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[MOM1558]大分西FW宗太海(3年)_消防士になる夢持つ180cmFW、強力アタッカー陣の個性引き出す

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 全国高校選手権大分県予選準々決勝 大分西高 4-0 情報科学高 三光総合運動公園]

 前線に個性豊かなタレントを揃える今年の大分西高。その中でも、180cmのFW宗太海主将(3年)の存在は異質だ。「常に前の4枚はポジションを変えながらプレーすることを意識しています。常に景色を変えながらプレーしたほうが、相手もマークに付きづらいと思うので」と本人が話すように、ポジションを入れ替えながら攻撃を組み立てるのが大分西攻撃陣の特徴。ただ、アジリティに優れたタイプのアタッカーであるFW広瀬椋平(2年)や右MF油布拓也(3年)、左MF薬真寺優希(3年)が自由に動けるのは、ポストプレーで攻撃に時間を作れる宗がいるからであるのを忘れてはならない。この3人の個性を最大限引き出せているのは、この男がいるからだと言えるだろう。

 昨年も同じく背番号9を背負い、レギュラーとしてピッチに立っていた宗。だが準々決勝で中津東高に敗れ、悔しい想いをすることになった。「その時の悔しさは覚えている。みんなで絶対にベスト8は越えようと話していた」と本人も話すように、昨年の成績を越えることをチームで誓っていた。そのため、準々決勝の情報科学高戦に勝利したことは大分西にとって大きな意味を持った。

 宗にはそれ以外にも負けられない理由がある。何故ならば、この大会を最後に本格的なサッカーから離れることになるからだ。「小学校6年生の頃から消防士になりたいと思っていて、中学校2年生で職場体験とかに行って絶対になろうと思った。高校2年生からは消防学校に入るための予備校にも通うようになった」と言うように、卒業後は幼い頃に抱いた夢である消防士の道に進む。そのため、社会人でやる可能性はあるが、本気でサッカーに向き合うことができるのは今冬だけとなる。

「機会があれば社会人などで続けたいけど、本気のサッカーはこれが最後だと思う。自分は小学校1年生からサッカーを始めたのですが、こんなところでは終われないなという想いがある。情報科学には申し訳ないけど、ここはまだ通過点だし負けるつもりもなかった」と言うように、今大会に掛ける気持ちは人一倍強い。負ければ終わりの最後の冬。チームメートと少しでも長くサッカーをするためには負けるわけにはいかない。日本で一番長い高校サッカー生活を送るために、まずはチームを初の選手権出場に導いてみせる。

(取材・文 松尾祐希)
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