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[選手権予選]全国での勝利、躍進狙う札幌大谷、創部7年目で夏冬計5度目の全国切符!:北海道

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[10.25 全国高校選手権北海道予選決勝 札幌大谷高 2-0 北海高 札幌厚別公園競技場]

 第94回全国高校サッカー選手権北海道予選決勝が25日に札幌厚別公園競技場で行われ、札幌大谷高北海高に2-0で勝利。2年ぶり2回目の全国大会出場を決めた。

 12月上旬並みという強い寒気の影響で初雪も観測した札幌市内。時折強い風雪が吹き付ける中での戦いとなった決勝を札幌大谷が制した。序盤は球際で見せるスライディングタックルなど、互いに攻撃面よりもボールサイドでのタフさや集中力が目立つ展開。その中でボールを握って攻める札幌大谷はSB磯見恭輔(3年)の左足キックやMF西野尾基陽(3年)のドリブル突破など左サイドからの攻撃で北海を押し込んでいく。北海のCB加美山裕紀(3年)やCB神田知哉(2年)が正確なタックルやインターセプトを見せたこともあってなかなかビッグチャンスまでは至らない中、17分にはMF大山武蔵(2年)が右足ミドルで流れを変えようとした。

 対する北海は183cmFW奥野雄大(3年)を起点とした攻撃で対抗。25分にはMF畠山航汰(3年)が自ら獲得したFKを直接左足で狙った。だが、GKの正面。オープンスペースを狙った攻撃やコンビネーションによる崩しに試みるシーンもあったが、今大会無失点の札幌大谷守備陣を脅かすことができない。

 膠着したまま30分が経過した試合は、1つの選手交代とセットプレーによってスコアが動いた。前半33分、札幌大谷は右CKを獲得したタイミングでキープ力の高いMF山口航平(3年)を「裏のスペースが空いていた」(田部学監督)という理由でFW木村太哉(2年)へスイッチ。「裏のスペースがあるから自分の得意なドリブルで仕掛けていくこと」をアドバイスされて送り出された木村だったが、交代の意図以上の形で期待に応える。磯見が左足で蹴りこんだボールに走りこんだのは投入されたばかりの木村。頭と肩とで合わせたボールがゴールへ突き刺さり、赤いユニフォームが喜びを大爆発させた。

「リーグ戦というのは個人のエラーを我慢してその経験を次につなげようというところですけど、トーナメント戦はチームとして負けちゃうと次がないので、早く決断して勝つためのメッセージを伝えて行かないといけないと感じている」と田部監督。準決勝でも前半途中に交代カードを切っていたが、選手層の厚さを活かした積極的な交代策と、ポゼッションでジャブを打ち続けた後の「目先を変える」セットプレーでスコアを動かした。

 札幌大谷は後半16分にもMF庄内巧真(3年)が中盤でのインターセプトからすかさず右足を振りぬく。ゴールの外側から巻く形で放たれた右足ミドルは見事にコントロールされてゴール右上隅を射抜いた。「相手からボール取ってゴールが見えていた。ボールが足下に走り過ぎたのでこれはダメかなと思ったけれど、凄く良いコースに行ってくれた」という庄内の「練習でも打ったことない」一撃によって2-0となった。

 北海も交代出場のMF斉藤智也(3年)が右サイドからのドリブル突破でFKを獲得。だが、FKの精度を欠いてしまうなど追撃することができない。一方、札幌大谷はチームを身体で引っ張るFW内田洸介主将(3年、U-18フットサル日本代表候補)を筆頭にハードワークも徹底して後半は北海にシュートを打たせず2-0で勝利。U-18フットサル日本代表候補でもあるGK坂桂輔(3年)が「インハイ(予選)のときに無失点優勝しようと目標立てていたんですけど3失点してしまって、選手権では無失点優勝しようと自分の中で掲げていた」という通りに全試合無失点で2年ぶりの頂点に立った。

 札幌大谷は09年4月の創部からまだ7年目だが、すでに全国高校総体出場3回。そして全国高校選手権への2度目の挑戦権を勝ち取った。歴史はまだ浅いが、早くも北海道を代表する存在のひとつになっている。次の目標はまだ成し遂げられていない全国1勝。2年前よりも攻守両面でできることを増やしているチームについては指揮官も「(今年の)インターハイも渡り合うことはできている。チームとしての習熟度は上がってきている」と語る。ここから先は個のベースをさらに上げること。そして「勝ちをもぎ取るというか、選手たちの最後の意欲というか、気持ちを期待したい」。

 対して、庄内が「(初戦敗退した全国総体では)雰囲気とかに飲まれた感じがするので、これからはもっと全国の勝利に近づけるようにメンタル面を磨いていきたい」と語ったように、選手たちもその課題を改善して全国へ挑戦するつもり。主将の内田は「全国に向けて(予選で対戦した)相手選手たちの思いも背負って、第一目標は勝利なんですけど積み重ねていけるようにしたい」。まずは1勝。それを成し遂げるため、北海道の新鋭はこれまで以上に高い意識を持って2か月間準備をする。

(取材・文 吉田太郎)
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