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[MOM1536]五條MF棚田有哉(3年)_中学から大きく成長したストライカーがエースの仕事

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.25 全国高校選手権奈良県予選2回戦 五條高 4-0 奈良北高 香芝高G]

 「最初から相手にプレッシャーをかけるために先制点を獲ろうと思っていた」という意気込み通り、五條高MF棚田有哉が電光石火の得点を奪い、試合を動かした。最初の見せ場は前半1分。相手GKのキックミスをFW堀内幹太が高い位置で跳ね返しPAに落とすと、棚田がいち早く反応。急きょ訪れたGKとの1対1の場面にも関わらず、冷静に頭上を射抜くループシュートを選択し、ゴールネットを揺らせてみせた。

 以降も左右自在に動き回りながら、速さと巧さを備えたドリブルで、チャンスを演出。40分には、後方でMF三谷大輝のクサビを前線で受けると、ワンツーで彼のシュートを引き出すなど、相手の脅威となった。試合終了間際の後半38分にもGKとの1対1の場面に持ち込み、ループシュート。これは惜しくもバーに阻まれたが、「いつもはかなり外しているのに、今日は調子が良かった」と笑顔を見せたように、上出来と言えるパフォーマンスだったと言える。

 160cmの小柄な身長から繰り出す、切れ味鋭いドリブルと、「勝つためなら何でもやる」と口にするように攻守両面で見せる泥臭いプレーは、一目見て他との違いを感じさせる選手だが、高校に入るまでは県でも、無名の存在。それどころか、小学校から中学校に上がる際には、FW前田俊介(札幌)らを輩出した奈良の名門街クラブ「ディアブロッサ高田FC」を受験したが、合格できず、セカンドチームである「ディアブロッサ高田FC大和」に所属していた。「落ちたことが悔しくて、頑張って練習をした。絶対に受かった奴らには負けないって気持ちが強かった」と猛烈な追い上げを見せたことが、今の活躍に繋がっているという。

 高校に入ってからは早期に出場機会を得たが、「一昨年、昨年と(県予選の)決勝まで進みながら2度も負けている。ドリブルをしても、簡単に奪われたり、個人としてはフィジカルと個の力が足りなかったと思う」と過去2年を振り返ったように、これまでは自身の力でチームを全国の舞台に立たすことが出来ず、悔しい想いばかり。より戦うことのできる選手になるべく、今年の春からは、当たり負けしない身体を作るために、体幹トレーニングを行うようになったという。自身を「調子乗り」と評するように、この日の活躍で勢いに乗る可能性は大いにある。3度目となる選手権へのチャレンジで、これまでと違ったエンディングを迎えることはできるだろうか。

(取材・文 森田将義)
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