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[選手権予選]ハイプレスで5年ぶりの全国へ、佐賀北が前年度王者・佐賀東を倒して決勝進出

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[10.31 全国高校選手権佐賀県予選準決勝 佐賀北高 2-1 佐賀東高 佐賀県陸上競技場]

 第94回全国高校サッカー選手権佐賀県予選準決勝が31日に佐賀県陸上競技場で行われ、佐賀北高が2-1で昨年度の代表校・佐賀東高を下して、5年ぶりの全国大会出場へあと1勝とした。佐賀北は11月3日の決勝で佐賀商高と戦う。

 立ち上がりから試合の主導権を握ったのは佐賀北だった。前線からのハードワークと球際の強さで相手を圧倒。中盤で佐賀東持ち前のパスワークを寸断し、2年生が主体となる攻撃陣が相手陣内へと迫った。19分には左サイドをFW前山紘輝(2年)が突破すると、PA内に折り返されたボールをFW轟木雄基(2年)が右足でプッシュ。若き攻撃陣が3年生中心のDF陣に、貴重な先制点をプレゼントしてみせた。リードを奪ったあとも、前線からのプレスを実行。得点を決めた轟木が前半の終わりに足がつり始めるほどの圧力で、佐賀東を凌駕してみせた。

「前半の途中から佐賀東にプレスを外されるようになったので、持ちこたえられないようになって来た。だから、後半はやり方を変えてボールを奪う位置を中盤に下げた。ワンタッチで外されてしまって、これだと90分間持たないと思った。だから、我慢をしながらカウンターで仕留められればと思っていた」と小比賀徹二監督が話したように、佐賀北は守備の比重を中盤に置くスタイルで後半戦をスタート。すると、我慢を覚悟していたチームに追加点が生まれる。後半開始早々の2分、左SB高木賢道(2年)の左CKから右SB上瀧悠輔(3年)が頭で追加点。佐賀北が試合をさらに優位な状況とした。

 対する佐賀東は2点のリードを許すと、MF井上達貴(3年)を中心とした攻撃陣が反撃。「流れを変える切り札として取っておいた」(蒲原晶昭監督)という、後半開始から投入されたMF馬見塚裕太(3年)の個人技も活かしつつ、得意のパスワークで好機を伺う。そして、13分には馬見塚の左FKから途中出場のDF本村優太(3年)が折り返し、最後は井上が頭で決めて1点差とした。これで勢いに乗った佐賀東は攻勢を強めるべく、16分に右ひざを負傷していたDF川口高良(3年)を投入。左サイドからの攻撃参加と、余裕を持ってゴール前に届くロングスローで勝負を仕掛けた。しかし、ゴール前に幾度となく迫りながらも、佐賀北守備陣に跳ね返されてゴールネットを揺らせない。40分にはその川口のロングスローから井上がボレー気味で中へと折り返すも、中央で合わせ切れず。残り時間を耐え抜いた佐賀北が13年連続で佐賀県予選決勝に勝ち進んでいた佐賀東を下し、決勝へと駒を進めた。

 今年の佐賀北は県新人戦で優勝を果たした。しかし、総体予選は準決勝敗退。「新人戦で優勝したことがまずかった」と小比賀監督が振り返るように、リトリートしたサッカーで戦い抜くことはできなかった。それを教訓に、夏以降は前線からハイプレスをかけるスタイルを導入。昨年度の全国高校選手権3回戦で静岡学園高が東福岡高を3-0で下した戦い方を参考にしたというスタイルによって新たな骨格を作り上げることに成功した。総体後に3年生の多くが進学のために引退し、前線には2年生が多く名を連ねることとなったが、今大会の結果に結びつけた。5年ぶりの大舞台まであと1勝。前年王者・佐賀東を倒した佐賀北が見据えるのは、県ナンバー1の称号しかない。

(取材・文 松尾祐希)
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