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[選手権予選]履正社に雪辱を!夏の茨城王者・明秀日立が見据える初Vの先にある目標

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[10.28 全国高校選手権茨城県予選3回戦 明秀日立高 7-0 勝田工高 ひたちなか市総合運動公園スポーツ広場]

 第94回全国高校サッカー選手権茨城県予選は28日、3回戦8試合を行った。今夏の高校総体予選で優勝した明秀日立高は今大会初戦となった勝田工高戦を7-0で快勝。明秀日立は11月1日の準々決勝で鹿島高と戦う。

 悲願の選手権予選初優勝、そして全国舞台での雪辱を誓う明秀日立が快勝発進した。「初戦だから、点差とかよりも勝ちきればいいかなと思って、まずは積極的に守備をしていこうと。勝ち急ぐと慌てるから、じっくり80分間で勝てればと思っていました」と萬場努監督。立ち上がりはMF桜井太一(3年)の左足ミドルなどで攻めるもやや硬さが見られ、またCB永原章伍主将(3年)やCB寺門慎吾(3年)中心に守る勝田工も簡単にはゴールを許さない。

 だが、明秀日立は前半14分に決めたゴールからの連続得点によって、4年ぶりの県大会出場で16強まで勝ち上がってきた勝田工を突き放す。明秀日立は14分、自陣で得たFKからCB江本光(3年)が素早く左サイドへ展開すると、これを受けた左SB菅野佑哉(3年)が10番FW吉田知樹(3年)とのワンツーで一気にサイドを攻略する。そして上げられたクロスをFW本田光(3年)が技ありヘッドで逆サイドのゴールネットへ流し込んだ。

 4本のパスであっという間にゴールを奪った明秀日立はさらに16分、左サイドを抜けだしたMF林大地(3年)の折り返しをMF伊藤駿介(3年)がスライディングシュートで押し込んで2-0。21分には右サイドで吉田とのワンツーを完結させた伊藤がスライディングでボールをコントロールすると、すかさず中央へラストパスを送る。これを林が右足ダイレクトでゴールへ突き刺して3点目。そして31分にはMF大野拓朗(2年)の展開から右サイドを突破した伊藤が豪快に右足シュートを叩き込んで4-0で前半を折り返した。

 ハーフタイムに選手間でよく声の出ていた勝田工は後半、GK小泉巧麻(3年)が好セーブでチームを勇気づけると、カウンターからスピードあるドリブルでチャンレンジしたFW平野早人(3年)とFW大山蓮(3年)を中心に反撃。だがシュートシーンを作り出すことができない。逆に明秀日立は16分、中央の吉田が右前方へ出したラストパスに走りこんだ伊藤が右足で決めてハットトリック達成。24分には吉田が倒されて獲得したPKを林が右足で決めると、39分にも菅野の左FKをニアサイドの伊藤が1タッチでゴールへ沈めて7得点で快勝した。

 明秀日立らしいサイドをドリブルで攻略するシーンはわずかだったが、スペースを活用した攻撃で7得点。初優勝へ向けて好発進した。そのチームは全国で履正社高(大阪)にリベンジすることを目指している。この夏、2度目の全国総体出場を果たした明秀日立だったが、初戦でプレミアリーグWESTに所属する履正社に1-4で敗戦。大型選手たちが速く、質の高いパスを繋いで攻める履正社に力負けしたが、フィジカル面や走力では通用したと感じている。明秀日立は萬場監督が「フィジカル的な部分とかは戦えた部分があった。ぶつかり合いに関しては身体鍛えてきている部分が今年のウリ。自分の身体を自由に動かすためにある程度の筋力は必要だよねということでやっています」と説明するように、ベンチプレスで肉体強化。2年生MF大野の110kgを筆頭にCB石川慶人主将(3年)や江本、GK宮田英幸(3年)が100kg超えに成功しているほか、ほとんどが体重の1.25倍の重量を持ち上げるノルマをクリアしているというパワーや、走力の部分はやれたという手応えがある。

 だが、明秀日立の最大の武器である技術面で出た全国トップレベルとの差。石川は「一つひとつの技術、パス、細かいところが相手に劣っていた」。それでも強豪の実力を体感したことで選手たちの意識は変わってきた。萬場監督は「履正社ともう一回やった時に勝てるか勝てないか、そこを彼らも求め始めたので。疲れた時でもやらないといけないと自分たちでやるようになった。ハングリーになった」と目を細める。

 全国でもう1回、履正社と戦う。仮に履正社と対戦できなくても、全国トップレベルの強豪に勝つことを目指して努力を続けてきた。石川は「(夏に)履正社とやって、あそこ目指してやっているので、球際やパスのスピードだったり、細かいところまでこだわってやっています」。右SB秋山峻耶(3年)の台頭など個々の成長も見られ、夏よりも一歩、半歩かもしれないが目標に近づいてきている手応えがある。そして伊藤は「全国で戦って全国レベルの相手に勝つこと。全国ベスト8が目標」と宣言。初優勝の先にある目標を達成するために、夏の覇者が再び茨城を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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