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[MOM1542]草津東MF鎌田麓(3年)_「相手に『凄い』と思ってもらいたい」意気込み示す1G3Aも満足せず

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 全国高校選手権滋賀県予選2回戦 草津東高 13-0 長浜北高 ビッグレイクB]

 草津東高のゴールラッシュの幕開けは、左サイドのスピードスターMF鎌田麓(3年)の突破から始まった。試合を動かしたのは開始6分。自陣中央でボールを持ったMF山本悠樹からのロングパスを左サイドで受けると、一気に加速し、縦を突破。ゴール前に入れたパスで、MF犬飼廉の先制点をお膳立てすると、続く12分には中央でのパス交換から左に流れたボールを受けると、PA左まで持ち込んでシュート。GKが弾いた所をFW高橋晃平が押し込み、リードを2点差とした。鎌田は後半も序盤に山本悠の2ゴールを引き出すと、15分には右サイドから上がったDF上林聖矢の低いクロスを左から中に飛び込んでゴールをマーク。26分にピッチを退くまで左サイドで多くの見せ場を作った。

 だが、「攻撃は上手く行ったと思うけど、決めきる所で決めきれなかった。今日は『綺麗に決めよう』という意識が強かったので、パスばかりを考えちゃって、いつもより突破が少なかった。守備でもセカンドボールが拾えない時間があったので、個人的にはそこまで良いとは思えない」と口にしたように、本人はこの日のパフォーマンスに納得せず。「3アシストは出来たけど、ゴールが一番目立つのでもっと決めたかった」と続けたように、よりインパクトに残るプレーを見せたかったという。

 それには理由がある。「ビビッてしまって、まったく何もしていない」と振り返る昨年度の全国選手権では、東福岡高と2回戦で対戦。0-3で敗れたこと以上に衝撃を受けたのがMF増山朝陽(現神戸)、赤木翼(現九州産業大)の両サイドだったという。「体つきが僕とは全然違った。プレーも、落ち着いている感じがして、大舞台に慣れているなって。次元が違いましたね。増山クンはホンマに凄かった」。

 晴れ舞台で持ち味を発揮できなかった昨年から一転、今年の全国総体は持ち味である速さを活かしたドリブルで見せ場を作るなど確かな成長が見られた。変化を生んだのは大舞台を踏んだことで生まれた精神的な余裕。「落ち着きが出てきて、プレーの選択肢が増えてきた。昨年は縦ばかりで、中に行くプレーがなかったけど、今年は縦へも中にも行けるようになったので、やりやすい。ゴールの場面も昨年はなかった動き」と話す。

「昨年の選手権、今年のインターハイと全国大会を2回経験したけど、(インターハイで)ベスト16までしか進めていないので、草津東の名前が皆の頭に残っていないと思う。個人としてもクサヒガはやっぱりサイドが武器だと思うので、自分がもっと仕掛けていきたい。昨年の俺らが東福岡に思った『凄い』という感情を、今年は俺らが相手に思ってもらえるように頑張りたい」。何も出来なかった昨年の屈辱を晴らすためには、選手権の舞台にもう一度立たなければならないということを本人が一番分かっている。だからこそ、1ゴール3アシストしただけでは満足しない。次戦以降は、より切れ味鋭いプレーで、観衆を沸かせてくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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