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[MOM1571]関商工DF松田友樹(3年)_先輩から受け継いだ気持ちと跳躍力で制空権握った174cmCB

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権岐阜県予選準々決勝 岐阜工高 0-1(延長)関商工高 各務原スポーツ広場]

 関商工高のゲームプランは、守備で耐えて失点をせずに試合を進めながらチャンスをうかがうこと。その前提となる守備で存在感を発揮したのがDF松田友樹(3年)だ。

 4-3-3のCBを務め、コンビを組むDF藤田祐貴(2年)やアンカーの清水建太(3年)と共に最終ラインを守り続けた。自陣で構えて守ることの多かった前半は守備ブロックを構築。後半は攻撃が機能し始めたことにより、守備に回った際は自陣にスペースがある状況で対応する場面が増え、DFの力量が問われる展開となった。

 彼の持ち味が発揮されたのは、ここからだ。敵陣から送り込まれてくるボールを受けようとするFWへタイトなマークで自由を与えず、ロングフィードは空中戦の強さを生かして何度も跳ね返し続けた。「中学まではヘッドも強くなかった」(松田)という選手だったが、高校入学後はヘディングや競り合いの練習に力を入れるようになり、たくましさを身に着けていった。そんな松田が影響を受けたのが、昨年卒業した一学年先輩のDF小林健蔵だ。小林は身長が160cmと小柄だがCBでプレーし、去年の選手権予選・岐阜工高戦では身長180cm台のFW永田薫に対して怯むことなく立ち向かい、空中戦で競り勝つ場面もあったという。「それを見て、僕もあんな選手になりたいと思った」と話す松田の身長も174cm。決して大きくはないが、彼には先輩から受け継いだ強い気持ち、そして優れた跳躍力という武器がある。この日、制空権を掌握していたのは彼だった。

 そうして守備を行った後にボールがラインを割ってプレーが切れると、すかさず大きな声と身振り手振りでチームメートへの指示や叱咤激励が飛ぶ。「後ろの選手が声を出してチームを鼓舞しないといけない」(松田)と言葉にするのは簡単だが、松田は試合終盤や延長戦に入ってもそれを実践し続けた。渡邊康広監督も「キャプテンの清水と共に、副キャプテンとして本当によくやってくれている」と評価。肉体的にも精神的にも消耗が激しい状況だからこそ、そうした彼の立ち振る舞いはチームに勇気を与えていた。

「左足のロングフィードとヘディング。それに声を切らさないこと」(松田)という自身の持ち味が、この試合では如何なく発揮された。延長戦後半の決勝点は、そこまで無失点で試合を進めたからこそ生まれたもの。その守備陣を支えていたのは間違いなく、この闘争心あふれるCBだ。高校サッカー、最後の大舞台となる選手権。「今日みたいに全員が集中していけば優勝できる」。その言葉を目標だけでは終わらせないという覚悟を持って、各務原高との準決勝に挑む。

(取材・文 雨堤俊祐)
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