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[選手権予選]3年ぶりの選手権へあと1勝!佐賀商が塩田工の猛攻凌ぎ、決勝進出:佐賀

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[10.31 全国高校選手権佐賀県予選準決勝 佐賀商高 2-1 塩田工高 佐賀県陸上競技場]

 第94回全国高校サッカー選手権佐賀県予選準決勝が31日に佐賀県陸上競技場で行われ、佐賀商高が2-1で塩田工高を下して3年ぶりの選手権へあと1勝と迫った。

「いつも言っていることなのですが、守備をしっかりとした上でのショートカウンターが武器」と相良利朗監督が話すように、球際を激しくいく守備からの素早い攻撃が佐賀商の持ち味である。しかし、立ち上がりは塩田工のサイド攻撃に手を焼き、思うような試合運びができない。前半7分にはMF松林龍之介(3年)の左FKから、主将を務める184cmの左利きCB中島哲也(3年)に折り返され、決定機を作られてしまう。これは最後のところで弾き出して事なきを得たが、佐賀商は風上という有利な条件を活かせず、苦しい時間帯が続いてしまう。

 相手のペースに引きずり込まれそうな中で、3年前の選手権予選決勝の経験を指揮官は忘れていなかった。「足が遅いけど、戦う姿勢は持っている選手が今年は多い。なので、前から行かせたかった。3年前は引き過ぎてしまったのですが、後半は前から行かせたことで伸び伸びやって逆転してくれた記憶がある。この子たちもよくやってくれた」とこの試合では過剰に引き過ぎず、前線からのハードワークを徹底。それによって徐々にリズムを取り戻すことに成功した。

 そして21分、MF松尾明篤(3年)がドリブルで中に仕掛け、ラストパス。ボールを受けたMF内田成悟(2年)は右足を迷うことなく振り抜き、貴重な先制点を奪った。後半に入ると、風下になったということもあり、守備に重きを置きつつカウンターを狙う戦術をさらに徹底。運動力が落ちてくる後半でも守備の出足を維持し、相手に好機を作らせなかった。逆に後半20分には、高い位置でボールを奪った松尾がゴール前に侵入。得意のドリブルから左足でゴールに流し込み、2点目を上げた。

 試合終盤は塩田工の猛攻を浴びる場面が多くなった。「試合前からオプションとして持っていた。0-0の状態でもこの布陣にしていた」(塩田工・松尾智博監督)という、中島を最前線に上げるパワープレーで塩田工が猛追。何度も長いボールを入れられ、佐賀商にとっては嫌な時間帯が続く。後半40分にはGK一ノ瀬琢磨(3年)のロングフィードからその中島に頭でそらされると、裏に抜け出したFW江原拓海(3年)に得点を許してしまう。しかし、残されたアディショナルタイムを凌ぎ切り、佐賀商が逃げ切る形となった。

 佐賀商の3年生は3年前の選手権出場を見て入学してきた世代。中学校3年生だったその当時は、食い入るようにテレビを見ていた。「3年前に選手権に行った先輩たちは大きくて強かった」と主将のDF小山修司(3年)が話すように、熱いプレーを見せる偉大な先輩たちの姿は脳裏に焼き付いている。しかし、全国大会に出場できたのは、1年時の全国総体のみ。それだけに、今年に掛ける想いは人一倍強い。「相良先生と一緒に選手権に行きたい」という小山の言葉通り、お世話になった恩師を必ず3年ぶりの選手権に連れて行く。そのためにも、決勝戦だけは負けられない。

(取材・文 松尾祐希)
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