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[プレミアリーグWEST]苦しい戦い続く元王者・広島ユース、残留争いの大一番で名古屋U18に勝利!

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[9.6 高円宮杯プレミアリーグWEST第13節 名古屋U18 2-3 広島ユース 名古屋市港サッカー場]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWESTは6日に第13節2日目を行い、9位・名古屋グランパスU18 (愛知)と8位・サンフレッチェ広島ユース (広島)が対戦。広島が3-2で勝利し、残留争いに向けて貴重な勝点3を手にした。

「横綱のように勝っていた時代と今は違う」。今季から指揮を執る沢田謙太郎監督が、そう口にするように、広島はプレミアリーグ初年度の11年と12年に連覇を果たしながら、今季は苦しい試合が続く。名古屋と対峙したこの日は、「降格するかしないかの大一番。絶対に勝たなくちゃいけない」(DF東野広太郎)という一戦。開始前から降る雨の影響で所々水たまりが出来るピッチを考慮し、後方から長いボールを前線に当てることで、試合を優勢に進めていく。

 最初のチャンスは2分。ピッチに苦しみ、クリアをミスした名古屋DFのボールを右サイドでDF川越理来が拾い、ゴール前にクロス。FW加藤威吹樹がヘディングでシュートを放つ。この一撃はゴール左外に逸れたが、10分には「久々のスタメンだったので、点に絡みたかった」という東野が「思い切りに中に蹴り込めば、何か起きるかなと思った」と左サイドから上げたクロスに、ゴール前の加藤威が反応。少し大きくなったトラップをFW山根永遠が押し込み、試合を動かした。25分にも相手GKとDFの連係ミスにより、PAにこぼれたボールを山根が無人のゴールに流し込んで、2点目をマーク。守備でも、「相手の2トップはグラウンド関係なく、独りで打開できるので注意をしていた」(沢田監督)という森晃太北野晴矢にドリブルでゴール前に持ち込まれる場面も見られたが、守備陣が集中力を切らさずに対応し、時間を進めた。

「パンチを二発喰らってから目が覚めているようでは遅い」と高田哲也監督が口にした名古屋も「流れを変えたかった」(同監督)と30分に行ったDF三浦康希、FW深堀隼平の二枚替えが奏功し、反撃を開始。高さのある三浦がきっちり広島のロングボールを跳ね返し、守備の安定をもたらしたことで、攻撃にもリズムが生まれると、42分には左CKのこぼれ球をエリア左で拾ったMF原田拓季がゴール前にクロスを展開。深堀が左足ボレーで叩き込み、前半を終えた。

 後半は、一進一退の攻防が続く。4分には右CKから深堀がヘディングシュートを狙ったが、枠の上。19分には広島のFW満田誠がゴール前までドリブルで持ち込み、ゴールを狙ったものの、DFの粘り強い対応に合い、枠を捉えることができない。28分には広島が左の東野から、中央のMF竹本雄飛と繋ぎゴール前にスルーパス。加藤威が抜け出したものの、シュートは右ポスト。こぼれ球を素早くゴール前まで運ばれたがGK大迫敬介が絶妙な飛び出しで、ピンチを回避。大迫の素早いキックから、加藤威が再びゴール前に転じたが、GK加藤大智のセーブに阻まれた。

 広島がリードを保ったまま、試合終盤を迎えたが、後半31分にはサイドからMF梶山幹太にクロスを許すと、このボールが東野の手に当たって、PKを献上。これを森に決められてしまう。「やってしまったと泣きそうになった」と東野が口にしたように、残留争いを左右する大一番は振り出しに戻ったが、広島は下を向かず再び、攻撃を展開。40分には中央を持ちあがった竹本のパスから、川越がゴール前にクロスを上げると、途中出場のMF河本敬太がフリーでヘディングシュートを叩き込み、3-2の広島勝利でタイムアップを迎えた。

「楽な試合なんて、今年に入って一度もない。今節は他の下位チームも勝っているし、うちが勝ったからって安心できない」。沢田監督が苦笑いしたように、4試合ぶりの白星にもホッとすることはできない。「8か月間くらい手を変え、品を変えやってきたことで、少しずつチームのために身体を投げ出すプレーが増えてきたけど、まだまだ出来ないことも多い」と続けたように課題も多いが、「トレーニングや日常生活をちゃんと続ければ、苦しい日々を乗り越えていける」。今日のように、粘り強く勝利を拾うことが出来るか、残り5試合も広島の戦いに期待したい。

[写真]後半40分、河本の決勝ゴールを喜ぶ広島ユースイレブン

(取材・文 森田将義)
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