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切れ味鋭くF東京ゴールに迫った松本MF前田直輝「ドリブルで抜くのは自分の使命」

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[9.26 J1第2ステージ第12節 F東京1-0松本 味スタ]

 FC東京のDF丸山祐市は、松本山雅FCの攻撃を「ゴールに直結するシンプルなプレースタイル」と評した。ロングボールを後方から最前線のFW塩沢勝吾に入れる形は、実際に分かりやすいものだ。だが、そこに変化を加える存在がいた。MF前田直輝である。

 1点ビハインドとなった前半25分には、左サイドを突破。ゴール前にクロスを入れるところまで行ったが、中央の人数が足りずに跳ね返された。この場面をはじめ、切れ味の鋭いドリブルで日本代表経験者が並ぶF東京の守備陣にも挑み、何度か好機をつくっていた。

 それでも、前田にはやり切れなかった感が強く残っているようだ。「前半、最初の時間帯だけでした。(キム・)ボギョンと(安藤淳)アツさんと3人で左サイドから崩せたのは。そこからもう少しシュートまで、クロスを正確に挙げるところまで、アイディアとかコンビネーションとか突きつめて合わせていきたい」と、攻撃に精度を求めた。

 前節の山形戦で途中出場からゴールを決め、今節は先発起用された。自身に与えられた役割について「松本山雅の長所である長いボールのセカンドを拾うことも大事。でも、自分は足元で攻撃に変化を付けられる」と、自身の武器を生かすことを考えていたと振り返る。

 持ち味のドリブルには強いこだわりと自信を持っている。「相手が誰であろうと、ドリブルで仕掛けて抜くっていうのは自分の使命です。そこを失ったら何も残らない。そこは貪欲にドリブルで抜いていきたいと思います。それがチームのためになるのか。自己満足のドリブルではなく、チームのためになるドリブルを仕掛けたい」と言う。

 実際にF東京のDF陣を振り切る場面もあったが、まだチームの武器になり切れていないと唇を噛む。「かわしているだけですからね。ゴールも取っていないですし、そこは反省点です。数字に残る結果を求めていきたい」。

 ドリブルから得点を生み出す存在になれば、チームにとっても大きな武器になるだろう。それは前田自身も強く自覚する。DFを抜いてから、もう一つゴール前までボールを運べる力が必要だと口にした。

「コーチ陣と話しても、あそこでかわしてクロスを上げるよりも、もう一個中に入って行けたら、DFをもう一人引きつけられる。そうすればバイタルが空いたり、ファウルになったりというシーンが出てくる。そこはもう一つ中に切り込めたらと思います」

 8戦未勝利となり、J1残留に向けて苦しい戦いが続く松本。残り5節となったリーグ戦で、前田が自分の武器を磨き上げられれば、チームの目標にも一つ近づくはずだ。

(取材・文 河合拓)

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