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[MOM1516]八千代松陰GK美好健太(3年)_FKキッカーも務める攻撃的GK、ビッグセーブで主役に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.11 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 白井高 0-1 八千代松陰高 八千代松陰高G]

 少々のプレッシャーでは動じない。足下の技術の高さを活かしてポゼッションに加わり、間合いを詰められても落ち着いてボールをさばいていた。そして後半には2本のビッグセーブ。八千代松陰高は直接FKのキッカーも務める攻撃的GK美好健太(3年)が勝利の立て役者となった。美好は「味方の応援と、自分たちで集中して声出し続けて、練習した成果を出せた」と仲間たちに感謝の弁。小嶋卓哉監督は「(運動能力も)高いですし、足下も上手いから。信頼していますよ」という3年生守護神を決勝トーナメント初戦のマン・オブ・ザ・マッチに挙げた。

 2本のビッグセーブはいずれもセットプレーから迎えたピンチだった。まずは後半9分、右CKから白井高MF押田達己(2年)に決定的なヘディングシュートを放たれたが、「あれはもう身体が勝手に反応して」という美好は右に跳んで至近距離からの一撃をストップ。さらに17分にも後方からのFKをMF戸張隆也(3年)に頭で合わされたが、美好は再び素晴らしい反応を見せて止めた。押し込まれる展開が続いた八千代松陰だったが、守護神の好守もあって1-0で勝利。ベスト16入りを決めた。

 全国8強進出の歴史を持つ伝統校の守護神は異質のGKだ。小学生時代にGKとFWを両立していたという美好は、系列の八千代松陰中でもGKをメインに取り組みながら、フィールドプレーヤーとしてトレーニングに参加することもあったという。「守備も攻撃もできる」GKを目指しているという美好は現在、その精度、パワーあるキックをコーチングスタッフ、チームメートから評価されて直接FKのキッカーを担当。夏の県外遠征では、松本山雅FC U-18相手に直接FKを決めているという。この日も1-0の後半アディショナルタイムに味方が右中間でFKを獲得すると、美好はキッカーを務めるために敵陣まで上がったが、試合展開を考慮して自粛。もうひとつの“見せ場”はお預けになったが、今後直接ゴールを狙う背番号1の右足キックに大注目だ。

 悔しい思いをきっかけにGKとしても成長を遂げてきている。昨年の県1部リーグ・習志野高戦では「先輩にうまく指示とか出せなくて」大量9失点。自信を失ってしまい、その後選手権予選期間中に右足親指を骨折した美好は新チームになっても正GKの座を掴むことができなかった。それでも「その時に『腐らずに』『腐らずに』って自分に問いかけていた」と我慢を続け、今春からポジションを獲得。今や、チームから大きな信頼を受けるGKになった。憧れの存在にイケル・カシージャスを挙げる美好は「全国出たい」ときっぱり。相手の攻撃をシャットアウトし、攻撃面で魅せて、チームに白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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