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[MOM1544]近大和歌山FW岩橋昌司(3年)_ガムシャラな小兵FWが頭だけでハットトリック

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 全国高校選手権和歌山県予選2回戦 田辺高 0-6 近大和歌山 上富田スポーツセンター人工芝]

 小さなストライカーFW岩橋昌司(3年)が、ハットトリックの活躍を見せて、近大和歌山高の幸先の良いスタートに貢献した。「前半の立ち上がりは皆、動きが硬くて思ったようなプレーができなかった。僕自身も高校最後の大会。昨年は準決勝に途中出場で出ただけなので、緊張していた」と振り返ったように、序盤こそ低調なチームの動きと足並みを揃えたようにチャンスに絡めなかったが、時間経過と共に緊張がほぐれて攻撃が機能。1トップながらも、サイドのスペースに流れてボールを引き出すとともに、サイド攻撃が機能し始めたことで、ゴール前に位置した際にもボールが入り始めた。

 最初の見せ場は前半32分。右CKに対し、ファーから飛び込み、頭で合わせたボールが相手GKに当たってゴールネットを揺らすと、後半11分にも右サイドを駆け上がったDF奥楓晟の低いクロスから、ヘディングで2点目をマーク。18分にも右CKから打点の高いヘディング弾を叩き込み、ハットトリックを達成した。

 身長は168cm。決して、大きな選手ではないが、ヘディングには絶対的な自信を持つ。理由のひとつは、全体練習後の自主練。「自主練で、チームメートのクロス練習に付き合わされ、こき使われているから」と笑いながら明かす。ふたつめの理由は、チームメートに日本代表FW岡崎慎司に似ていると評されるガムシャラなプレースタイルにある。

 紀ノ川中時代は、チームでも上手い部類に入る選手だったというが、実力者が揃う近大和歌山に入ってからは同じようにもいかず。これまでFW一筋だった岩橋は入学当初にSBへコンバートされて「悔しかったし、へこんだ」という。だが、藪真啓監督から熱心に教わったというゴール前に飛び込む技術を徹底した甲斐があり、FWとしての動きが向上し、2年生でFWに戻ると、今年はレギュラーに定着した。ガムシャラな動きが売りではあるが、相手のマークを外す動きや、味方とのアイコンタクトを欠かさないなどゴールに対する工夫が、ヘディングの上手さに繋がっているのは間違いない。

 藪監督が「和歌山はロングボールを蹴ってくるチームが多いので夏以降、チームとしてヘディングの練習を徹底した。岩橋は元々飛ぶタイミングや落下点に入るタイミングが良かったけど、僕が思っていた以上にヘディングが上達したと思う」と成長に目を細めたように、彼のヘディングは今や、チームの貴重な得点源の一つだ。

 昨年は、選手権予選の決勝で初芝橋本にPK戦で敗れた。「昨年の悔しさが忘れられない。今年、僕らも新人戦と県総体を逃しているので、選手権は絶対に獲りたい」と力を込める。先輩たちの無念を晴らすため、自分たちの夢を叶えるためには、彼のガムシャラなゴールがまだまだ必要だ。

(取材・文 森田将義)
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