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[選手権予選]延長前半に1年生MF宮倉ヘッドなど3発、関東予選8強の川越東が叡明振り切る:埼玉

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[10.10 全国高校選手権埼玉県予選決勝T1回戦 叡明高 1-4(延長)川越東高 深谷一高G]

 第94回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は10日に決勝トーナメントが開幕。春の関東大会予選8強の川越東高と叡明高(旧小松原高)との一戦は延長戦の末、川越東が4-1で勝った。川越東は12日の2回戦で埼玉栄高と対戦する。

 関東大会予選で創部以来初という県8強入りを果たした川越東が苦しみながらも1回戦を突破した。山岸徳監督が「関東は8に入って、インターハイもしぶとく16に入って、8決めで上手く行かずに0-4という負け方で良くなかったんですけど、(現在は)インターハイより完成度も上がってきて、攻撃的により充実してきた」と説明する川越東は右の石井皓士(2年)、左の小田一貴(3年)の両翼の突破とクロスからチャンスをつくると前半23分、石井のラストパスをFW水元大河(2年)が1タッチで合わせ、こぼれ球を小田が左足で狙う。

 だが、いずれも叡明GK亀岡森太郎(3年)のビッグセーブに阻まれてしまう。またサイド攻撃に加えて積極的にミドルシュートを放つなどゴールを目指したものの、ロングボールを多用する叡明に押し戻される展開。CB渡邊悠人(3年)とCB赤荻翔基(3年)がそれを跳ね返した川越東は後半3分に左SB柳下涼太(2年)の左クロスをエースFW小林大祐主将(3年)が技ありヘッドで決めて先制したが、22分の小田の決定的なシュートがCB平林巧巳(3年)にクリアされ、直後に小田が放った左足ボレーがクロスバーを叩くなど追加点を奪うことができない。

 すると、ロングスローやFKから同点ゴールを目指していた叡明にチャンスが訪れる。27分、カウンターから左オープンスペースへ展開すると、FW北島竜也(3年)が判断よく右足アウトサイドでクロス。ファーサイドへ届いたボールを中谷一貴(3年)が浮かせないように、身体を被せて放ったヘディングシュートがゴール左隅へ吸い込まれた。CBで先発し、後半10分過ぎから前線へ配置転換されていた背番号4の執念の同点ゴール。喜びを爆発させた叡明は攻守に勢いづいた。

 川越東は31分に小林が1タッチの右足シュートで、41分には赤荻がヘディングシュートでゴールを襲うが、いずれもGK亀岡がワンハンドでセーブ。MF野呂渉主将(3年)や北島中心に攻め返す叡明に延長戦まで持ち込まれてしまった。それでも川越東は延長前半2分、小林の左CKをニアサイドに飛び込んだポーランド系の1年生ボランチ、MF宮倉樹里杏が頭で合わせて勝ち越しゴール。山岸監督が「日本人にないような足の長さとかヘディングとかもそうですし、独特のものがある。まだまだですけど期待している」と評する1年生のゴールで勝ち越した川越東は畳み掛ける。8分には小林の右CKをファーサイドで赤荻が折り返し、最後は1年生MF平野颯大が右足でゴール。アディショナルタイムには小林の右足FKがクロスバーとGKの身体を経由してゴールへ吸い込まれた。

 攻めながらも80分間で決着をつけられなかったことは反省点。だが小林が「普段走っている分、延長では相手より走れていたのでこっちにペースができた。最後の方はすごくいい形のサッカーができていた」と振り返ったように、延長戦を非常に良い形で終えたのは2回戦へ向けて好材料だ。川越東は総体予選後に先発の3年生半数が引退。主力が入れ替わったこともあって、8月の選手権1次予選前は状態が良くなかったという。それでも小林は「今のチームだったら夏のチームよりも状態は上だと思います」と力を込める。昨年のチームに比べても個の部分が弱いと言われる中で磨いてきたチーム力は武器。「練習で球際とかも厳しくやって、スライディングとかもこだわって、練習の合間合間も走って移動してとか普段の厳しさが結果につながっていると思う」(小林)。2回戦の対戦相手は年代別日本代表選手も擁する埼玉栄。相手にボールを握られることが予想されるが、チームの歴史を変えている世代は「あっちの方が格が上なのでしぶとく守備から」(山岸監督)、「球際厳しくいければ必ずチャンスはある」(小林)というようにやるべきことを徹底し、この日の延長戦のように良い形でゴールへとつなげて白星をもぎ取る。

[写真]延長前半2分、川越東は宮倉(25番)のヘディング弾で勝ち越し

(取材・文 吉田太郎)
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