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[選手権予選]王者の牙城揺るがず、6連覇達成の米子北が鳥取県内最多記録に並ぶ11回目の全国へ

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[11.1 全国高校選手権鳥取県予選決勝 米子北高 4-1 境高 とりぎんバードスタジアム]

 第94回全国高校サッカー選手権鳥取県予選決勝が11月1日に行われ、米子北高が4-1で境高に勝ち、6年連続11回目の全国大会出場を決めた。

 鳥取の高校サッカー界に君臨する王者の牙城は、今回も揺るがなかった。選手権と総体を合わせ、近年の全国大会切符を独占している米子北が6年連続出場を決め、米子工高の県内最多記録に並ぶ11回目の出場を果たした。

 5月の総体予選決勝と同じ顔合わせとなった境との決勝は、序盤からそのときと同様の試合展開となった。境は最終ラインを厚くして守りを固め、DF佐蔵滉を中心にした手堅い守備から、攻撃はロングパスに合わせてFW住田尚規、古好飛翔などが走力を生かしてスペースを突く狙いを徹底。主審から注意を受けながらもプレーの再開に時間をかけるなど、0-0の時間をできるだけ長く保ちながら勝機をうかがう策を採った。

 総体予選決勝は、境が前半に狙い通りに先制し、1-0のリードでハーフタイムを迎えたが、この日は米子北の守備陣が境の攻めを的確に封じる一方、ボール支配率で大きく上回ってゴールを目指した。しかし、15分にMF小嶋海斗がヘッドで決めた決定機はオフサイドの判定でノーゴールとなり、25分のMF江口大輝の左足シュートは、境GK渡部拓磨の好セーブに遭う。境の堅守をなかなか崩せず、このまま0-0でハーフタイムを迎えるかと思われた。

 しかし前半終了間際の39分、攻め続けた米子北がついにスコアを動かす。エリア内へのロングボールに反応したFW谷口喬亮が、こぼれ球を拾って右足を振り抜くと、境DFに当たったボールがふわりと浮いて、GK渡部の頭上を抜いてネットを揺らした。

 米子北の城市徳之監督が「試合前の想定は、0-1になってもOKで、流れによっては1-0か2-0になる、という幅を持ったゲームプランだった。1-0で折り返したのは上出来で、あのゴールは大きかった」と振り返り、境の廣川雄一監督は「前半はプラン通りにいくかと思ったけど、失点の時間帯が…」と語った先制点。両チームの心理状態に大きな影響を及ぼしたゴールをきっかけに、後半はさらに大きくスコアが動くこととなる。

 後半も境が守り、米子北が攻める展開は変わらなかったが、先にゴールを奪ったのは、またしても米子北だった。後半12分、FW崎山誉斗が左サイドでのドリブル突破からグラウンダーのセンタリングを送ると、走り込んだFW伊藤龍生がスライディングしながら左足で合わせて蹴り込み、リードを2点に広げた。

 後半8分に同時に交代出場したばかりの2年生アタッカーの連係が、貴重な追加点をもたらすと、2人の勢いはその後も止まらない。23分にはゴール前でこぼれ球を拾った崎山がエリア内の密集を突破し、左足シュートを決めて3点目。25分には小嶋の頭でのパスから、伊藤が右足で蹴り込んで4-0とした。
 
 これで試合の大勢は決したが、境も最後まであきらめなかった。4点差をつけられても「まだあるぞ!」「(集中を)切らすな!」と周囲を鼓舞しつつ、前線へのランニングを繰り返していたキャプテンの住田が、36分にゴール前での1対1の突破から、右足で蹴り込んで1点を返す。廣川監督が「意地の一発を見せてくれた。新チームにつながる、大きなものを残してくれました」と称えた通りの、素晴らしい反撃のゴールだった。

 その後も境が押し気味に進めたが、米子北もそれ以上の反撃は許さず、4-1で勝利。城市監督は終盤の失点などを課題に挙げ、さらに「ここまでは県内の相手を崩すための練習をしてきた。次は全国なので、一瞬のスキを突くサッカーをしなければいけない。守備は状況を考えてバランスを取らなければいけないし、攻撃でも精度を高めるために、繰り返しやっていきたい」と語った。昨年度の選手権では同校初の1大会2勝を挙げてベスト16に入り、今夏の全国総体はベスト8。キャプテンの小長裕也は「もっと上、てっぺんを目指していきたい」と、次の壁を乗り越えての全国制覇を目標に掲げた。

[写真]鳥取6連覇を達成した米子北イレブン

(取材・文 石倉利英)
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