身体を張った守りを連発していたほか、CB金子大輔や左SB井上瑠らがPAでの戦いで奮闘した。またMF石田康太や笹岡悠月のスピードを活かして相手に冷や汗をかかせるようなシーンもつくり出す。一方、流経大柏はチャンスの数で相手を大きく上回っていたが、前半にFW池田啓人が決定機を逸するなど、チャンスを活かすことができない。後半も左クロスにMFトベ緯海が決定的な形で飛び込むもわずかに合わせられず。ほかにもFW石川貴登やMF宮本優太が果敢にゴールを目指していたが、終盤には焦りからか、やや粗いプレーも出てしまい、目標を達成するすることができなかった。

「全勝で優勝するということが、この子たちが2年後に日本一になるために必要な『最初の物語』だとずっと話はしていました」と流経大柏・齋藤礼音コーチ。2年後、選手権で日本一になるためには、千葉県予選から9試合、10試合を勝ち続けなければならない。「Rookie League」で全勝することは2年後へのシミュレーション。選手たちは最終節を前に優勝を決めても喜ぶ素振りを見せることなく、この日全勝優勝を達成することを目指してきた。

 それでも宮本は「優勝した次の日の練習も『目標は優勝じゃなくて、全勝優勝』ということで意識して練習していたけれど、心の中で浮いた人がいたり、フワフワした空気があった。キャプテンとして自分が毎日締めていけなかったことが全勝優勝に届かなかった理由じゃないかと思う」と唇を噛む。逆転勝利や1-0の試合を辛抱強く守り切るなど勝利への強い思いと粘り強さを発揮してきたチームだが、優勝を決めたことで心の隙ができてしまい、最後の最後で結果を残すことができず。齊藤コーチは「前半3、4本とあったチャンスで獲り切っていれば楽になったかもしれないですけど、きょうの試合はというよりは『普段の積み重ね』がまだまだ足りないということ以外何もないです」と厳しかった。

 6日の交流戦が終われば、1年生チームとしての活動は終了。この後はそれぞれのカテゴリーで上を目指すことになる。齋藤コーチは「良いところ、悪いところちゃんと整理して、今度は『この引き分けがあったから』に絶対にしないといけないので、彼らと一緒に努力しますよ」と語った。個々を伸ばしてチームの力を大きくする。「全員がプロになりたいという強い気持ちを持っている」(齋藤コーチ)という彼らは各選手が自分自身に期待して、高い目標を目指すことによって成長を遂げてきた。この思いを持ち続けて、今後もライバルたち以上の日常を送る。

 上野は「明日で1年は解散。個を磨いて2年後戦えるようにやらないといけない。そしてプロに行けるように頑張っていきたい」と語り、宮本は「個がいいものを持つことによって、強いチームになると思う、2年後にさらにレベルアップさせて選手権で(今回できなかった)9連勝、10連勝なりして、プレミアなど3冠獲りたい」と誓った。1年生のうち、34人がピッチに立って勝ち取ったタイトル。2年後、3年生になった時に「Rookie League」で無敗Vを成し遂げたこの世代で全国決勝を戦って勝つことを誓い合い、イレブンは新たなチャレンジをスタートする。

(取材・文 吉田太郎)
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