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[選手権予選]桐光学園が小川の決勝弾で延長戦制し、桐蔭学園を撃破:神奈川

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[10.24 全国高校選手権神奈川県予選準々決勝 桐光学園高 1-0(延長)桐蔭学園高 日大藤沢高G]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の神奈川県予選は24日、2次(最終)予選の準々決勝を行い、高校総体予選優勝の桐光学園高は、延長戦の末に1-0で桐蔭学園高を下してベスト4進出を決めた。

 決勝点を決めたのは、U-18日本代表のFW小川航基。延長後半にヘディングシュートを突き刺した。勝った桐光学園の鈴木勝大監督は「前半は悪い状況ではなかったが、いつか入るだろうという甘さがあったかもしれない。厄介な強風もあって、1本のパスでピンチになるところもあり、リスクを管理しながら攻めるのは難しかったが、弱気になってしまうとペースを奪われる。今年のテーマは、強気・破壊・奪回。強気の部分はもう少し出してほしかった。あと2つだけど、一戦必勝。毎回、決勝のつもりで戦えと言っている。(高校総体予選では勝ったが、選手権予選の)ディフェンディングチャンピオンは日大藤沢さんなので、(神奈川の覇権)奪回というテーマを促しながらチャレンジしていきたい」と今後に向けた意気込みを話した。

 8強シードの桐光学園は、この試合が初戦だった。前半は風下だったが、小川を起点に敵陣へ攻め込み、圧倒的に押し込んだ。17分に小川、右MFイサカ・ゼイン、そしてもう一度小川と連係を見せたかと思えば、21分には小川のキープからラストパスを受けた左MF西川公基がシュート。36分には自陣からのロングフィードをイサカがヘディングで合わせ、追い風に乗ったシュートでゴールを襲う場面も見られた。しかし、桐蔭学園は自陣で粘り強い守備を見せて対抗。特に中盤の球際への執着心やプレスバックが効いていた。前半終了間際には、1本のパスで抜け出した2年生FW鶴田隆人に決定機が訪れるなど、耐えしのぎながら1チャンスを狙う強かな試合運びを見せた。

 後半も優勢だったのは、桐光学園だった。4分に左サイドを崩してトップ下の鳥海芳樹がシュート。GKに阻まれて左CKになると、右DF佐藤海徳のクロスに左DF鈴木大我が頭から飛び込んだが、わずかに合わなかった。後半8分にはイサカとの連係で抜け出した小川が鋭いシュートを放ったが、桐蔭学園の2年生守護神・早川友基が好守。押しながらも1点が遠い展開が続いた。逆に、猛攻をしのいだ桐蔭学園は積極的な選手交代で運動量を維持しながら反撃に出た。後半20分過ぎからは連続CKなどで攻め込む場面が増え始めた、後半23分、攻撃の中心として活躍を見せていたMF中村陸八が蹴った左CKは、風の影響で絶妙な曲線を描いてクロスバーを直撃。後半37分には途中出場のMF馬場啓輔がミドルシュートを放つなど、試合を完全に互角の状態に持ち込んだ。

 しかし、桐光学園が終盤にU-15日本代表の経験を持つ1年生MF田中雄大を投入すると、試合のリズムは変わった。「初戦だからなのか、攻撃のバリエーションが少なくて引いている相手を崩せていなかった。バタバタしていたので、自分のところで落ち着かせてサイドに散らしたり、仕掛けたりして積極的にゴールを狙って、自分が流れを変えてやろうと思った」という田中の抜け出しやドリブルを起点に攻撃のリズムをばん回し、後半終了間際には田中がPAで倒されてPK獲得かというシーンも作り出した。試合は80分で決着がつかず、10分ハーフの延長戦に突入。均衡が破れたのは、延長後半4分だった。桐光学園は、左サイドからカットインを仕掛けるようにドリブルした田中が浮き球のパスを送ると、一瞬の動き出しでマークを外した小川がヘディングシュート。きっちりとゴールの枠に収め、スタンドで応援する仲間の姿を確認すると、右の拳を力強く突き上げた。

 得点で自信を回復させた桐光学園を相手に、残り5分で一撃を見舞う余力は、桐蔭学園にはなかった。エースFW行武大希が3回戦で退場したため出場停止という厳しい状況でもあった。CBとして体を張り続けた主将の澤田大登は「後半、自分たちの流れになったときに決めることができなかった。エースがいない状況ではあったけど、相手にも負傷で先発していない主力選手がいる。いないときも勝たないといけない。みんな、頑張ってくれたけど、最後が自分のマークだった」と悔しがったが、優勝候補の一角である桐光学園を相手に健闘を見せたことは間違いなかった。

 勝った桐光学園は、小川、田中、スピードとパワーを兼備するイサカら攻撃陣に豊富なタレントを擁する。全国屈指の陣容と言って間違いない。激戦の神奈川を抜ければ、全国大会でも上位を狙える力がある。苦しい戦いを切り抜け、その能力をチームとして開花させることができるのか。11月1日に等々力陸上競技場で行われる準決勝では、湘南工科大附高と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
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