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[選手権予選]「後半」アディショナルタイムに決めた2つのゴールで作陽撃破!玉野光南が2年ぶりV!:岡山

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[10.31 全国高校選手権岡山県予選決勝 作陽高 1-2(延長)玉野光南高 シティライトスタジアム]

 第94回全国高校サッカー選手権岡山県予選決勝が10月31日に行われ、玉野光南高が2-1で作陽高に勝ち、2年ぶり8回目の全国大会出場を決めた。

 「後半」アディショナルタイムの2つのゴールに、青いユニフォームの歓喜が爆発した。1つ目は40分ハーフの後半40+1分、2つ目は10分ハーフの延長後半10+3分。土壇場で2度ネットを揺らした玉野光南が、劇的な逆転勝利で作陽を下し、選手権への切符をつかんだ。

 2年前は1-1からのPK戦の末に玉野光南が勝ち、昨年は作陽が2-1で勝って、3年連続で同じ顔合わせとなった決勝は、立ち上がりの前半9分に作陽が先制点を奪った。来季の浦和レッズ加入が内定し、注目を集めるMF伊藤涼太郎が右サイドに展開。MF谷口直人がセンタリングを送ると、玉野光南DFのクリアが、エリア内中央で待つ伊藤の下に転がる。ダイレクトで合わせた伊藤の右足シュートは当たり損ねだったものの、ゴール左スミに決まった。

 その後はお互いにロングボールを多用して敵陣のスペースを突こうと試みるが、双方とも相手の粘り強い守備を崩せない。中盤のつぶし合いが長く続き、前半は作陽のシュートが2本、玉野光南は1本と、決定的な場面が少ないままハーフタイムを迎えた。

 1点を追う玉野光南は、前半のうちにFW緑川直生が交代出場したのに続き、後半開始からはFW片山知紀も交代出場し、流れを変えようと試みる。だが、スペースへ抜ける動きとパスの呼吸がなかなか合わず、良い形でシュートまで持ち込めない。一方の作陽も後半は攻撃が失速してシュートが少なく、追加点を奪えないまま試合は終盤に入った。

 玉野光南は後半16分にロングスローが武器のFW新地猛を投入し、ハーフウェーライン付近からでもゴール近くまで飛ばす驚異的な飛距離のスローインで同点を狙う。残り10分を切ってからはキャプテンのCB西中竜斗を前線に上げ、スローイン&ロングパスのパワープレーでゴールを目指すが、それでも作陽の牙城は崩れない。

 しかし、3分と表示されたアディショナルタイムの後半41分、ついに玉野光南の執念が実を結ぶ。右サイドからの新地のロングスローは作陽守備陣にはね返されたが、左サイドに流れたこぼれ球を、DF塩田晃大がセンタリング。これをGKとDFの間でフリーとなっていた片山がダイレクトで合わせ、「これまでで最高のゴール」と振り返る鮮やかな左足ボレーを決めた。

 延長に入ると、玉野光南は後半途中からのスローイン&ロングパスの攻めを継続して押し込み、これをしのいだ作陽も徐々にリズムを取り戻したが、得点は生まれない。そのまま延長後半もアディショナルタイムに入り、決着はPK戦にもつれ込むかと思われた。

 だが延長後半10+3分、玉野光南はGK栗尾純平のロングキックを片山→新地とヘッドでつないだボールが、FW土居晃貴につながる。ゴールまでの距離は約20メートルあったが、胸トラップと右足コントロールで前を向くと、倒れ込みながらボレーシュート。低い弾道でゴール左上スミに決まるスーパーゴールが飛び出した。その後、すぐさま反撃した作陽は、伊藤がドリブルシュートを放つも、外れた直後に試合終了。玉野光南が2年前に続き、本命視された作陽を下して全国大会出場を決めた。

 玉野光南の乙倉健二監督は「強気で戦ってほしかったので、延長に入る前にも『PK戦ではなく、流れで勝つんだよ』と言っていた。それを本当に実現してくれたので、素晴らしい、のひと言です」と選手たちの奮闘を称えた。2年前の出場時は2勝を挙げて3回戦進出を果たしているが、乙倉監督は「そんなに甘くはない。相手をしっかり分析して、どうやって戦ったら勝機を見いだせるのか、選手と一緒に準備していきたい」と、それ以来となる全国の舞台を見据えた。


[写真]2年ぶりの全国大会出場を喜ぶ玉野光南イレブン

(取材・文 石倉利英)
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