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川崎Fとの力の差を痛感した京都MF荻野「ほとんど通用しなかった」

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[10.14 天皇杯3回戦 川崎F3-0京都 等々力]

 カテゴリーの違う相手と対戦できるカップ戦は、選手たちにさまざまな経験をさせる。上のカテゴリーを戦っている選手たちは、捨て身の覚悟で臨んでくる相手の勢いを体感し、下のカテゴリーを戦う選手たちは、よりレベルの高い選手たちとの試合を経験できる。

 0-3で敗れた川崎フロンターレ戦、京都サンガF.C.のDF菅沼駿哉とMF荻野広大の感想は対照的だった。試合序盤から出足の良い守備で川崎Fの縦パスをカットしていた菅沼は、手応えを感じ取った一人だ。「相手がJ1のチームだったので、僕らはチャレンジャーだから思い切ってやろうという話ができていました。相手にすごい選手がいる中で、みんながどうしても引いてしまっていた部分もあり、そこはもったいなかったなと思います」と、試合を振り返る。

 試合中にはFW大久保嘉人と何度も激しくやり合っていた。数多くのゴールを積み重ねて来たストライカーとのマッチアップについても、磐田時代にJ1を経験している菅沼は対等にできたと感じたようだ。「プレーしているとき、そこまで『すごいな』と感じることはありませんでした。でも、実際には失点してしまっている。そこはJ1とJ2の差を感じましたし、3失点してしまっているので、ゼロ失点に抑えるために見直さないといけない部分があるなと感じています」。

 0-1で試合を進めて行けば、チャンスはある。菅沼は2点目がカギになると考えていたと振り返る。「0-1のまま行けば、オグリさん(大黒将志)が(ベンチに)いたので。『オグリさんが決めてくれるから0-1のまま行こう』という話はできていたんです」。

 だが、この試合2点目を決めたのは川崎Fだった。そのゴールが決まったとき、菅沼はピッチ上にいなかった。直前に足を負傷して、ピッチ外で治療をしていたときに守備を崩されて勝負を決する得点を決められた。「僕が(足を)つってしまって、外に出てしまい一人少なかった中で2失点目を喫したのはもったいなかった」と、唇をかんだ。それでも、「試合を通しては、本当に良いゲームができたと思っているので、次の横浜FC戦につなげたい」と収穫を強調した。

 日本屈指の攻撃力を誇るクラブとの対戦で自信を深めた菅沼に対し、中盤の一角に入った18歳の荻野はJ1クラブとの大きな差を痛感していた。京都は何度か中盤のパス回しで好機をつくる場面もあったが、荻野は「強かったです」と、川崎Fの印象を語った。

「前からいって、できるだけ中村憲剛選手と大島僚太選手に良いボールを出させないようにしたんですけど…。あまり僕とか前からプレスに行くことができなくて。うまくて、もうボールを取れなかったです」

 試合の立ち上がりや後半など、京都がチャンスをつくる場面もあった。しかし、そのことを指摘されても「ボールを受けるところとか、J1のトップチームを相手に通用するところもありましたが、ほとんど通用しなかったので、もっと練習したいです。前半のカウンターとかも、フロンターレさんは決めてくるので、そういう質にこだわっていきたい」と、荻野は自身とチームの課題を口にした。

 J2で18位と苦しい戦いが続く京都。この試合で得た収穫と課題をリーグ戦で浮上するきっかけにできるか。

(取材・文 河合拓)

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