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[関東]白熱の早慶戦…両指揮官の言葉は結果と真逆に

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[10.24 関東大学1部リーグ第19節 早稲田大2-1慶應義塾大 西が丘]

 首位決戦となった関東大学リーグ第18節の早慶戦。勝ち点34で並ぶ2位・早稲田大が首位・慶應義塾大を2-1で下すと、今季3度目の首位の座に立った。しかし、試合後に両監督が発した言葉は試合結果と真逆のものだった。

 勝利した早稲田大の古賀聡監督は「これまでの試合よりもやられたなという印象が強い」と険しい表情。一方、敗れて首位から転落した慶應義塾大の須田芳正監督は「負けたのは残念」と言いつつも、「互いの特徴を出し合った、すごくいい試合。内容も悪くなかった」と納得の表情を浮かべていた。

 この日の前半、流れは慶應大のものだった。セカンドボールをしつこく拾った慶應大は素早いカウンターからサイド攻撃をみせると、MF手塚朋克(2年=静岡学園高)やDF溝渕雄志(3年=流通経済大柏高)が正確なボールを供給。あわやというシーンをみせた。最後の精度を欠き、得点には至らなかったものの、守っては統率の取れたDFラインで相手の攻撃を封じ込めた。ストロングポイントを全面に押し出し、相手を圧倒した。

 それでも先制したのは早稲田大。前半36分にセットプレーのこぼれからDF奥山政幸(4年=名古屋U18)が右足シュートを決めた。後半21分には追いつかれたが、同38分にカウンターからFW山内寛史(3年=國學院久我山高)のゴールで2-1と勝ち越しに成功。悪い流れの前半を耐え切ると、後半のわずかなチャンスをものにして、2-1で勝利。“したたかさ”をみせた早稲田大が勝負を制した。

 今季の早慶定期戦、前期のリーグ戦ともに早稲田大が1-0で勝利。今試合によって、3連勝となった。しかし古賀監督は「切り替えの速さを追及してきたが、相手の攻撃の方がスピーディーで決定的なチャンスを作っていた。本当に慶應さんは素晴らしいなと。攻撃や切り替えの速さで負けてはいけないなと改めて感じました」と反省。

「選手たちも試合後に慶應は強かったなと口にしていました。それをいい緊張感、いい危機感に変えて、また来週の試合に臨みたい」と気を引き締めた。

 前期リーグでは慶應戦の勝利をきっかけに7連勝している早稲田大。今季も残り3試合となり首位の座に立った。全勝すれば無条件で1996年大会以来、実に19年ぶりのリーグ制覇だ。背番号10のFW山内寛史(3年=國學院久我山高)は「優勝争いはしてきたが、ここまで近くに来れたのは初めて。おごりが出るようなチームではないが、勝つための準備をしていきたい」と力を込める。

 一方、好ゲームをみせるも敗れた慶應義塾大は首位陥落。早稲田大と勝ち点3差に開き、優勝するためには相手が取りこぼすのを待つ状況となった。それでも、試合後の選手たちに悲壮感はない。敗戦を「悔しい」と言ったDF久保飛翔(4年=済美高)主将だったが、「残り試合全てに勝てばチャンスはあるはず。切り替えていければ。チームに下を向いている人はいないので」と気丈に語った。

 慶應義塾大は次節、暫定3位で勝ち点1差の国士舘大と対戦。その後も流通経済大戦、最終節では明治大戦と上位陣との直接対決が続く。この3連戦を乗り切り、逆転でのリーグ制覇を果たせるか。正念場を迎えている。

(取材・文 片岡涼)

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