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[選手権予選]終了間際に1年生島崎決勝弾!国際学院が伝統校の浦和南破る!:埼玉

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[10.12 全国高校選手権埼玉県予選決勝T2回戦 浦和南高 2-3 国際学院高 埼玉スタジアム第4G]

 第94回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は12日、決勝トーナメント2回戦を行った。全国優勝3回の伝統校、浦和南高と関東大会予選、総体予選8強の国際学院高との一戦は後半39分に1年生MF島崎翔輝が決めた決勝ゴールによって3-2で国際学院が勝利。国際学院は3回戦(24日)で伊奈学園総合高と戦う。

 国際学院が後半終了1分前に決めた劇的な決勝ゴールによって競り勝った。2-2の後半39分、国際学院は左サイドでセカンドボールを巧みにキープしたMF渡辺琢巳(2年)がタッチライン際を走るMF大和田陸(3年)の前方へパスを配球。そして大和田が弾道の低いクロスを入れると、右サイドからGK、DFの前に飛び込んできた島崎がスライディングで合わせて勝ち越した。後半31分から投入されていた1年生は「自分がしっかり試合を決めたいと思っていた」。ピッチサイドのネット越しに控え部員たちとハイタッチを繰り返して喜びを分かちあった国際学院イレブンはその後PAへFK、ロングボールを放り込んでくる浦和南の反撃をGK小林直也(3年)やCB坂田和也主将(3年)を中心に凌いで試合終了の瞬間を迎えた。

 ピッチに両膝をついて喜びを表現した坂田は「自分ら初戦だったんですけど、浦和南さんは初戦4-0で快勝していて、勢いがあってやり辛かったんですけど、『前半から自分たちのペースでやろう』と監督から話があっていつも通りにやったらこういう結果になった」とホッとした表情。粘り強い守りと「しっかり守れば絶対に点取ってくれる信頼がある」(坂田)という攻撃陣が力を発揮して伝統校を撃破した。

 プレッシャーの厳しい中盤を避け、FW細川和希(3年)、FW倉持雅人(3年)へのロングボールを交えた攻撃やサイド攻撃で攻める国際学院は前半11分、大和田の左クロスを細川が合わせて先制。だが浦和南は23分、右CKからヘディングシュートのこぼれ球を最後はFW香川浩輝(2年)が押し込んで同点に追いつく。1-1で折り返した後半3分、国際学院は左クロスをGKがファンブルしたところを詰めた倉持が勝ち越しゴール。だが後半開始から2年生FW高窪健人と1年生MF高橋亜総を同時投入していた浦和南は6分、MF田口亮護(3年)がドリブルでPAへ強引に割って入ると、こぼれ球を拾った高窪が一気にシュートへ持ち込む。これはGKに阻まれたが、高窪は目の前に落ちたボールをピッチに右膝をついたままの状態で左足で押し込んで同点ゴールを奪った。

 CB竹内豊(3年)が中心になって声、プレーでチームを締める浦和南は、独特のリズムのドリブルで局面を打開する高橋や推進力ある突破を見せる高窪が攻撃力を発揮。彼らによって攻撃が活性化したチームは勝ち越し点を狙う。だが15分に高橋の放った右足シュートは左ポストを直撃。34分には10番FW泉涼太(3年)を投入して勝ち越し点を狙ったが、国際学院は「1対1とかあまり信頼されていない。でも粘り強くやるとか、統率するというところは信頼してもらっていると思う」という坂田や反応良くクロスに対応する小林らが防いでいく。

 後半追いつかれた後は苦しい時間帯があったものの、「前から粘り強く守備しながら、やられても狙って狙って少しでもスペースあったら前に入って攻撃していく」と酒井宏治監督が語る国際学院は指揮官の「前半膠着して、後半間延びするような試合になると思ったので、ボール持てる選手を後半から入れていって」という狙いも当たり、グラウンダーの攻撃を増やして渡辺や大和田がチャンスメーク。そして終了間際の決勝点によって勝利を収めた。

 日本体育大監督や大宮ユース、駒澤大のコーチを務めた経歴を持つ酒井監督が「よくやってくれていると思います、何か言えばやってくれるし、何か言わなくてもやろうとしてくれる」という国際学院の選手たち。坂田は「今はおおまかなところで勝ちを取っているんですけど上に行くと細かいところで差が出てきてしまう。1対1とか空中戦とか、競り合いとか負けないように練習に励みたい」と上位争いを勝ち抜くために必要な要素を口にした。そして坂田は「埼玉の優勝を取りたい」と宣言。伝統校を突破した国際学院が過去最高の4強(06年)を越える優勝を勝ち取るため、まずは最高の準備をして3回戦を迎える。

[写真]好守でチームを支えたGK小林を中心に競り勝った国際学院が3回戦進出

(取材・文 吉田太郎)
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